最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第131話

 ミリヤとマリィに連れられて、旅館にいる人たちがまたエントランスに集められる。

 

 あ!エイシャも無事に帰ってきてる!!良かった!!

 そう思いエイシャに駆け寄ろうとして……何故かマリィに止められてしまった。……なんで?? 

 

 そんな疑問符を頭に浮かべながらも、始まるホズムさんの推理劇……つまり冒頭(第118話)に戻る訳である!!

 そう、迷探偵の迷推理の場面に……だ!!

 

 

「いい加減にしろ……貴様のくだらない妄想を聞くために俺達をここに集めたのか?」

 

 あ……勝手に犯人扱いされたエイシャが、的外れな推理をペラペラと喋りだしたホズムさんにキレちゃった。

 まぁ気持ちは分からなくもない。

 

 だって外でドラゴン退治に行ってたエイシャが三人を殺す事なんて普通に考えて無理だし、そもそもエイシャは黒騎士じゃない。

 

 つまりホズムさんの推理は全くの的外れ……という事になるが、そこんとこどうなんだろう?

 多分ホズムさんの推理が外れているとマリィもミリヤも解ってると思うけど、ミリヤは呆れ顔で、そしてマリィは神妙な顔をしてホズムさんの推理を聞いていた。

 

「おや?罪をお認めにならない……と言う事ですかな?エイシャ殿……」

 

 驚いた様にエイシャに言うホズムだが……それは当たり前じゃないか?だってエイシャには認める罪なんて無いんだから……。

 

「当たり前だろう。俺は旅館で殺人なんてしていないし、そもそも黒騎士じゃない。大体にして俺は、刃竜を狩りに行っていたのだから殺人なんて出来る筈ないだろう?」

「ふふ……そこがミスリード。確かに貴方はオーナーの依頼で狩りに行っていてこの旅館に居なかった……そう思わせるのがトリックだったのです!!」

「はぁ?あんた一体何言ってんの!?」

 

 ホズムさんの言葉にミリヤが食って掛かるが……そんなミリヤを無視してホズムさんは話を進める。

 

「貴方には旅館で協力者がいたのですよ!その協力者によってあたかもこの旅館には居ない存在として、自由に旅館で行動出来たのです!!」

「な……一体誰なんだよ!!その協力者って!!?」

 

 ホズムさんの言葉にスティーブさんが反応するが、協力者って……何言ってんだろ?

 エイシャの協力者って言ったら俺達勇者御一考という事になるが、まさかホズムさんは俺達の中に共犯者がいると言いたいんだろうか?

 

「そう!!そしてその協力者は……!!」

 

 芝居がかった仕草で大きく手を上げるホズムさん。

 

 どうしよ!このままじゃ勇者御一考の中で、犯人一派として新しい容疑者が出てきちゃう!!

 これ以上ホズムさんの迷推理で、俺達の中から容疑者出すの止めて欲しいんですけど!?

 

 そんな俺の思いも空しく、ホズムさんはエイシャの共犯者(仮)に指を突きつけた!!

 

「シトリーさん……貴女です!!」

 

 ……ええええ!!?

 ここにきてシトリーさん!!?

 

 エイシャと全く関係ない人が、ここにきて犯人の協力者として名指しされちゃったんだけど!!?

 

「………は?……え?わ……私……!?」

 

 予想外の白羽の矢を立てられたシトリーさんは、完全に動揺してしまっている。

 

 まぁそれもそうだろう。

 だってこの場にいた誰しもが、まさかシトリーさんが共犯者なんて言われるなんて思ってなかっただろう。

 

 うーーーん。

 これってなんか不味いんじゃない?

 

 だって多分シトリーさんも免罪だろうし、これ以上ホズムさんの暴走をそのままにしてたら無罪のエイシャもシトリーさんも可哀そうだ。

 

 ていうか……ミリヤはもう訳が分からんという感じで頭を抱えているけど、なんでマリィはホズムさんの暴走を止めないんだろう?

 マリィだってシトリーさんはともかく、エイシャが犯人じゃ無いって解っているだろうし、このままにしといたら碌な事にならないって解りそうなもんだろうけど……。

 

 そう思いマリィに話しかけようとして……。

 

─────お前の目は節穴か、このド阿呆が……!!

 

 心の中の黒騎士からの罵倒を受けた。

 

 ……シェンとの約束で俺に話しかけるの禁止になったんじゃ無かったんですかー。って思うけど、わざわざシェンとの約束破ってまで俺に話けてくるって事は……本当に俺の目が節穴なんだろうな!!

 

 一応黒騎士はいつも俺がピンチの時とかに警戒する様に言ってくれるので、今回もその類なんだろう!

 

 そう思っていると……ふと、エイシャに違和感を感じた。

 

 なんだろ?

 エイシャが何時も纏っている勇者としての気配??オーラみたいなの??をあんまり……所か全然感じないのだ。

 まぁいつもいつもそんなオーラみたいなの感じている訳じゃ無いので、正直自信無いのだが……この違和感はなんだろ?

 

「……エイシャ様……大丈夫ですか……?」

 

 取り合えず違和感に突き動かされる様に、犯人扱いされてるエイシャに声を掛けてみる。

 すると……エイシャは気だるげに俺を見て、舌打ちをした。

 

「っち。……全くもって面倒な事になった。こんな下らない事などとっとと終わらせて俺は刃竜退治に戻らなければならんというのに……。おい……お前からも何か言ってやってくれないか?コウ。あの馬鹿にこの下らない推理劇をさっさと終わるようにな……」

 

 ………………………誰だ?………この人……?

 

 エイシャはこんな蔑んだ目で、俺を見た事なんて無い……!

 エイシャはこんな……投げやりに俺の言葉に答える事なんて………無かった筈だ……!

 

「う……あ……?」

「……?どうした?」

 

 言葉に詰まってしまった俺を、訝しげな目で見てくるエイシャ……の偽物。

 

 それに更に動揺してしまう俺を……マリィが後ろから抱きしめて言った。

 

「コウ様はここの所、余り体調が優れていないのですよ?そんな事もお忘れになったのですか?勇者エイシャ様……?」

「………ああ。そうだったな……」

 

 後ろから俺を抱きしめてくれているマリィは……多分エイシャが偽物だと始めから分かっていたんだろうな。だから俺がエイシャに駆け寄った時に止めてくれたのだ。

 

 ミリヤも今の俺とエイシャの会話に違和感を持ったのか、鋭い瞳でエイシャを睨みつけている。

 

「さぁ!!お二人とも観念してください!!……皆さん!!彼らが逃げ出さない様に、一度彼らを拘束しましょう!!」

 

 そんな俺達の状況に気付いているのかいないのか、ホズムさんは大きく両手を声高らかに言った。

 

「出来る訳ねぇだろ!?シトリーさんはともかく……勇者なんて俺達に拘束する事なんて出来ねぇよ!?」

 

 その言葉に食って掛かるスティーブさんだが……ホズムさんはそんなスティーブさんにウインクすると、右手の人差し指を上げて言った。

 

「大丈夫ですよ!彼は勇者です。……いくら黒騎士だからと言って、民間人に危害を加える事など、紳士な彼ならば絶対にしないでしょう!!ですが……そうですね!普通は勇者を拘束などしたくないでしょう……!ということでミリヤさん!!マリィさん!!エイシャ殿とシトリーさんを拘束していただけますかな!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ミリヤとマリィは瞬時に動き、偽エイシャとシトリーの背後に回り込み二人の腕をねじ上げて拘束する。

 

「な!!?貴様!!どういうつもりだ!!?この三文探偵の口車に乗ったつもりか!?今なら許す!!手を解け!!?」

「……うっさいのよこの偽物。さっさと正体現しなさいよ……。……大体にして、本物のエイシャなら私の拘束なんて自分で解けるでしょうか!!」

 

「なにすんのよ!?こんな事……横暴よ!?訴えてやるわ……!!」

「ご安心を。すぐに拘束は解きますわ……。貴女が本当の事を言ってくれたら……ね……?」

 

 偽エイシャとシトリーさんが二人に文句を言うが……ミリヤとマリィはどこ吹く風だ。

 

 そんな拘束された二人の前にホズムさんは移動して……ニヤリと嗤って口を開いた。

 

「さあ……事件もクライマックスですな?この事件の真相は既に解っているのです。……そろそろ観念して……正体を明かしたらどうですか………魔族共……!」

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