最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
「君達……変な期待はしない方がいいよ?だって国王陛下は……私の味方だからね!!」
この街の市長の屋敷に辿り着き、馬車から降りる際、クロスはニヤリと嗤って俺たちに言った。
今この馬車にいるのは、クロスと使用人の人一人と俺とソフィアだ。……なんで俺たちまで連れて来たんだ?こいつ……。
というか、外出するならせめてこの変態チックなメイド服だけは、着替えさせて欲しいんですけど……。こんな格好で外出するなんて、変態って思われるじゃん!まぁクロスは変態だけど!!
「大方私が新しい奴隷を手に入れたって聞きつけて……しかもそれが、
こっちにとってはナイスタイミングだったので、国王様には感謝しかない。……嫌な事は先延ばしにしたいタイプなのだ!俺は……!!
「さ!さっさと市長と国王陛下に挨拶して、調教を始めようか!!」
嫌だね!!出来れば今日いっぱい話し込んでくれるとこっちとしてはありがたいね!!
……んで、ふと思ったけどこいつミリヤ追わなくていいのかな?昨日マフィアのトップに頼まれて、ミリヤ達を追ってたんじゃないの?見つかんなかったみたいだけど……。
つまり何が言いたいかというと……お前今日オフとか言ってたけど、仕事しろ!!って事だ!!
なんてどうでもいい事で現実逃避しつつ、クロスの後を黙ってついて行く。
正直逃げ出したいが……ここでソフィアと二人で逃げ出したって、直ぐに捕まるのがオチだ。
でも……こいつが王様とかと話している時とか、チャンスなんじゃないだろうか?
ちょっとお花を摘みに行くって言って、そのまま逃げれたり……しないだろうか!?そして今暴れているらしいミリヤと合流して……!!
「さあ……この先に国王陛下がいるよ?準備はいいかい?」
ワザとらしくニヤニヤと嗤いながら、クロスが俺達に問うてくるが……俺達に準備なんてする事あんの?いいからさっさと部屋に入ったら??
っと目で訴えると、クロスは喉でクツクツと笑いながら扉を開けた。むかつく。
どうせこの先に希望なんて無い。だってクロスの言う通り、この国の王様なんてクロスの味方なんだろうし……やはりタイミングを見計らって、ソフィアと逃げないと……っと、俺は考えながらクロスに続いて部屋に入る。
そう。この時は俺も……そして当然クロスも思っていなかったんだ。
この先に待っているのは一体何かなんて……、この時の俺達はまだ何も知らなかった……。
◆
「…………は??」
クロスがその人を見た瞬間、間の抜けた声を出す。
「久しいな?剣の勇者クロス……。どうした?そんな惚けた顔をして。まさか……俺の顔を忘れた訳じゃあ、あるまい?」
市長の部屋で、高級そうなソファに肩身が狭そうに座るでっぷりとした偉そうな人(多分王様)の隣でふんぞり返って座っているのは……!この人は……!!
「エイシャ様!!!」
間違いない!!この人は……勇者エイシャその人だ!!
エイシャは俺を見ると、優しい笑みを浮かべて言った。
「コウ……随分待たせてしまったな。すまなかった……っつ!!?コウ!?なんて格好を……!?」
突然エイシャは顔を赤くして取り乱す。
エイシャの無事が嬉しくて、ついつい忘れてしまっていたが………俺今、変態みたいな恰好してた!!!
「~~~~!!み……見ないでくださいぃぃ……」
「っつ!!す……すまない!!」
俺は恥ずかしくなり、手で体を隠しつつしゃがんで身を隠す。
なんでだろ!?この格好をエイシャに見られるのは……本当に恥ずかしい!!顔から火が出そうなぐらいに!!!
そんな俺達を、冷静さを取り戻したクロスは冷めた目で見ながら口を開く。
「はいはいはい。どうでもいいコントなんてしなくていいから……。そもそもコウくんはもう私の物なんだから……あまりじろじろ見ないでくれないかい?エイシャ」
挑発的に言うクロスに、俺を見て顔を赤くしていたエイシャは一瞬で真顔に戻り、青筋を立てながら言う。
「コウは……貴様の物ではない……」
「はっは!!この子は私がちゃあんと市場で買った奴隷さ!!だから……国の法律的にも問題なく!!私の物なんだよ!!」
エイシャを馬鹿にした様に嗤いながら、クロスは勝ち誇った様に言う。
だが……そんなクロスをエイシャは鼻で嗤って言った。
「貴様……この状況を見てまだ自分がどうなるか解らないのか?だとしたら随分とおめでたい頭だな……」
「は?なに負け惜しみを言ってるんだい?そもそも!この国の人間は全て私の味方だ!!君が王様にどう吠えたところで……!!」
「………本当にお前は自分が何をしたか、理解していない様だな……」
凄みのある声でエイシャはそう言うと、立ち上がりクロスの目の前に立つ。そして言い放った。
「お前は……勇者でありながら、マフィアと手を組み、あろうことか隣の国の王子……つまり俺を手にかけようとした。しかも、聖女教会の聖女と共に……だ」
「……!」
「俺達は生き証人だ。貴様に殺されかけて、命からがら助かったのだからな?……そして、お前が例え勇者だとしても、国の王族に手を掛けていい理由にはならない。ましてやお前の息がかかっていない、我が国の王族を……だ……」
「そ……それは……!」
「あの時貴様ははっきりと、マフィアの構成員は自分の仲間だと言ったな?しかも……俺達を襲った理由は、世界の守り神でもある
エイシャの鋭い質問に、クロスは口を噤む。
「よもやあの時のお前は偽物だったのか?……まぁそんな筈はあるまい?あの時お前はこれ見よがしに聖剣を腰に差していたし、その聖剣もお前以外には使えない代物だ。……つまり、あの時俺達を襲った犯人はお前で他ならない」
「……っち!だったら……どうなんだ!!?さっきからごちゃごちゃと!!何が言いたいんだ!!?」
「ここまで言ってまだ解らんとは……。貴様はそこまで馬鹿だったのか?では、はっきり言ってやろう」
エイシャはクロスを睨みつけ、そして言った。
「お前は犯罪者だ、クロス。故にお前から勇者という称号と貴族としての地位も剥奪されるだろう。そしてお前は牢獄行きだ。……当然お前の家は差し押さえられ、お前の財産も没収……つまりお前の奴隷達もその時解放される」
「な……な……何を言って……!!?」
「お前と繋がりのあるマフィアも、この俺が壊滅してやるから安心しろ。運よくマフィアのトップが生き残れば……そこは俺も鬼じゃない。お前と同じ豚小屋に叩き込んでやる……!」
静かに……しかし怒りの炎を瞳に宿し、エイシャは宣言するのであった!!……どうしよ!エイシャめっちゃかっこいいよ!!