最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第113話

 いつの間にか新しい人格が表に出て、俺の姉が勇者になってた件。

 

 なんだか話について行けなくなってきた……。久々に目が回るよ……話の展開が凄すぎて……。

 

「ちょっと!コウ大丈夫!?」

「は……はい……。なんだかついて行けず……目が回っちゃって……」

 

 目をぐるぐるさせながらも俺は、とりあえずミリヤからの説明を頭で整理する。

 

 白銀の(エンシェント)ドラゴンに、勇者として相応しくないと判断されたクロスは、勇者としての資格と聖剣を剥奪され、替わりにミリヤが新たな勇者に選ばれた。

 

 白銀の(エンシェント)ドラゴンにそんな能力があるなんて俺は知らなかったけど……知らないよね?誰かに言われた事無いよね……??

 まぁとにかく、その力は知らなかったけど、ミリヤが次の勇者に選ばれた事はすごく嬉しい!!だってミリヤはこの世界で俺が最も信頼している人なのだから……!

 

 後どうでもいい事なんだけど、それを白銀の(エンシェント)ドラゴンがやってた時ってあの奴隷の時に着させられてた、ちょっと際どい服のままだったのかな?……だとしたらシリアスな場面なのにちょっとハズイ光景だな……。まぁ当人たちはそれ所じゃなかったんだろうけど……。

 

 ……まぁそれは置いといて、気になる事……勇者の権利を剥奪されたクロスは……一体どうなったのだろうか?

 

 俺とソフィアの首輪が外れているという事は、もう俺達は奴の奴隷じゃないのは間違い無い筈だけど……当の本人は?

 

「あの……クロスさんは……どうなったんですか……?」

「ああ、あいつね……。クロスは……死んだわ。スラムの裏路地で死体が発見されたらしいの。そしてクロスを殺したのは……黒騎士らしいわ」

「………………え??」

 

 え??黒騎士???な……なんでここで黒騎士が……!?

 もしかして偽物!?それとも……俺が気絶して白銀の(エンシェント)ドラゴンが表に出てきたみたいに、黒騎士も出て来たって事!!?

 

 おしえて!!俺の心の黒騎士or白銀の(エンシェント)ドラゴン!!

 

 

 ……………だんまりかーーい!!

 まぁ正直黒騎士にはあんまり期待してなかった!!あいつ俺を罵倒する時以外はとんと出てこないし!!でも白銀の(エンシェント)ドラゴンなら……答えてくれるかな?って思ってたのに!!

 

 でも……クロスを殺したのが本物の黒騎士にしろ、違うにしろ、もう噂が立ってる時点でどっちでもいい気がする!!

 

「キーー……」

「グギャギャ……」

 

 いつの間にか俺のベッドに乗っていたキーちゃんと黒い小さなドラゴン?が俺を慰める様に鳴く。

 

「ありがとう……」

 

 二匹を優しく撫でて俺は荒れた意識を落ち着ける。

 ……アニマルセラピー………ん?何この小さなドラゴン??

 

「あ!その子の事紹介するわね!その子は小さくなったジャバウォッキーで、エイシャ曰くなんかクロスの騙されてたんだって。そして私が勇者に選ばれたら、何か懐かれちゃって、連れて行こうかな?って思ったんだけど、ジャバウォッキーって大きいでしょ?それで困ってたら……小さくなったのよ!」

 

『よろしく頼む。白銀の(エンシェント)ドラゴンの器の少女よ!!』

 

 ………マジか。

 

 なんか……俺が気絶している間にホントに多くの事があったんだな……。マジでついていけなくなってきた……。

 

 ジャバウォッキーがミリヤに懐いたこととか、小さくなれる事とか、俺がいつの間にかドラゴン語を理解してる事とか、黒騎士がクロスを殺した事とか……。

 

 もう完全にキャパオーバー……。

 

「それでね……って!!コウ!?大丈夫!!?」

「コウ!?どうしたの?……コウ!?」

「キーーー!!?」

「グギャギャ!!?」

 

 俺はミリヤやソフィアの声が遠くに聞こえるのを感じながら、目をぐるぐるさせて気を失ってしまうのであった……。

 

 ……あ!どうでもいい事だけど、ドラゴン語はそういや先代白銀の(エンシェント)ドラゴンの言葉理解してた時に解ってたんだったな……。

 

 

 なーんて感じで一回また気絶しちゃった訳なんだけど……俺がいるのは今どこだ??

 辺りが真っ暗で何にもない空間に、今俺はポツンと立っていた。

 

 普通なら……こんな状況なら混乱するんだろうけど、多分これは……。

 

「そこにいるんだろ?妹!!」

「………ふふ。妹じゃないわ?コウ……お姉さんよ?」

 

 俺の思った通り、そこには俺と瓜二つの少女が立っていた。……というかこの少女こそ俺の容姿の元になっているんだから、俺の容姿と瓜二つなのは当然だけど……。

 

 ここは……多分俺の精神世界みたいな所なんだろう。

 白銀の(エンシェント)ドラゴンである彼女が居るのが何よりも証拠だ。

 

 あ!俺の精神世界なら、今の俺の容姿ってもしかして前世の容姿なのかな!!?

 

「いいえ、違うわ。貴女の容姿は私と一緒……。そもそもこの世界に降り立って、私達の器になった時点で、貴女の昔の容姿は残ってないわ」

「……え!!?そうなの!?あれ?この世界に来ていきなり襲われて、最初に変身した時、俺って男だった様な気がしたんだけど!!?」

 

「それは俺の容姿だ……阿呆が」

 

 むむ!!このくぐもったいかにも嫌味っぽい声は……!

 

「黒騎士!!」

「ふん。ようやくお目覚めの様だな?随分とまぁぐっすりの眠り姫だったなぁ?」

 

 俺の後ろに立っていたのは、俺が何時もお世話になっている最強戦士、黒騎士だった!

 ……ん?お目覚め??俺は今またキャパオーバーで気絶してるんだけど……。

 

「貴女は前回からの深いダメージを負っていたの。それは……バエルと戦った時に使った最大強化(ブースト)魔法の重ね掛けや魔族の毒のせいでもあるんだけど……、その傷は貴女の精神までにも及んでた。そして、今回の電撃のショックで貴女の精神的ダメージは完全に貴女のキャパシティを超えてしまったのよ」

「ほえーーー」

「ちっ!間抜けな声を出すな!!危うくお前は廃人になる所だったんだぞ?そこの白銀の(エンシェント)ドラゴンのお陰で何とかお前の意識は保たれたが……!!」

 

 怒られちゃった。

 でもしょうがなくない??バエルとの戦いだって避けれなかったんだし、今回だってなりたくて奴隷になった訳じゃないし……。

 

「ふふ。そう拗ねないで?黒騎士も貴女の事を心配してるのよ?」

「していない!!……まぁ本体が廃人になったらこっちも困るのでな?その点では少しは思う所があるがなぁ……」

 

 素直じゃないんだから、と言う白銀の(エンシェント)ドラゴン……シェンちゃんの言葉に舌打ちすると、黒騎士はそっぽを向いてしまった。

 

 うーーん。

 正直黒騎士はもっと俺の事嫌いなのかと思ってた!

 

 でも実際話してみると、思った以上に嫌われてないのかな??……だとすると……ちょっと嬉しい!!

 

 だって黒騎士の力のお陰で今までずっと戦ってこれたのだ!結構傷つくことを言われてきたけど、やっぱり黒騎士だって俺の一部なのだから仲良くしたい!!

 

「……!!っち!!本当にお前は……調子の狂う餓鬼だ!!」

「ふふ。私も勘違いしてたんだけど、彼……思った以上に貴女の事、嫌ってないみたいね?」

 

 そう言って朗らかに笑うシェンに釣られて俺も笑顔になる。

 

「というか……シェン??」

白銀の(エンシェント)ドラゴンって毎回呼んでたら長くない??だから……って!!二人ともさっきから普通に俺の心読んでない??俺は二人の心読めないのに!!」

「ふふ。素敵な名前ありがと」

 

 不公平だ!!っと抗議する俺を余所に笑顔で俺に礼を言うシェン。

 はぐらかされたのは非常に気になるが……まぁお礼を言われて悪い気はしないな!

 

 そんな俺を微笑んで見ていたシェンは……少し真面目な顔を作って言った。

 

「コウ……これから貴女に大事な話をするわ。……聞いてくれる?」

 

 そう言って真剣な目で俺を見つめるシェンに、俺はちょっと生唾を飲み込んで、コクリと頷くのであった。

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