最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
『お姉!!お姉!!起きて!!』
双子の妹のオセの念話を受けて、私は目を覚ました。
私は確か……
『お姉!!
その言葉に私の意識は完全に覚醒する。
それ所か今やヴェネア様を捕らえて……まるで自分のペットの様に扱うクソ外道!!!
あのゴミ女だけは生かしておけない!!
私は痛む体に鞭打って、透明化の魔術を発動する。
そして……周りの人間達を無視して、自分一人だけ逃げ出した臆病者の
◆
私達のこの街での任務は二つあった。
まずは秘石を手に入れる事。
この秘石は東方にある小さな国で手に入る代物なのだが、あの国は基本的に閉鎖的な国でまず入国するのが非常に難しい。
なので手に入れるのは非常に難しい秘宝なのだが、ひょんな事でこの旅館のオーナーが所持している事が判明したのだ。
この秘石の効果は癒しと魔除け。
正直魔族である私達には無用の長物なのだが……実はこの秘石の癒しの効果は魔族にも適応するのだ。
本来なら魔力を用いて回復を行うのだが、秘石の力があれば魔力を使わなくてもあらゆる怪我や呪い、病魔まで回復させることが出来る。
それを教えてくれたのは……他でもない、この温泉だ。
ここの温泉の効果は、まずオセが客に変身して確認したのでまず間違いは無い。……まぁ魔除けのせいで温泉使った瞬間変身が解けて難儀したそうだが……。
そしてこの秘石の効果は既に魔王様はご存じだった様で、前々から狙ってはいたらしい。
遥か東方の秘宝の効果すらご存じとは……魔王様の慧眼には唯々驚くばかりだ。
故に魔王様の望みである秘石を手に入れる為、今度は私がこの旅館に潜入した訳だ。
そしてもう一つの目的……。
それは伝説の魔族、アモンの勧誘だ。
アモンは現魔王様の前々世代から存在する伝説的な魔族で、その圧倒的戦闘能力は魔王軍でも伝説とされていた。
最強の魔族と言えばバエルだが、それ以外にも伝説的な魔族は数名いる。
アモンはその伝説的な魔族の一人なのだが、彼の恐ろしい所はその戦闘能力だけではない。
彼の最も恐ろしい力……それは
彼は軍隊ともいえる程の
この山にも
彼がこの山を訪れた理由は、どうやら非常に質のいい溶岩(溶岩に質とかあるのかはさておき)が流れるこの山で新たな刃竜を育てる為にやって来たそうだが、我々にとっては非常に都合のいい話だった。
魔王軍は勇者エイシャ達との攻防により、既に多くの犠牲者が出ている。
その中でも深刻なのが、九天王がすでに五人もいなくなってしまった事だ。
ヴェネア様、ブベル様、そしてザガン様に……人間側に寝返ったベリアル。
そして極めつけなのが……誰もが敗北などする筈が無いと思っていたバエルの敗北と行方不明。
最大戦力を失った魔王軍は、一旦鳴りを潜め戦力増強を余儀なくされた。
そんな中、新たなる九天王候補として白羽の矢が立ったのがアモン含むかつての伝説的魔族達だったのだ。
私達は情報網をフル活用して彼らを探し出し……ようやくこの山でアモンを見つけた訳なのである。
そして私は秘石を、妹はアモンの勧誘の為ここを訪れた訳なのだが……そこでいくつかのアクシデントに見舞われた。
一つは勇者エイシャ達の登場。
これは完全に私達の想定外で、まさか同じタイミングで勇者達が現れるなんて思っていなかった私達はいきなり窮地に立たされてしまった。
しかし……勇者エイシャが
何故なら……刃竜を狩る為にはアモンとの戦闘は必須だからだ。
妹のオセが勧誘に行ったアモンは、魔王軍に入る事になかなか首を縦には振ってくれなかった様だ。
最高のポストと最高の環境を用意すると約束しても、彼は興味が無いのかそれを断っていたらしい。
しかし……彼にとって一番大切な存在……家族とも呼べる
これは本当に不幸中の幸いだった!!
アモンは正直人間をそこまで嫌ってはいない。
と、言うより人間にも魔族にも別の種族にも、さして興味が無い様だ。分け隔てなく万人に興味が無く、彼の興味は基本的に家族である
そんなアモンの逆鱗に触れる事……それを勇者エイシャはやってのけたのだ!!
アモンは私達の期待通り勇者エイシャを打ち倒したらしいのだが、無益な殺生を好まないだのなんだの言って止めを刺す気が無かったアモンは……あろうことか勇者を取り逃がしてしまったらしい!!
オセの話(念話)では、完全に気絶した勇者を
何とも……詰めの甘い奴だ!!アモン!!
彼が魔王軍に加わった暁には、私達姉妹がしっかりと教育……は恐らく無理だから、しっかりとサポートしてこんな事態には二度とならない様にしないと……!!
まぁでも勇者エイシャの命は風前の灯火。
どこに逃げた所でアモンからは逃れられない。
事実オセの説得により、アモンは群れの長である
そして先ほども言った様に、他の
最強の軍隊を得た私達。
後は秘石を私が手に入れこの旅館から抜け出し、残った人間達を