最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
地響きをかき鳴らし旅館へ向かって来ている
オセやシトリーさん達の切り札の様だけど……このままじゃこの人達も襲われんじゃね?って思うけど、正直今はそれ所では無いのだ!!
旅館は今大パニック!!
スティーブさん含む残りの宿泊客や、従業員たちは口々に叫びながら逃げ纏うが……今バラバラになったらまずいんじゃないかな!!?
地響きはすごい勢いでこっちに向かっているので、このままでは旅館に刃竜達が到着するのは時間の問題……なんて思ってた次の瞬間!!
轟音と共にエントランスのドアぶち破って巨大なドラゴンが姿を現した!!
四足歩行で移動する様で、翼とかはついてないけど硬そうな鱗と……これ見よがしに振り回している尻尾の先に見える鋭利な刃!!
こいつが……
「っちぃ!!
「致し方ありませんな。それよりもミリヤさん。どうやら一匹では無い様ですよ?」
ホズムさんの言葉に同意する様に……さっきと同じ巨体なドラゴンが、壁を突き破って次々と現れる。
「!!?……な……なんでこんなに!!?」
「恐らく彼女達の仕業なのでしょうが……マリィさん!!結界を!!!」
ホズムさんの言葉に反応してマリィは結界を張ろうとするが……抑えているシトリーさんをどうするかと一瞬迷ってしまう。
その隙をついてシトリーさんはマリィからの拘束を逃れ、走ってミリヤ達の元へ向かってきた!!
「!!ミリヤさん!!申し訳ありません!!」
マリィはミリヤに叫ぶが……ミリヤがそれに反応する前に、シトリーさんは胸の谷間から石を取り出し、
あれはまさか……!!
「っち!秘石を……!!」
ホズムさんが歯噛みするが……刃竜はシトリーさんから投げ渡された秘石を食べるとそのまま飲み込んでしまった。
それにミリヤやホズムさん達が驚いていると、シトリーさんは瞬時に姿を消す。秘石を手放したことにより、自分の魔術が使える様になったんだ!!
「コウ!!危ない!!」
ソフィアの叫び声と、それに合わせる様に俺の傍を暴風が駆け抜ける!!
これは……!!
「ぐう!!?」
「お姉!!?」
その暴風に吹き飛ばされて、俺の背後に姿を現したシトリーさんは壁に激突する。
オセの悲痛な叫びが旅館のエントランスに木霊するが……それに合わせる様に
そんな刃竜達を無視してソフィアが俺に駆け寄る。
「コウ……大丈夫?」
「今のって……ソフィが助けてくれたの?」
「そうだよ?あの風は私の魔術。言ったでしょ?私って結構強いんだから……だから私の傍を離れないでね?コウ」
おお!!
一緒に奴隷になってた時は、首輪のせいで魔術使えなかったけど……使える様になったら本当に強いんだな!!ソフィアは!!
俺はそんなソフィアに頷くと、ケージに入れて連れて来ていたキーちゃんをケージから解き放つ。
こんな混乱している時に、ケージにペット入れててください!!っていう奴なんていないだろ!!
そしてソフィアに向きなおって言った。
「ソフィ……お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「いいよ?コウのお願いなら何でもしてあげる」
ん?今何でもするって言ったよね?
じゃあ遠慮なく……!!
「だったら……ここにいる人たちを守ってあげてくれる!?ソフィアなら出来ると思うんだ……!」
「え!?わ……私はコウを守らないと……!」
めっちゃ嫌そうな顔して、しどろもどろに答えるソフィアの両手を……一生懸命右手上げて、両手で掴むと俺はまたソフィアに懇願する。
「お願い!ソフィ!!お姉ちゃんやマリィ様はそれ所じゃ無くなると思うから……ソフィがここにいる人たちを守ってあげてほしいの!」
「うあ……コウ……」
正直ソフィアが周りの人間に興味無い所か、あんまり好きじゃ無いのは察してた。
だけど!!ソフィアには本当に申し訳ないけど……今はソフィアしかいないのだ!
「お願い……!!後でお礼になんでもするから……!!」
「!!!……分かった……。約束だからね?」
「うん!ありがとうソフィ!!」
ソフィアは俺の言葉にため息をつくと、渋々納得してくれる。
俺はそんなソフィアにお礼を言うと、立ち上がりそのままじりじりと後ろへ下がる。
「コウ!!?どうしたの!?」
「私がここに居たら皆の足手まといだよ、ソフィ。あの人たちの狙いは私でもあるんだから……だから……私はここから離れるよ」
「なに言ってるの!?ここを離れた方が危険だよ!?」
「大丈夫。キーちゃん連れて行くから……それと……!」
俺は大きく息を吸うと、
『貴方達。どうしてこの場所を襲うんですか!?お願いだから……巣へ帰って下さい!!』
正直これで帰ってくれるなんてあんまり期待してないけど……言わないよりはマシの筈!!
しかしそんな俺の言葉を理解していないのか、
『無駄だ!!
ミリヤの肩に乗っているジャバ君が、そう言いながらミリヤの肩から羽ばたき旅館の外に出る。
そして……!!
「グウォオオオオオオ!!!」
激しい叫び声共に小さな体から、本来の巨大なドラゴンへと変身した!!
旅館の人間たちが新たなドラゴンの登場に恐れ戦く中、ジャバ君は長い首を旅館に突っ込み、刃竜を咥えるとそのまま旅館の上空へと放り投げ、空中で身動きが取れなくなった
さすがの
『行け!!
『ありがとう……!ジャバ君!!』
ジャバ君の激励を受けて俺は走り出す!!
「コウ!!?」
「コウ様!!?」
「コウ!!」
そんな俺に、ミリヤとマリィとソフィアが声を上げるが……本当に申し訳無いが、今は皆それ所では無いだろう!!
「……!!皆さん!!コウさんは大丈夫ですよ!!逆に……今はこのエントランスよりも旅館の中の方が安全かもしれませんよ?……ですからまずは、
ホズムさんが俺の行動に何かを察してくれたのか、俺について来そうになったミリヤとマリィを静止して指示を出してくれる。そして俺の方を見て……ウインクした!
そんなホズムさんに心の中で礼を言って、俺はキーちゃんを抱いてさらに足を速めた!!
ソフィアはさっきお願いしたからエントランスにいる人たちを守ってくれるだろうし、ミリヤとマリィには本当に心の底から悪いと思うが……あのまま俺がエントランスに居ても、多分皆の足かせになると思うのだ。
それよりも……俺が皆の役に立てる方法……そして……皆さっきから意図的に無視してるのか、それともそれ所じゃないのか解んないけど……エイシャの安否を確かめる為、俺は目的地へと走るのであった……!!
………そういや俺、前の戦いの後遺症で体力全然無いんだったね。ちょっと走り出しただけでもう息が切れてきたんだけど……!!