最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第114話

「まず一つ目、黒騎士に変身した時、今後最大強化(ブースト)魔法の使用は控えてほしい」

 

 シェンのこの言葉から始まった俺への大事な話はこうだ。

 

 1.今後最大強化(ブースト)魔法の使用は控える事。

 

「そもそも分身を出してる時に、最大強化(ブースト)は絶対に使っちゃダメ!黒騎士は分身して二人存在出来るけど、私は分身を使える訳じゃないから……分身が変身を解除している場合、コウが二人存在する事は出来ないの。つまり……片方が消えてしまう。分身が消えるだけならいいんだけど、多分本体である貴女が消える事になると思う。そうなると……分身も消えちゃうから、結局両方消えちゃう事になるわ!」

「ひええ」

最大強化(ブースト)後は変身が解除されちゃうけど、その変身解除前の猶予期間で分身と合体出来ないとそうなっちゃうから……今後はもし、もし!!最大強化(ブースト)を使う事になっても、分身している時は使わないようにね!!」

「は……はぁい……」

 

 2.まだ黒騎士の力は完全に戻っていないので(大体今20%ぐらい?)、もっと回復するまでは極力黒騎士への変身はしない事。

 

「万全に近い状態ならいいんだけど、今の状態で変身しちゃうと多分、貴女への負担が大きいと思うの。そもそも体を動かすこと自体が出来ないかも!!だから……もうちょっと回復するまでは変身を控えてね?」

 

 3.これから俺の意識が覚醒した後、極力シェンや黒騎士への問いかけは控える事。……なんで??

 

「私や黒騎士は貴女と一心同体。そんな私達にいつも問いかけてたら、貴女の心がどっちかに寄ってしまう可能性があるの。心……精神が不安定になるって言ったらいいのかな?だから私は貴女への問いかけは控えてたんだけど……」

 

 そう言って黒騎士を睨むシェン。睨まれた黒騎士は、そんな視線どこ吹く風とそっぽを向いて受け流していた。

 

「……ともかく、あんまり私達への問いかけは控えてね?もし……本当に大切な事があったら、私達から貴女へコンタクトをとるから……。罵倒とかじゃなくてね……!」

 

 そう言ってまた黒騎士を睨むシェンだが、今度はそれを鼻で嗤うと黒騎士は言った。

 

「お前の精神も、前回の最大強化(ブースト)とバエルとの戦闘のダメージそれに毒によるショック、そして今回の電撃のショックで大分疲労している。だからまぁ……さすがの俺も当分の間、お前への罵倒は控えてやろう……」

 

 当分じゃ無くてずっと!!っというシェンを無視して黒騎士は腕を組んで黙ってしまった。

 

 まぁ……黒騎士なりに俺を心配してくれてるんだろう!

 

「もう!!……ともかくコウもお願いね?……さて……そろそろ貴女の意識は覚醒するわ……。その前に何か質問はある?」

「……あ!!俺って黒騎士の容姿になれるのかな!?つまり……男に!!」

 

 この世界に降り立った時、俺は黒騎士の容姿だったそうだ。なら……またそれに変身出来るのかな!?

 

 そしたら……最近はアイドルとか奴隷とかで有耶無耶にしていた、エイシャをちょっと意識しちゃってる事とかも、男に戻ればなんとかなるかも……!

 

「それは無理ね」

 

 そんな俺の期待は、無情にも打ち砕かれるのである。……なんで!!?

 

「貴女が母を討ち取った時、その後に全身を焼ける様な痛みが奔ったのを覚えてる?」

「……うん。……ごめんね?シェンのお母さんを……」

「??……あ!!気にしないで!?母は本望だったと思うわ!それに……貴女が母を助けたのよ?魔族に操られ、暴走した母を止めてくれたの!母は貴女に感謝してた!それに……彼女は貴女の母でもあるのよ?だから……むしろ私は貴女にお礼をいいたわ。……私達の母を助けてくれて、ありがとう」

「シェン……!」

 

 その言葉に涙が流れてしまう。

 正直……ちょっと怖かったのだ。白銀の(エンシェント)ドラゴンを討ち取った俺を、シェンは恨んでるんじゃないかって……。

 

 シェンは涙を流す俺を、そっと抱きしめて言葉を続けた。

 

「私は貴女を恨んでなんかいないわ。むしろ……さっきも言ったけど、本当に感謝してる。だから……悲しまないで?貴女と私は一心同体。貴女が悲しむと……私まで悲しくなるの……」

「うん……。ごめんね?シェン……」

「ふふ。謝罪もいらないわ?……さて!話を戻しましょうか」

 

 シェンはわざと明るく言うと、俺から少し離れて言った。

 

「あの時の貴女はとても不安定な存在だったの。黒騎士と私の命の器として、とてもね?そのままじゃ貴女はどっちつかずの存在として、精神どころか肉体も崩壊してしまうかもしれなかった。だから母は、貴女を白銀の(エンシェント)ドラゴンの肉体に固定することで、不安定な存在の貴女を救ったのよ」

「へぇええ。それで俺は普段は女の子になっちゃった訳だ!」

「そう。私をメイン、黒騎士をサブにする事で貴女という存在を固定させたの。だから……黒騎士に変身できても鎧は脱げなくなったでしょ?変身を解除しないと」

 

 なるほどね!それでどうやっても兜とか取れなかったわけだ!納得!!

 

 ……出来れば男の肉体をメインにして欲しかったけど、今更ないものねだりはできないな!!命を助けてくれただけ……やっぱり白銀の(エンシェント)ドラゴン……お母さんには感謝しないとな!!

 

「ふふ。まぁ母の願望はあったと思うけどね?死んでしまった私を、また復活させたいって思いで貴女の姿を白銀の(エンシェント)ドラゴンに固定したのもあると思うけど……。まぁ私は嬉しいわ?だって黒騎士みたいな男がメインになるの、私も嫌だもの」

「ふん……悪かったな?みたいな男で……!」

 

 黒騎士が拗ねた様にそっぽを向く。

 うーん。こう見るとやっぱり黒騎士は……なんか兄貴みたいだな!本人は嫌がるかも知れないけど、口は悪いし態度も悪いし、おまけに性格も悪いけど……なんか前世の兄貴みたい!!

 

「………はぁ……。下らない事を考えてるうちに、そろそろ目覚めの時間だぞ?さっさと目を覚ませ」

「ふふ。黒騎士ったら照れてるのね?じゃあ……コウ。頑張ってね?私と黒騎士は、貴女の中からずっと見守ってるわ。だから…………あ!」

「なに!?どうしたの!!?」

「大変!大切な事を言い忘れてたわ!あのね……コウ!!私の力なんだけど!コウの体を使わせて貰った時に私の……白銀の(エンシェント)ドラゴンの力を使っているから、少しずつだけど貴女も白銀の(エンシェント)ドラゴンの力を使えると思うの!体が……使い方を覚えているわ!」

「おお!?」

「戦闘は余り期待しないでね?でも……黒騎士の力が戻るまでは、そっちをメインで使ってもいいかも!だから……無理しないでね!?コウ!!」

 

 その言葉と共に、暗く俺達三人以外いない空間が少しずつ掠れていく。

 どうやら目覚めの時の様だ!

 

「分かった!!二人ともありがとう!!これからも……よろしくね!シェン!黒騎士!!」

「ふふ。ええ!よろしくね?私の大切な妹……!体も心も……大切にね!」

「ふん。精々死なない事だ。お前に死なれれば、俺も消えてなくなるのだからな」

 

 最後まで憎まれ口をたたく黒騎士に苦笑いし、俺の意識は覚醒していく。

 

 でも、最後の一つだけ言わせてくれ!

 

 やっぱり………俺が姉だろ!!!

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