最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第101話

「こ……国王陛下!!黙って聞いてないで、何とか……何とかして下さい!!」

 

 クロスが無様に取り乱しながら、国王に懇願する。

 

 しかしそんなクロスに、国王は苦虫を噛み潰したような顔をして答えた。

 

「クロス君……何とかしてあげたいのは山々なのだが……「ほう?何とかしてあげたいのですか?」っひぃ!?……あ……いえ!!……君の行動は目に余る!!私も……我慢の限界だったのだよ!」

 

 国王の言葉の途中にエイシャが鋭い指摘をすると、国王は顔を青くしてクロスをなじった。

 その国王の言葉にクロスの顔色は更に悪くなるが、そんなクロスを鼻で嗤うとエイシャは更に畳みかける様に言った。

 

「この俺を襲ったのは本当に愚かだったな。これを理由に俺の国はお前の国に攻め込む口実を得た訳だ。我が国と貴様の国……俺とお前……戦ったらどうなるか、頭がお花畑なお前でも少しは想像がつくだろう?」

「う……ぐ!!」

「お前は俺には勝てないと悟っていた。だからジャバウォッキーを俺に差し向けたのだろうが……俺が驚いたその不意を突かなければ、あの程度のドラゴンでは俺を殺せないとお前も解っているだろう?………それともそれも解らない程に、お前は耄碌したのか?……クロス……!」

「う……ああ!?」

 

 その瞬間エイシャから発される殺気に、クロスは尻もちをついてしまう。つまり……もう格付けは終了しているのだ。エイシャとクロスの。

 

 ちなみに……今まで存在感を消して、黙って部屋の端で立っていた市長は、エイシャの殺気に立ったまま気絶し、国王は腰が抜けた様にガタガタと震えており、クロスの使用人の人は白目向いて倒れてしまった。

 

 かく言う俺も、ソフィアと両手を取り合いカタカタと震えてしまう。

 ギーツとの一件以来のエイシャの殺気だけど……怖いんだよ!!殺気浴びせられた当事者じゃなくても、ちびっちゃいそうになる程怖いからね!!?

 

 俺達がカタカタと震えていると、不意に部屋の扉が開かれる。

 

「勇者様。お戯れはそれまでに……。まずは事を進めませんと……。このまま話を続けても、最早意味はありませんわ……」

「マリィ様!!」

 

 入って来たのは、相変わらずの綺麗な黒髪な超絶美人の聖女様、マリィだった!!

 

 マリィは俺に気付くと、安心したように息をつき、涙を浮かべて言った。

 

「ああ。コウ様……!ご無事で何よりですわ……!……!!?コウ様!?なんて魅力的な……ゲフンゲフン。なんて愛らしい……ゲフンゲフン。なんて、破廉恥な格好を……!お可哀そうに!」

「ま……マリィ様……あんまり見ないで下さいぃ……」

 

 感動的な再会になりそうだったのに、いきなり血走った目で俺を凝視してきたマリィに、流石に俺も体を隠しながら言う。

 

 もーーー!!ほんとこの格好どうにかしてほしいよ!!まじで!!!

 

「ああ!!申し訳ありません!!でも……本当に大丈夫ですか!?コウ様!勇者クロスに……何もされていませんか!?」

「あ……大丈夫です!まだ……何もされていません!」

「まだ!!?ということは……危なかったという事ですわね?でしたら……間に合って良かったです……!」

 

 本当にね!!

 エイシャとマリィのお陰で何とか俺の貞操は守られそうだ!!

 

 マリィは俺に近寄ると、俺を強く抱きしめて言った。

 

「本当に遅くなって申し訳ありません……!もっと早く、コウ様をお救いしたかったのですが……!私達が至らないばかりに……!」

「何言ってるんですか!?二人が無事で……こうして来てくれただけで、嬉しいです!!ありがとうございます!!」

「………………っち」

 

 俺とマリィは、お互い少し涙を流しながら、互いの無事を喜ぶ!

 ………ん?今舌打ちしなかった?ソフィアが……。気のせいかな??

 

 そんな抱き合っている俺達を、エイシャは優しい表情で見ている。そして……少し表情を暗くして言った。

 

「感動の再会のところ済まない、コウ。実はまだミリヤが見つかっていないんだ。……あいつの事だから無事だとは思うが……」

 

 あ!!

 それなら多分大丈夫!!ミリヤは多分無事だから!!

 

 そう言おうと、マリィから離れエイシャに向きなおった時……突然クロスが高笑いをした。

 

「ふはあはああはあああっはあははああはははああ!!!!」

 

 え……狂った……?

 

「クロス……貴様……」

「あああえへっへあああかかあははああははははは!!!ばばばばばははあっはははははああ!!!!!」

 

 マジで狂ったように高笑いを始めるクロスに、部屋の人間達(気絶している人を除く)はドン引きする。

 そんな俺達を無視して、しばらく狂ったように高笑いをしていたクロスだが、急に冷静になったのか、スンっと静かになる。

 

 うわぁ!いきなり落ち着くな!

 

「エイシャ……聖女様……君達には……本当にやられたよ……」

「……勇者クロス。もう諦めになって下さい……。勝負はつきましたわ……」

 

 諭す様に言うマリィに、クロスはカッと目を見開き言った。

 

「勝負はついた……??何を言ってるんだ!!?勝負は……これからだろう!!?」

 

 そしてクロスは俺の方を見ると、手を差し出してちょっとした呪文?を唱える。

 すると……突然俺の首輪から、大量の電気が俺に流れていた!!!

 

「あぐう!!!?」

「い……あ?」

 

「コウ様!!?」

「コウ!!」

 

 俺とソフィアが突然の電流に倒れる。……気絶こそしなかったものの、滅茶苦茶痛い!!!首から体に掛けて、至る所まで……激痛が走って動けない!!!

 

「あははあぁぁあはああはは!!!奴隷が逆らった時用の電流さぁあ!!!流石に殺せはしないけど、死ぬほど痛いらしいよぉ!!!?しかもその首輪は黒王石で出来ている!!!簡単には壊せないよぉ!!?」

「クロス!!!貴様!!!」

「おっと!!!私なんかに構ってていいのかい!!?エイシャ!!!愛しのコウくんが……苦しんでるよ!!?それに……私の物にならないのならぁああああ!!!」

 

 その言葉と共に、更に俺の体に電流が奔る!!!

 痛い痛い痛いいいい!!?死ぬほど痛いよぉ!!!

 

 涙を流しながらのたうち回る俺に、エイシャが気を取られた隙に……クロスは窓ガラスを突き破り外へと出ながら叫ぶ!

 

「はははははははああはははははっはあはは!!!勝負はこれからだと言っただろう!!!?エイシャぁああああ!!!こおおい!!ジャバウォッキーーーーーー!!!!」

 

 次の瞬間雲が割れ、そこからあの黒いドラゴンが姿を現す。そして……!

 

「私の邪魔をするものは……皆纏めて死んじまえよぉ!!!つかえない国王も一緒にさぁあ!!殺れぇ!!!ジャバウォッキーーーーーーぃぃぃぃ!!!」

 

 クロスの叫びと共に、ドラゴンの炎と雷を纏ったブレスが、市長の屋敷目掛けて吐き出される。

 

 俺はそれを、床で倒れ伏して遠目に見ながら……意識を手放すのであった……。

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