最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第132話

「な……俺達が魔族だと!?馬鹿も休み休み言え!!」

 

 ミリヤに拘束されている偽エイシャがホズムを睨みつけて叫ぶが……そんな偽エイシャの言葉に、ホズムは口を吊り上げて答えた。

 

「一から十まで説明するのは好きですよ?私は探偵ですからねぇ……ですが……まぁそうですね……まずは貴方の正体から晒しておきましょうか……」

 

 そう言うとホズムさんはポケットから何かを取り出し……偽エイシャに近づけた。

 恐らく……石?みたいなものなんだろうけど、それを偽エイシャに近づけた瞬間、偽エイシャは苦しみだす。

 

「な……なぜお前がそれを!!?や……やめろぉ!!」

「おお!やはり秘石(ひせき)にはこのような効果もあるのですな?」

 

 秘石(ひせき)?とやらの効果で、偽エイシャの体からはシュウシュウと音を立てて煙が立ち始める!

 

「オセ!!」

 

 シトリーさんの悲痛な叫びと共に、偽エイシャの体は崩れていき……その中から角が生えた金髪の少女が現れた。

 

「うわあ!?ま……まさか……魔族なのかぁ!?」

「いやぁ!?な……なんでこんな所に魔族がいるのよ!!?」

 

 スティーブさんやエレナさんや、従業員の皆さんが驚きの声を上げるが……そんな人たちをホズムさんは呆れた目で見ながら言った。

 

「いやだから魔族達だって言ったでしょうが?……まぁそれよりも……これではっきりしましたなぁ?シトリーさん。貴女はこの方……オセさんでしたかな?と知り合いの様子。そしてこのオセさんは魔族であったとすると……シトリーさん。貴女も魔族なのですね?」

「っち!!」

 

 ホズムさんの指摘に、シトリーさんは舌打ちをして顔を歪める。

 そんなシトリーさんに笑顔を作り、ホズムさんは言葉を続けた。

 

「オーナーのリュウロウさんを殺したのも貴女ですね?シトリーさん……。そして狙いは今私が持っているこの秘石(ひせき)だったのでしょう?」

「!!!」

「この秘石(ひせき)はリュウロウさんが故郷の国から持ってきた神器。ここの温泉、癒しの湯に無くてはならないアイテムです」

「どういう事ですか……?」

 

 シトリーさんを取り押さえているマリィが、ホズムさんに質問する。

 

秘石(ひせき)は魔を退け、癒しを与える効果があるのですよ。だから魔術で変身していたオセさんは魔を退けられる……つまり魔術が解かれたのです。そして癒しの効果ですが……リュウロウさんはこの石を毎朝癒しの湯に入れる事で、癒しの湯は本当に体を癒す効果を発揮していたのです」

「それが……この秘湯の力……」

「はい。そしてこの秘石(ひせき)の力を狙って、シトリーさんはリュウロウさんに近づいた……。しかしシトリーさんにとって想定外の事が起きたんです」

「想定外の事……?」

「はい。……というよりも、最初から想定外だったのでしょうけどな!シトリーさんにとって想定外の出来事、それは第一の事件シャーロットさんが殺害された事件と、ホランさんの自殺です……!」

 

 んん!?

 この人自分で三つの殺人事件は同一犯ってさっき言わなかった!!?

 

「はぁ!!?あんたさっき自分でこの殺人事件は同一犯だって言っただろう!?」

 

 あ!スティーブさんが俺の疑問を口にしてくれた!!

 

 そんなスティーブさんに、ホズムさんは笑顔を作ると口を開いた。

 

「ああ、あれは真っ赤な嘘ですよ。シトリーさんを安心させて捕らえるのと、オセさんが変身したエイシャ殿が偽物だとミリヤさんに気付かせる為のね」

「え……私に!?」

 

 いきなり話を振られたミリヤが驚きの声を上げるが……そんなミリヤにホズムさんはウインクすると言葉を続ける。

 

「そうですよ?ここで魔族であるシトリーさんとオセさんを捕らえる事が出来るのは、マリフィセントさんとミリヤさんしかいなかったですからな!幸いマリィさんは最初から気付かれていたので、後はミリヤさんにその事を察してもらって、直ぐにでも動ける様になって貰いたかった……というのも理由の一つです」

「じゃあなんで……そんな危険な魔族がいるのに、皆をエントランスに集めたのよ!?それに先に言ってくれれば……!」

「……???事件の真相が解ったって言わないと、シトリーさんエントランスに来てくれないでしょう?個人的に呼んでも多分警戒されて断られるだろうし、かといって皆さんがエントランスに集まってるのにシトリーさんだけ来なかったら怪しいから、この状況ではエントランスに来るしかないでしょう?後、あのタイミングでミリヤさんにエイシャさんが偽物だと言う事はそれこそ出来ないでしょう。そもそも貴女……隠し事とか苦手そうですしね!」

「う……」

 

 ホズムさんの説明にミリヤは納得したのか、それ以上口を開けなかった。

 

 そんなホズムさんに、今度はスティーブさんが声を上げる。

 

「じゃあシャーロットとホランを殺したのは誰なんだよ!!?後、オーナーの部屋で争った形跡が無かったって言ってたけど……どうやってその女はオーナー殺したんだよ!!?」

「ああ。シャーロットさんを殺したのはホランさんですよ。それとホランさんは本当に自殺です」

 

 そんなスティーブさんの言葉に、ホズムさんは事も無げに言ってのける。

 

「はぁ!!?」

「殺されたシャーロットさんの私物から盗まれたのは金品だけじゃなくシャーロットさんの私物……指輪ですよ」

「指輪……!!?」

 

 その言葉に今度はケビンさんが酷く動揺する。

 

「そうです。貴方がシャーロットさんにプレゼントした指輪ですよ……ケビンさん」

「!!!」

 

 ホズムさんから語られた、シャーロットさん殺人事件とホランさんの自殺の概要はこうだ。

 

 元々シャーロットさんとホランさんはお付き合いをしていて、とても仲が良かったらしい。

 だがそこにケビンさんが現れ、ホランさんとちょっとした関係……つまり体の関係になったそうだ。そしてその関係はずるずると続き、ついにシャーロットさんとホランさんは別れてしまった。

 そしてケビンさんとホランさんはそのまま付き合った様なのだが……なんとケビンさん、今度はシャーロットさんにも手を出したのだ!!

 

 今度はホランさんに内緒で体の関係となったシャーロットさんとケビンさん。

 

 そんな時、昔から仲の良かった友人メンバーでちょっとした旅行に行こうという話になった。

 そして今、地竜騒ぎで格安で泊まれるこの旅館に皆で来たらしいのだが……そこで事件は起こる。

 

 前々からシャーロットさんに負い目を感じており、ケビンさんとの関係にも辟易していたホランさんは、シャーロットさんとよりを戻したくて部屋を訪れたそうなのだが……そこでケビンさんの指輪をうっとりと眺めるシャーロットさんを見て口論になってしまったらしい。

 

 そしてそのはずみで部屋にあった置物でシャーロットさんを殺害してしまい……。

 

 その後、誰にもばれない様に部屋に戻り、着替えてまたシャーロットさんの部屋へと行って悲鳴を上げて第一発見者となった訳だ。

 

 でも……シャーロットさんを殺してしまった罪、シャーロットさんとケビンさんに裏切られた怒りと悲しみに耐えきれず……今度は自らの命を断ったそうだ。

 

 ……なんというか……百合の間に挟まる男とはよく言ったものだが……一番悪いのケビンさんなんじゃね?めっちゃ屑野郎でしょ……この人……。

 

 因みになんでホズムさんがこんなに三人の関係に詳しいのかというと、旅館から少し離れた場所にぐしゃぐしゃの状態で捨てられてたホランさんの日記と遺書の一部を見つけたそうだ。

 

 それを捨てたのは……当然ホランさんの自殺を発見したケビンさんだ。

 遺書にはケビンさんへの恨みも赤裸々に描かれていた様で、見つかってしまえば自分も危ういかもと思ったケビンさんは遺書の一部を破り、そしてホランさんの日記と合わせて、皆の目を盗んで森に投げ捨てたそうだ。

 

 うーーーん。

 なんともやるせない事件である。痴情のもつれって……やっぱり怖い!!!

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