最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
「だから……悪いけど、あなた達はしばらくこの旅館から動かないでもらうわ!!」
ミリヤの言葉にエントランスに集められた人たちがざわめく。
それもその筈。
この旅館で殺人が起きたのに、何と外でもやばい魔物がうろついていて旅館から出る事が出来なくなってしまったのだから!!
それにしても……そのギガントサーベルドラゴン?ってのは相当やばい魔物なんだろうな……。
だってわざわざミリヤが一度戻って皆に忠告に来るくらいだ。つまり今日明日ぐらいじゃあ倒す事が出来ない程のやばい奴なんだろう。
そう思って不安になっていると、何時の間にかミリヤの肩から俺の肩へと移動したジャバ君が口を開いた。
『そう恐れるな!器の少女よ!刃竜など、我と我が友にかかれば大した事はないが……問題は奴のすばしっこさでな!もし取り逃がしたら面倒だから、この場を動くなという事だ!』
なるほど……。
取り合えずミリヤ達が倒せない相手ではない訳だ。
それを聞いて少し安心する。
もしミリヤ達の手に負えない相手だったら……今黒騎士に変身する事をシェンに禁じられてる俺だけど、別に変身できない訳じゃないので、最悪黒騎士に変身してでもミリヤ達を援護しようかと考えていた。
まぁ万全じゃない黒騎士なんてエイシャにとっては足手まといかもしんないけどな!!
でもそれ程でもないなら、ミリヤの言う通り大人しく「ふざけないでよ!!」……おっと?
「こんな人殺しが居るかも知れない旅館でじっとなんかしてられないわ!!貴女さっきそっちの男性にも言ってたけど……冒険者で、魔物退治の専門家なんでしょ!?早くどうにかならないの!?」
金髪ロングの美人さんが、ミリヤの言葉に食って掛かるが……この人さっきの男の人とミリヤのやり取りちゃんと聞いてなかったのかな?
どうにかならないからミリヤが一回旅館に戻ってきて、俺達に忠告しに来たんだろ?
「……そうだぜ!!地竜じゃ無かったら何だってんだ!?どんな魔物だろうとさっさと狩ってこいよ!!それがお前らの仕事なんだろ!!?」
あ!!
援護受けたからか、さっきミリヤに捻り上げられた男の人も復活しちゃった!!
そんな二人の言葉に、残りの宿泊客も同意見なのかミリヤを睨みつける。
うーーん。
やっぱり皆旅館での殺人で、気が動転して冷静な判断がとれなくなってるんだろうな……。
てゆーか、なんかミリヤが悪いみたいな雰囲気になってるけど、どうしたらいいんだ!?
「……あのねぇ……ただの魔物と違うから、大人しくしとけって忠告しに来たのよ?簡単に狩れるんだったらわざわざ戻ってきたりしないわよ!」
「うるせぇ!!お前は死んでもいいから俺達を守る為に魔物狩りに行けよ!!なに簡単にあきらめてやがるんだよ!!」
「ちょっとスティーブ!!その言い方はないんじゃない!?」
「そうよ!!アンタ達冒険者の仕事は私達の様な人間を守ることでしょ!!?だったらさっさと行って
「皆さん……少し落ち着いて下さい!」
「大体にしてよくもさっき俺の腕を捻ってくれたな!!後でたっぷりお礼してもらうからな!!体でなぁ!!」
「スティーブ!!何言ってんの!?」
「まぁ俺もスティーブに同意だぜ……。今ちょっと安いからって来てやったのに……流石に殺人があったんじゃぁなぁ……?それに……俺の彼女もふさぎ込んでるし……」
「ほらね!!皆同じ意見よ!!だからさっさと早く倒してきなさいよ!!」
「そうだぜ!!さっさとそのギガなんちゃらドラゴン倒してこいよ!!」
あーーーーー!!
もうめちゃくちゃだよ!!
誰が何言ってんのかさっぱり解んねぇ!!
どうすんのこの状況!?誰か収めてくれるの!?
途中でマリィが皆を止めようと、声を上げたけど……ヒートアップしてて誰も収まらない!!
俺がどうしたものかと頭を悩ませていた次の瞬間……!
「黙れ」
一瞬でその場が凍えるような、静かな……しかし確かな殺気の籠った声がエントランスに響いた。
その殺気にあてられて、騒いでいた人たちは一瞬で静かになる。
今のは一体誰が!?
声からして、男性だと思うけど……多分だけどエイシャの声じゃない!
「おや……?皆さんどうしましたかな?なにやら揉めていた様ですが……」
声の主を探して俺が辺りを見渡していると、エントランスの奥からホズムさんがゆっくりと歩いて来た。
……さっきの声の主はホズムさんだったのかな??なんかそんな感じはしないけど……。
「あんた……確か探偵の……。今まで何処にいたんだよ……」
先程の殺気ですっかり意気消沈してしまったスティーブさん?が、遅れてエントランスにやって来たホズムさんに問う。
「
そんなスティーブさんに笑顔で答えると、ホズムさんはまたエントランスに集まっている皆に質問をする。
「私が説明致しますわ……」
その疑問にマリィが手を上げると、事の経緯をスティーブさんに説明する。
そんなマリィとホズムさんを見て、取り合えず場が収まった事に、俺はほっと溜息をつくのだった……。
◆
「なるほど……
事の経緯の説明を受けたホズムさんは、顎に手を当て神妙な顔をする。
「相手がその魔物ならば、一筋縄ではいかないでしょうな……。確かに殺人犯が居るとはいえ、今外に飛び出て行くよりもこの旅館で大人しくしていた方がまだましでしょうなぁ……」
「……ちっ!アンタもそう言うのかよ……」
ホズムさんの言葉に、スティーブさんが不満げに声を上げる。
この人の名前だけさっきから連れの女性にめっちゃ呼ばれてたから、流石に覚えたよ!
「そうですね!今まで旅館周りで被害が出なかったのが不思議なぐらいですよ!相手が
「くそ!!……なんだよ……そりゃ……」
「しかしミリヤ殿がわざわざ一度戻って我々の忠告に来たのは、何も彼女達がかの竜を倒せないからという訳では無い。恐らくですが……この辺りで発見された地竜は
ここでようやくホズムさんによって、何故ミリヤが一度戻って来たのか……その理由を説明した。
要約すると……ていうか、俺自身はジャバ君からちょっと聞いたけど、補足的に説明すると……。
・
・しかも幼体は黒いやつと赤い奴の二匹居た。
・まだ
・そもそも
・故に万全の準備をして、
という事だ!!……なんかこれで要約出来てるかな!?
それにしても……途中でミリヤも説明に混じりつつホズムさんはエントランスの皆に説明してたけど……ほとんどミリヤ達の情報無かった筈なのに、よくここまでホズムさんも解ったな……。
やっぱり……この人は自称じゃなくて、本当に名探偵なんだな!!すごい!!
………そう思ってたんだ。この時は本当に……。
だからこの名探偵が……この後あんな的外れな推理するなんて……この時は夢にも思ってなかったのである……。