最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第133話

「さて……次はオーナーのリュウロウさんがどうやって殺されたか……という事なのですが、それは簡単な話。と、言いますのもぶっちゃけ彼女がオーナーさんに気付かれずに後ろからナイフで殺害したからですよ。ここでみそなのが、オーナーさんに気付かれずに背後に回り込んで……わざわざ胸を突き刺した所なんですけど……これはまぁシトリーさんが直近の事件と関連性を持たせて連続殺人に見せかける為……だったんでしょうけど、まぁお粗末ですね」

「……!」

 

 お粗末と言われてシトリーさんがホズムさんを睨むが……そんな事はお構いなしにホズムさんは話を続ける。

 

「因みにシトリーさんがリュウロウさんを殺したという証拠も当然あります。それは……彼女が持っている秘石(ひせき)ですよ」

「!!!」

「シトリーさんの目的は、リュウロウさんが持っている秘石(ひせき)だった。ではその秘石は今何処へ……?その答えは簡単。犯人であるシトリーさんが今持ち歩いているのです。部屋などに置いておいて、大切な秘石がもし紛失でもしたら大変ですし、持ち歩いているのはまず間違いないでしょう」

「……おかしいじゃない?じゃああんたの持っている秘石(ひせき)はなに!?なんで……あんたも秘石を持ってるのよ!!」

 

 あ!……確かに!!

 なんでホズムさんも秘石持ってるんだろ!?

 

「あんた”も”……とは語るに落ちましたなぁ……。私が持っている秘石は女将さんから預かったスペアですよ。貴女も知らなかった様ですが、リュウロウさんは秘石を二つ持っていて、一つは女将さんに預けていたんですよ」

「な……な……!!?」

 

 唇をわななかせ、シトリーさんを言葉を詰まらせる。

 

「リュウロウさんは歳の為今はそれほどだった様ですが、若いときはかなりの使い手だった様です。そんなリュウロウさんに気付かれることなく暗殺するのはかなり難しい筈。故に貴女は暗殺する際、魔術などを使って自分の気配を消すなり何なり出来るのでしょうが……まぁ今は無理でしょうな!!何故なら貴女は秘石(ひせき)を持っているのだから!!魔術は使えないでしょう!!」

「ぐう!!!」

「という事でマリィさん!!彼女の拘束を解かない様に!!どうやらその魔術など使わないと、シトリーさんは余り戦闘能力は無い様ですので!!」

 

 その言葉が正しいと証明する様に、シトリーさんは体を捩じってマリィの拘束から逃れようとするが……どうやら上手くいかない様だ。

 

 そんなシトリーさんに、ホズムさんは笑みを深めて言った。

 

秘石(ひせき)は犯罪者などを捕まえる時に使用する、魔力封じとは違って……魔を退ける物です。魔力封じの魔道具は、魔力を無理やり抑えつけるっといった感じの道具ですが……碑石はどちらかと言うと魔力がすり抜けていく……といった感じでしょうか?つまり貴女が魔術を使おうとすればするほど、力が抜けていくのです。故にいかに膨大な魔力を持っていようとも、貴女が魔術を使う事も、魔力で体を強化する事も出来ないのですよ」

「……!!!」

 

 シトリーさんは、その視線で人を殺せるのではないかと思うほどホズムさんを睨みつけるが……ホズムさんはそんな視線どこ吹く風といった風に微笑むと、エントランスに集まっている人たちに向かって両手を広げて言った。

 

「これにて事件解決です!!皆さまもう安心してください。この旅館でこれ以上殺人は「くくく……」……ん?」

 

 ホズムさんの言葉を遮るように、くぐもった嗤い声が聞こえる。

 

 そしてそれを発していたのは……!

 

「ここまでとはねぇ……。ちょっとあんたの事馬鹿にしてたよ……()探偵……」

 

 ミリヤに取り押さえられているオセだった。

 さっきから随分と大人しくミリヤに取り押さえられてると思ったけど……何かしでかすつもりだろうか?

 そんなオセに、ホズムさんは近づき……オセの頭の上に秘石を置いて言った。

 

「……ふうむ。何かされても面倒ですな。これで貴女も魔術は使えないでしょう……。さて……一体どうしましたかな?」

「ふっはは!!安心しなよ!!私もお姉も、正直戦闘能力殆ど無いからさぁ!!……ていうか名探偵!アンタ疑問に思わなかったの!?お姉は秘石持ってんのに、なんで人間のふり続けてられるんだろう……てさぁ!!」

「………」

「私達魔族は人間に擬態する時魔術を用いる。だから秘石なんて持ってたら、普通は……魔術解けちゃって魔族だってバレちゃうよねぇ!!?」

「………まさか………!」

 

 その言葉に初めてホズムさんの表情が崩れる。笑みを消して険しい顔へと……。

 

「オセ!!黙りなさい!!」

「いいじゃんお姉……こいつら皆死ぬんだし、教えてやったってさ!!……そう、そのまさかさ!!頭のいいアンタならもう解ってんだろ!!?完成してんだよ!!完全に魔族から人間へ転生する秘術がさぁ!!……これ、何を意味するか、名探偵さんなら解るよね?」

「………!!」

「これまで以上に魔族は人間達の中に入りこめる!!アンタ達が大好きが同族が、もしかしたら本当は魔族なのかもしれない……そんな誰も信じれない素晴らしい混沌(カオス)が、もうあんた達のすぐ傍にあんだよ!!!あは……あははははははは!!!」

 

 勝ち誇った様に高笑いするオセだが………うーーーん。

 正直それがそんなに不味い事なのか、いまいちピンと来ない。

 

 だって魔族から人間に転生する秘術って……それ使ったらもうその魔族は普通に人間ですよね?

 

 確かに心は魔族だ!!って感じで人間に牙を剥くのかもしれないけど……正直人間だって屑はいるんだし、犯罪者だって悪人だっていっぱいいる。

 前回の街のマフィアの連中だって当然悪人共だったし、もしかしたら人間の中に魔族の内通者だっているかもしれない。……ていうか普通にいると思う。

 

 だからその秘術使おうが使うまいが、悪い人は悪いしいい人はいいんだから、今の状況とそんなに劇的に変わるとは思えないけど……まぁ馬鹿な俺の考えなんて及ばない使われ方するんだろうな!!よく分かん無いけど!!

 

 なんてどうでもいいことを考えている間にも話は進む。

 

「あとさぁ……!アンタ達の頼みの綱の勇者様……もうとっくに死んでるよ?んで、私達に勇者殺すなんて天地がひっくり返っても無理な訳……。じゃあさ……一体誰が勇者を殺したと思う?」

「……誰なんですかな?」

「それはさぁ……今から教えてやるよ!!!」

 

 オセのその言葉と共に、どどどどど……と地響きが鳴り響く。

 旅館全体が揺れてんじゃないかって程の地響きに、旅館にいる人たちは青ざめるが……そんな人間達を見て、オセは高らかに言った。

 

「欲しいもの手に入ったら始めからアンタら皆殺しのつもりだったのさ!!私がわざわざ勇者のふりしてまでここに来たのって、ここにたまたま居るって聞いた白銀の(エンシェント)ドラゴンを確実に殺す為なんだけど……ま!やっぱりこれなら確実に死ぬよね!?」

「これは……!!」

「あっははは!!そうさ……巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)の群れが……今この旅館に向かって全速前進してんのさぁ!!」

 

 その言葉に、ミリヤやマリィ……そしてホズムさんの顔色が強張る!

 

 そんなホズムさん達の表情に満足したのか、オセは声高らかに言った。

 

「さぁ……フィナーレだよ!?皆纏めて……死んじまえよぉ!!!」

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