最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
「コウ!大丈夫!!?」
俺が目を覚ますと、ミリヤが俺を覗き込むようにして、心配そうに見つめていた。
ここは……さっきのベッドだね!
「お姉ちゃん……すみません。私……頭ぐるぐるして……」
心配そうに俺を見つめるミリヤに謝り、俺は体を起こす。
「ううん!私こそごめんね!?目覚めたばっかであんなに一気に説明されたら、目が回るわよね!」
「本当に……あそこまで詰め込んだ説明されたら、混乱するのも無理ない……。貴女は反省すべきだよ……」
ミリヤの謝罪に、俺の隣にいるソフィアがジト目で答える。
いやいや!!俺のキャパが少なすぎるのが原因なんだから、ミリヤは悪くないよ!!
「お姉ちゃんは悪くありません!私が……馬鹿なのがいけないんです……」
自分で言ってて悲しくなるな!!
そう言って項垂れる俺に、ミリヤはフォローしようと口を開きかけて……。
「コウ!目が覚めたのか!?」←エイシャ
「コウ様!!大丈夫ですか!?」←マリィ
「コウたん!!体は大丈夫ですかな!!?」←ギーツ(なんで?)
「あーんもうコウちゃん!!いつも無理しすぎじゃなーい?」←ベリアル(もっとなんで!?)
皆が一斉に部屋になだれ込んできたので、それ所ではなくなるのであった……。
……マジでなんでギーツとベリアルがいるの???
◆
その後、俺の無事を確認したエイシャによって、事の顛末が語られた。
あらましはさっきミリヤから聞いてたから大方理解していたが、それにプラスで語られる情報によると、どうやらクロスの居たマフィア、ラ・ローザ・ネーロ?ネーラ?はギーツ達によって壊滅したらしい。
クロス達に襲われた後、エイシャは瞬間移動で自分の国に戻ったりとかする間に、一度ギーツ達も訪ねていたらしい。そんで、ギーツ達にマフィアの本元を任せて、自分はこの国の国王に面会しに行ったって訳だ!
「いやいや死ぬところだったんですぞ!?ベリアル殿の戦車に乗せて貰った訳なのですが、何度も振り下ろされそうになりましてなwww」
「んふふ。だって急いでたんでしょ?じゃあしょうがないわよねぇ??それにしても……一応言っとくけど、私魔王軍は抜けたけど、完全に人間たちの味方するわけじゃないんだからねぇ?便利屋みたいにされても困るんですけどぉ?まぁ……今回のマフィアは私も因縁があったから手伝ったけど!!」
「ツンデレ乙www」
コントを繰り広げるギーツとベリアルだが、この二人が来てくれて本当に良かった!!二人のお陰でマフィアを潰せたのだから!!
そう思って二人にお礼を言ったのだが、ベリアルは微妙な顔をして言った。
「まぁ……お礼は言われるのは嬉しいけど、マフィアを完全に潰すのは残念ながら無理よ?確かに頭も潰して、麻薬の工場も潰したけど……きっとまだ隠している工場もあるだろうし、何より構成員だって残ってる。ラ・ローザ・ネーラの名前は無くなるかもしれないけど、きっとまた名前を変えるだのなんだのして、マフィアは復活するわ……残念だけどね?」
「まぁでも今までみたいにデカイ顔は出来ないでしょうな!!何故なら勇者という後ろ盾が無くなったのですからな!!それだけでも十分でござる!!」
神妙な顔をするベリアルと、あっけらかんと言ってのけるギーツ。
まぁベリアルの言う事も解るけど……ギーツの言う通り、勇者クロスの後ろ盾が無くなった以上マフィアも少しは大人しくなるかな?……なるといいな!
まぁこれでようやく俺も一連の流れは理解できた!!
右往左往したけど、何とか解決したし……セントラリアを襲っていたマフィア達も鳴りを潜めれば、アイドルの皆も危険にさらされる事は少なくなるだろうし、俺とソフィアも奴隷から解放されたし……めでたしめでたしだ!!
今回の一連で俺がまったくこれっぽっちも役に立たってない所か、足手まといだったのは取り合えず置いておく!!
下手すれば王都での爆破事件の時より足手まといだった俺だが……まあシェンの活躍のお陰で少しは何とかなっただろ!ミリヤも勇者になったし!!結果良ければすべてよし(暴論)!!
でも……エイシャの説明で一つ気に入らない事があった。それは………。
この国の国王の願いで、クロスの悪行は公表されなくなったという事だ。
何でもクロスはいくら横暴だろうと勇者だったので、そんな勇者が裏で悪事に手を染めていたという事を公表するのはまずいだろうという事だ。
微妙に納得できないけど、まぁ政治的な話とかいろいろ絡むんだろうし、この国の国王が決めたのなら口は挟めないけど……なんかちょっとモヤモヤしてしまう!!
それと……ミリヤが勇者になったことは、暫くは公表しないそうだ。
ミリヤたっての願いで、ミリヤ曰く自分はまだ勇者と呼ばれるほどの実力も人格も無いから、もっと勇者と名乗れる実力と自信がつくまでは待って欲しいとの事だ。
エイシャはそれを受け入れ、取り合えず剣の勇者は不在になったと公表するそうだ。
あと、小さくなったジャバウォッキー(長いのでジャバ君と呼ぶ)は、ミリヤから離れなくなったのでしょうがなく連れて行くそうだ。
まぁ暴れる様子も無いし、なんかキーちゃんと仲良しになったみたいだし、意外とかわいいので異論はない。………心の中のシェンが、何やら納得していない様子だが……まぁ今俺は心の中のシェン達と話は出来ないので放っておく!!しゃーない!!
エイシャやマリィに、俺はもう大丈夫なのかとしつこく聞かれたが……それはミリヤ含めて取り合えず大丈夫だと説明しておく。
「表に出たシェン……
そう説明すると三人はほっとしたように息をついたが……内心シェンの方が良かったなーとか思われてたらどうしよう!?ちょっと戦々恐々としてしまう!!
何はともあれ……本当に大変だった今回の一連も……無事、解決した訳だ!!
という事は……今度こそ目的地である温泉に行ける訳である!!やったね!!
……あ!!
そう言えばソフィアはこれからどうするんだろう?ダン君って人と一緒に戻っちゃうのかな?
その疑問も籠めてソフィアを見ると、俺の視線に気づいたのかソフィアがニコリと笑って言った。
「私……コウ達について行こうと思う」