最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第137話

 やった!!上手くいったな!!

 

 俺はあのままエントランスで皆の足手まといとしてじっとしているより、この癒しの湯で体を癒して黒騎士に変身した方がいいんじゃないかと思い……賭けに出たのだ!!

 

 正直この癒しの湯にそんな効果無くて、只々すごく体にいいって言う温泉なら……俺は只の阿保って事になるけど、そこはホズムさんの話を聞いて間違い無い筈……と思った訳だ!!

 

 俺は温泉に飛び込んだ時、体の奥底から湧き出てくる力……みたいなのを感じた。

 多分だけど、俺の体はどんどん治っていってるんじゃないか?って確信できるものを感じたのだ!!

 

 そして、そのまま黒騎士へと変身した訳だが……やっぱりその感覚は間違いじゃ無かった!!

 

「な……なんで……!?どうして……黒騎士が……!?」

 

 目の前のシトリーが動揺して、唇をわななかせながら言うが……馬鹿正直にそれを答えるつもりなんて無い。

 

「くく……。さぁて……どうしてだろうなぁ……?無い頭を一生懸命働かせてみたらどうだ……魔族……。……おっと!貴様は魔族では無く、もう人間だったんだったなぁ?」

 

 そういやシトリーって人間に転生したんだっけな。

 何かそんな事をこの人の妹が言ってた様な気がする。まぁどうでもいいけど……。

 

 さて……正直悠長にシトリーと話してる暇なんて無いので、さっさと始末してしまうか……。

 

「な……何故それを……!っは!貴様まさか……エンシェン……がはぁ!!?」

 

 察しのいい奴は嫌いだよ……。

 

 俺は左手に持った盾をシトリーに向かって投擲する。

 盾はシトリーの鳩尾に叩き込まれ、そのままシトリーは体をくの字にして吹き飛んでいった。

 

 吹き飛んだシトリーはそのまま脱衣所まで飛んで行って、周りの洗面台や棚などを巻き込んで転がっていき……壁に激突して動かなくなった。

 

 ………死んだかな??

 

「キー……」

 

 そんなシトリーを見て、俺の周りをパタパタと飛んでいたキーちゃんが心配げな鳴き声を上げる。

 

 ……なんかシトリーもキーちゃんの事を意味ありげに見てたし、もしかして二人は知り合いなのかな?

 だとすると……このままシトリーに止めを刺すのは……なんと無しに憚られる。

 

 俺はため息をつくとキーちゃんに言った。

 

「はぁ……あの女……煮るなり焼くなり、お前の好きにしていいぞ?まぁ俺の正体がバレるのは困るから殺すのが一番なんだが……お前の知り合いなんだろう?」

「キィ!?」

 

 俺の言葉にキーちゃんは驚きの声を上げ、俺をまじまじと見つめる。

 

 正直キーちゃんはもう俺の正体解ってんじゃないかな?

 王都の時、黒騎士へ変身するのバレない様に手伝って貰った事あったし、霧状になった黒騎士とコウが合体するのを間近で見てるし。

 

 まぁキーちゃんにバレるぐらいなら別にいいのでそれはいいとして、問題はシトリーに俺の正体がバレたっぽい事なのだが……まぁでもシトリーがこの後ミリヤ達に言い触らしても、多分ミリヤ達は信じないよな!!だってシトリーは魔族側なんだし、嘘だって思ってくれるよな!!知らんけど!!

 

 なのでシトリーの処遇はキーちゃんに任せようと思います。

 

 俺はキーちゃんを手招きする。

 するとキーちゃんはおずおずと俺の手元まで飛んできた。そんなキーちゃんを俺は優しく撫でると、極力優しい声で言った。

 

「お前には何時も世話になってるからな……それにお前は小娘の可愛いペットだ。そんなお前が悲しむ様な事は極力したくない……」

「キィ……」

 

 キーちゃんは俺の真意を確かめたいのか、真剣な目で俺を見つめて……一つコクンと頷いた。……かわいいな……。

 そして決意の籠った声で鳴くのだ。

 

「キー!!」

「っふ。では後は任せたぞ?俺は行くべき場所があるのでな……!」

「キィ!!!」

 

 ちゃんとコミュニケーション取れてんのか取れてないのか実は解んないけど……後の事をキーちゃんに託し、俺は加速魔法を発動させる。

 

 今回は目的があるので、このまま分身を作らず行動する必要がある。

 

 俺は周りが止まって見える程ゆっくりと動く世界で、取り合えずエントランスまで急ぐのだった。

 

 

 エントランスに到着すると、想像通り激しい戦闘が行われていた。

 

 マリィがエントランスにいる人たち一カ所に集めそれを結界で守り、そのマリィと皆を守る様にソフィアが戦う。

 

 そして旅館の外からどんどん現れる巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)を、ジャバ君が叩きのめし、その取りこぼしをミリヤが叩きのめす。

 

 そしてそんな皆に的確な指示を飛ばしているのが、ホズムさんな訳だ。

 

 そんな皆を少し離れた場所から観察していると、ある事に気が付く。

 

 それは……さっきまでミリヤ達が取り押さえていた魔族・オセが居ないのだ。

 オセは確かミリヤが拘束していたが、その後ホズムに任せた筈……。という事は、恐らくこの混乱に乗じてホズムの手から逃れて逃げ出したって事だよな?

 

 そう思い、俺は探知魔法を発動してオセを探す。すると……森の奥の方へと走るオセを発見した。

 

 少し迷ったが……正直この場に俺が乱入した所で、さして状況は変わらないだろう。

 思ったより皆善戦出来てるし、何より外で暴れまわってるジャバ君のお陰で巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)達も少しビビってるのか、思った以上に攻め込めて無い様に見える。

 

 なら俺がやるべきことは……!!

 

 俺は再び加速魔法を発動して、逃げているオセの前まで一瞬で移動する。

 

「!!!?」

「おいおい……どこへ逃げるんだ?」

「お……お前は黒騎士!?なんで……こんな所に!?」

 

 オセは突然目の前に俺が現れた事に驚き後ずさりするが……俺はそんな事お構いなしに槍を振るう。

 

 こいつももしかしたらキーちゃんの知り合いかもしれないけど、正直もういちいちそんな事構ってられないのだ。近くにキーちゃん居ないし……。

 

「あぐぅ!?」

「悪いが……話をしている暇は無くてな?死んでもらえるとありがたい……」

 

 そのまま魔力を流しこもうとして……「グゥアギャアアア!!!」森の奥の方から更に現れた巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)達に阻まれた。

 

 合わせて五匹の巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)は俺とオセを見つけると、瞬時にフォーメーションの様なものを組み、尻尾の刃を振るってきたのだ。

 

「……っち」

 

 俺は舌打ちをしてオセを貫いていたランスを引き抜き、盾でその刃をいなしランスを巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)に突き立てる。

 

「グギャァアア!?」

 

 そのまま魔力を流し込み……巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)を爆散させるのだが……その隙をついてオセは逃げ出した様で、もう辺りに姿は無かった。

 

 まぁ間違いなく重症だし、ほっといてもいいのだが……また何かしでかされても困るし、一応止めは刺しといたほうがいいのかなぁ?

 

 俺は残りの巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)を処理しつつ内心でため息をつくのだった……。

 

 なんか……せっかく久々に黒騎士に変身したのに、目的地までが遠いなぁ……。

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