最近AIで小説が書けることを知ったので、昔書いた刀語の二次創作で、設定だけ作って放置してたものの続きを書いてもらった。
猫を見た。
猫を追いかけた。
猫に化かされた。
俺の人生は、絵に書いたような平凡さを擁していて、それでいて、幸福と言えるものであった。
平凡な家庭に生まれ、平凡に愛情を受け、平凡に幼稚園へ通い、平凡に小学校に通い、平凡に友達と遊び、平凡に中学校へ通い、平凡に高校を受験し、平凡な高校に通い、平凡に大学を受験し、平凡な大学に通い、平凡に就職活動し、平凡な企業に就職し、平凡に恋愛し、平凡に失恋し、平凡に趣味に明け暮れ、平凡に人生を謳歌した。
それは、つまらない人生だった。
退屈で、窮屈で、鬱屈な人生だった。
刺激のない生活に埋もれていた。
しかしながら、俺は映画のようなスリリングな人生を望んでいるわけではなかった。映画の主人公のような、常に命の危険を感じているような、デンジャラスでスリリングな人生は御免であった。そんな、危険な生活を送らなければいけないのであれば、今の退屈な生活の方が百倍マシであると考えていた。
別に俺は、マーティ・マクフライにも、インディアナ・ジョーンズにも、ましてやクラーク・ジョセフ・ケントになりたいわけでもなかった。
ただただ、平凡な人生を過ごしてゆきたいだけだった。
それでも、人間は刺激を求めるのだ。
刺激がなければ生きてゆけないのだ。
だからこそ、会社帰りに猫を見つけた時、追ってみようなどと考えてしまった。
退屈な人生であるからこそ、そんなちょっとしたことが刺激となり得るのだ。
ましてや、それが普通の猫でなかったとしたら尚更だ。
その猫は白い猫だった。
泥に汚れ、煤に汚れ、塵に汚れていて、白い部分など殆ど残っていなかったけれど、それは白い猫だった。
美しい猫だった。
泥に汚れ、煤に汚れ、塵に汚れていて、美しさなど欠片も感じられなかったが、それは美しい猫だった。
故に魅せられた。
惹かれた。
いや、ただ単に気になっただけかもしれなかった。
だから追いかけた。
会社帰りに、家まで直だったというのに、猫の後をついて行った。
そして、細い路地を通りぬけたところで、
トラックに撥ねられた。
空を飛びながら、俺は走馬灯を見た。
平凡だった。
つまらなかった。
退屈だった。
だからこそ、俺は驚いた。
満足していたのは分かっていた。
人生を謳歌していたのも知っていた。
それでも。
それでもまさか。
死んでも構わないほどに、人生を楽しみ終えていたとは思わなかった。
満足感と共に消えゆく意識の中で、俺は、猫を見た気がした。
気がつくと、俺は暗闇の中にいた。
暗く、狭いところだった。
右を見ても左を見ても暗闇。
右も左も見ているのかどうかすら分からない暗闇。
ふと、そこに一条の光が見えた。
光りはどんどん迫ってきて、俺を飲み込んだ。
まず感じたのは圧迫感が無くなったことによる爽快感だった。
次に感じたのは騒音が聞こえたことによる不快感だった。
周りがざわめいているのが聞こえる。
何を言っているかは定かではなかったが、一つだけはっきりと聞こえる物があった。
赤ん坊の泣き声だった。
赤ん坊の泣き声が五月蝿かった。
そして気付いた。
泣いているのは俺だ。
泣いているのが俺で。
泣いているのが赤ん坊。
俺は、赤ん坊になっていた。
俺は、猫を見つけ、猫を追い、猫に化かされたのだ。
猫に化かされ、再び生まれ落ちた。
ふと浮遊感を感じた。
俺が誰かに抱きかかえられたのだ。
柔らかな感触だった。
おそらくは女性。
母であった。
そして母は俺に語りかける。
「初めまして」
猫の鳴き声のような高い声。
しかし、猫の体温のように暖かい声。
「あなたの名前は――――よ」
吹き出しそうになった。
猫に化かされ、再び人として生まれ落ちた。
同時に、猫に化かされ、化かす猫として生まれ落ちたようだ。
悔いもなく、恨みもなく、ただそうなった。
故に、俺は化け猫。
美しき猫。
妖しき猫。
恐ろしき猫。
――――――我が名は、真庭化猫なり。
俺は、真庭忍軍の忍として、生まれ落ちたのだった。
……くの一であったが。
刀語が始まる二百年も前に生まれ落ちた化猫。
彼女が身に着けた忍法は【九生(きゅうせい)】。
人より九倍死に辛く、人より九倍長生きし、人より九倍強い。
戦乱の世の救世となるか。
それとも儚く急逝となるか。
この化生が描く化猫語とは。
昔書いたのはここまで。
ここからはプロット以外はAIに書いてもらいました。
◇………………………………………………………………………
真庭狂犬と、化猫が出会ったのは、
戦でも任務でもない、何でもない日のことだった。
化猫は縁側にいた。
日向にいた。
意味もなく、理由もなく、ただそこにいた。
「……猫か」
狂犬はそう言った。
言葉に感情はなかった。
だが心には、確かに波が立った。
九生。
九つの生を持つ化生。
死んでも終わらず、老いても尽きず、長く在り続ける存在。
「長生き、するんだな」
問いではなかった。
確認でもなかった。
ただ、零れただけの言葉だった。
化猫は狂犬を見た。
じっと見た。
瞬きを一つして、首を傾げた。
「そう?」
興味はなかった。
未来に意味を見出していなかった。
猫は、今しか見ない。
過去は忘れる。
未来は考えない。
あるのは、今、目の前にいる存在だけ。
化猫にとって、真庭狂犬は“長く生きる人間”でも“先に死ぬ忍”でもなかった。
今、そこに立っている女。
それだけだった。
狂犬は視線を逸らした。
不快だったわけではない。
羨望でも、恐怖でもない。
ただ――自分が見ている時間と、この化猫が生きる時間が、決して重ならないことを悟っただけだ。
「……そうか」
それ以上、何も言わなかった。
言えなかった。
化猫は気にしない。
猫は気にしない。
猫は、そういう生き物だ。
九生の化生であろうと、真庭忍軍の忍であろうと、化猫は猫でしかない。
今、ここに、狂犬がいる。
それだけで、世界は足りていた。
そして狂犬は知る。
この化猫と共に、忍軍を見守ることは出来ても、同じ時間を生きることは出来ないのだと。
――それでも。
狂犬は歩き出した。
化猫は日向に戻った。
二人は、何も約束しない。
だからこそ、同じ瞬間を確かに生きていた。
刀も語も交わらぬまま、ただ、忍と化猫は、その一瞬を共有した。
◇………………………………………………………………………
化猫は里を出た。
理由はない。
あるいは、理由が要らなかった。
忍ではなく、真庭でもなく、ただの旅人として。
気の向くまま、足の向くまま。
山を越え、川を渡り、町に入り、また出る。
猫は、目的地を持たない。
そんな道中で、
化猫は一人の侍を見つけた。
若い男だった。
名を、鈴音継鳴《すずねつぐなり》という。
彼は刀を振っていた。
否――振っている“つもり”だった。
柄があり、鍔があり、だが、そこに刃はなかった。
刀身のない刀。
存在しないはずの剣を、彼は疑いなく、真剣に振るっていた。
「変なの」
化猫はそう言った。
悪意はない。
評価でもない。
ただの事実だ。
継鳴は振り向いた。
驚きはなかった。
「無刀流だ」
誇るでもなく、卑下するでもなく、彼はそう名乗った。
刀を持たぬ剣。
刃を持たぬ斬撃。
刀身は存在せず、あるのは動きだけ。
精巧すぎる身振り。
無駄のない呼吸。
完璧に“刀があるときの動き”。
相手は脳で斬られる。
身体ではなく、認識が先に死ぬ。
――斬られた、と。
――負けた、と。
そう思い込んだ時点で、勝負は終わる。
虚刀流ではない。
ただ、刀を使わないという一点だけが同じ。
「まだ、修行中だ」
継鳴は言った。
だからこそ、振るう。
だからこそ、振り続ける。
化猫はしばらく眺めていた。
飽きるまで。
飽きなかった。
「ついて行っていい?」
理由はない。
興味が湧いただけだ。
猫は、気になるもののそばに行く。
それだけだ。
「……好きにしろ」
拒む理由も、許す理由もなかった。
だから、拒まなかった。
こうして、九生の化猫と、無刀の剣士は並んで歩き出す。
この出会いが、四季崎記紀の変体刀になぞらえられ、後に【無刀・鈴】と呼ばれる流派の、始まりとなることを――
その時、化猫も、継鳴も、まだ知らなかった。
猫は未来を見ない。
剣士は名を求めない。
ただ、二人は歩いた。
同じ今を、共有しながら。
◇………………………………………………………………………
共に旅をし始めて、数年が過ぎた。
里へは戻らなかった。
戻る理由がなかった。
化猫にとって、帰る場所とは「今いる場所」の別名でしかない。
化猫は継鳴と共にあった。
朝を歩き、昼を越え、夜を迎え、また歩く。
季節が巡り、景色が変わっても、二人の距離だけは変わらなかった。
その夜も、焚き火の前だった。
火は揺れ、音を立て、沈黙を許さない。
「……なあ」
継鳴が口を開いた。
珍しいことだった。
この男は、剣の話はしても、自分の話はしなかった。
化猫は耳を動かした。
聞いている、という合図だった。
「無刀流は、俺の剣じゃない」
断定だった。
言い切りだった。
迷いはなかった。
「兄の剣だ」
鈴音初鳴《すずねはつなり》。
継鳴は、その名を静かに置いた。
兄は剣を作った。
刀を捨てる剣を考えた。
刃に頼らず、存在しないものを存在させる剣。
だが――兄は、振れなかった。
身振りが拙かった。
呼吸が合わなかった。
鍔の先に、刀身を“在るものとして”作り出すことが出来なかった。
脳を騙す前に、自分自身が信じ切れなかった。
「形は出来てた。理屈もあった」
継鳴は火を見つめたまま言った。
「でも、兄貴は最後まで、斬れなかった」
病に倒れた。
剣を振れなくなった。
それでも、剣のことを考えるのをやめなかった。
「俺に言ったんだ」
――お前なら、出来る。
――お前の動きなら、刃は要らない。
それが、最期の言葉だった。
「悔いを、残して死んだ」
恨みではない。
怒りでもない。
ただ、悔いだった。
「だから俺は振る」
継鳴は立ち上がった。
柄だけの剣を抜く。
刃はない。
だが、動きには迷いがない。
「兄の剣を、完成させる」
それは野望ではなかった。
名を残すためでも、流派を起こすためでもない。
ただ一つ、死んだ者の“出来なかったこと”を、生きている者がやる。
それだけの話だった。
化猫は何も言わなかった。
慰めない。
励まさない。
理解しようともしない。
猫は、過去を抱えない。
猫は、他者の悔いを背負わない。
ただ、今、目の前にいる継鳴を見る。
「それで?」
問いは短かった。
「兄は喜ぶと思う?」
継鳴は、一瞬だけ言葉に詰まった。
だが、すぐに答えた。
「知らない」
正直だった。
だから、強かった。
「でも、俺は振る」
化猫は、それで十分だと思った。
理由がある剣より、理由しかない剣の方が、長く続く。
猫は焚き火のそばに戻った。
継鳴は剣を振り始めた。
兄の無念は、まだ晴れていない。
だが、確かに今――無刀の剣は、生きていた。
そしてこの夜が、後に語られることはない。
化猫は覚えていない。
継鳴も、振り返らない。
語られぬまま、物語は、確かに一歩、進んでいた。
◇………………………………………………………………………
更に数年の時が過ぎた。
季節は巡り、道は伸び、歩みは続いた。
だが、続かなかったものもある。
継鳴が、倒れた。
兄と同じ病だった。
理由も、因果も、分からない。
分かるのは一つだけ。
剣士の身体は、剣よりも脆いということだ。
化猫は走った。
薬を探し、医を探し、祈りを探した。
だが、どれも意味を持たなかった。
病は、もう戻らない場所まで来ていた。
寝床に横たわる継鳴は、以前よりも静かだった。
剣を振らぬ手は、細く、軽かった。
「……まだだ」
掠れた声で、彼は言った。
「俺の無刀は、まだ完成してない」
悔いだった。
兄と同じ悔い。
違う形で、同じ場所に辿り着いてしまった。
化猫は、即座に言った。
「なら、私が完成させてやる」
迷いはなかった。
慰めでもなかった。
宣言だった。
継鳴は、呆けた顔で化猫を見た。
理解が追いついていなかった。
「……お前が?」
「そう」
化猫は言った。
当たり前のことのように。
「私は猫だもの」
継鳴は、眉を寄せた。
化猫は続ける。
「私は死なない。
正確には、死んでも終わらない」
九生。
九つの生。
尽きぬ時間。
「あなたが出来なかった続きを、
私は何度でもやれる」
「失敗しても、やり直せる。
足りなければ、積み重ねられる」
「時間なら、無限みたいなものよ」
その言葉を聞いて、継鳴は、ようやく理解した。
理解して――安心した。
化猫の頬に、雫が落ちた。
涙だった。
猫は、泣かない。
だが、化猫は、人だった。
その涙に濡れる頬を見て、継鳴は、穏やかに笑った。
「……よろしく、頼む」
それで、十分だった。
それ以上の言葉は、要らなかった。
継鳴は、目を閉じた。
剣を握ることなく、悔いを手放し、永遠の眠りについた。
その日から。
化猫には、もう一つの名が出来た。
柄と鍔しかない刀を腰に下げる、異端。
刃なき剣を継ぐ者。
約束を背負う者。
無刀流、三代目。
鈴音密鳴《すずねみつなり》。
それは、兄でもなく、弟でもなく、ただ“続ける者”の名。
猫は、過去を覚えていない。
猫は、未来を見ない。
だが――化猫は、約束だけを抱いて歩き出す。
刀なき剣を携えて。
終わらぬ時間の中へ。
その剣が、いつ完成するのか。
あるいは、完成などしないのか。
それを知るのは、この世でただ一匹の、化猫だけだった。
◇………………………………………………………………………
化猫は、四季崎記紀と出会った。
偶然だった。
必然ではない。
猫は、因果を信じない。
山道の途中。
風の抜ける場所。
鍔と柄だけの刀を、化猫が振っていた、その時だった。
「――ほう」
声がした。
楽しげで、退屈そうで、底の知れない声。
振り返ると、そこにいたのは一人の男だった。
痩せていて、目だけが妙に生き生きしている。
四季崎記紀。
後に、変体刀の打ち手と呼ばれる男。
「面白いね」
四季崎は言った。
化猫の“剣”を見て。
「刀身が、ない」
確認だった。
だが、その目は確信していた。
「それなのに、斬っている」
虚刀・鑢。
刃を持たず、理屈で斬る剣。
四季崎が構想し、世に放とうとしていた奇剣。
方向性は、同じだった。
否――同じであるがゆえに、違っていた。
「それを打ったのは、誰だい?」
四季崎は問うた。
刀鍛冶としての問いだった。
化猫は、即答しなかった。
考えてもいなかった。
やがて、口を開く。
「一人じゃない」
そう言ってから、化猫は続けた。
「初鳴が、描いた」
無刀という概念。
刃なき剣という発想。
「継鳴が、形にした」
身振り。
呼吸。
存在しない刀身を、在るものとして振る技。
「密鳴が、練磨している」
それは、自分だ。
「それが、無刀流」
完成者はいない。
打ち手もいない。
あるのは、継がれていく意志だけ。
四季崎は、黙って聞いていた。
口を挟まない。
否定しない。
やがて――笑った。
「素晴らしい」
心からの賛辞だった。
「つまらない」
同時に、本音だった。
「羨ましい」
そして、それが一番、四季崎らしかった。
「僕はね、刀を一人で打つ」
誇りでもあり、呪いでもある言葉。
「完成させて、名を刻んで、終わらせる」
それが、四季崎記紀の刀。
「でも君の剣は、違う」
四季崎は、化猫を見る。
「終わらない。完成しない。作った者が、もういないのに、続いている」
猫は、過去を覚えていない。
化猫も、本来はそうだ。
だが。
「私は、覚えている」
密鳴は言った。
兄を。
弟を。
振られなかった剣を。
約束を。
四季崎は、少しだけ目を細めた。
「なるほど」
理解した。
そして、諦めた。
「君の剣は、変体刀にならない」
完成しないから。
所有できないから。
名を奪えないから。
「だからこそ――」
四季崎は、笑った。
「実に、刀語だ」
そう言って、背を向ける。
二人は、それ以上語らない。
交わらない。
交わる必要がない。
四季崎記紀は、完成する刀を打ちに行く。
化猫――鈴音密鳴は、終わらない剣を振り続ける。
一方は、歴史に名を残す。
一方は、誰にも知られぬまま、続く。
猫は未来を見ない。
だが、密鳴は歩く。
刃なき剣を携えて。
約束だけを腰に下げて。
それでいいと、
四季崎記紀は、心の底から思っていた。
AIの進歩は凄い。