最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第142話 コウの行方(ミリヤ視点)

 聖剣の力が乗った私の雷撃が旅館を襲っている巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)達を飲み込み消し飛ばした後……残っているの巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)は旅館の外のジャバ君が全て倒してくれた様だ。

 

 つまり……この旅館を襲っている巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)は全部倒したという事だ!!

 

 私はそれを確認すると、直ぐに旅館の奥へと駆け出した!!

 

「ミリヤさん!!」

 

 エントランスで、皆を守ってくれていたマリィの声を背に感じながらも……私は止まる事はない!

 ごめんね!マリィ!!

 

「ジャバ君!!」

「グギャア!!」

 

 私の掛け声を聞いて、ジャバ君の体が光っていき……そしていつもの小さいドラゴンへと変化して、私の肩に飛び乗る。

 

「まって勇者ミリヤ……私も行く……」

 

 そんな私の後を、少し怒った表情のソフィアがついてくる。まぁソフィアも、コウに置いて行かれたのを怒っているのだろう。

 

 特に断る理由も無いし、私は走りながら頷くと、そのまま旅館の奥へと急ぐ……すると廊下の向こう側からキーちゃんが飛んできた!!

 

「キー!」

「キーちゃん!?なんでキーちゃんだけなの!?……コウは!!?」

「キー(……コウを追って飛び出したはいいものの……どこいるか分からなくて一度戻って来た!なんて言えないわ……)」

 

 私は飛んできたキーちゃんを抱きしめ、質問するが……当然キーちゃんからの回答はない……というか、キーちゃんが何を言いたいかなんて解らない。

 

 どうしよう……この奥にコウがいるのだろうか?それとも……。

 

 足を止め私が迷っていると、エントランスから私達の方へ走ってくる影が見えた。……あいつは……。

 

「ミリヤさん!まったく貴女は人の話を聞いていないですね……。突然走り出しても、コウさんは見つかりませんよ?」

「……ホズム……」

「私はコウさんの行先を知っていると言ったでしょうが?ちゃんと考えて行動しないと、猪突猛進は美徳にはなりませんよ?ミリヤさん……」

「ぐう!!」

 

 私達を追ってきた男……ホズムの言葉に私は胸を抑える。

 またやってしまった……。まったくもって私は今まで何を学んできたのだろうか?

 聖剣を手に入れて勇者になっても、何一つ成長していない気がする……。

 

「まぁそんな所をコウさんが似たんですかねェ?考えなしというか、頭に浮かんだら即行動の単細胞な所を……」

「っつ!!悪かったわね!!単細胞の考えなしで!!……で!?コウは一体何処に行ったの!?行先教えてよ!!」

「……恥ずかしいからと言って大声上げて威嚇しても、何も意味はありませんよ?」

「うぐぅ!!」

 

 ホントにこいつは……性格悪いわね!?

 

「……まぁいいでしょう。先程コウさんがなぜエントランスから離れて旅館の奥へと消えたのか……。それはそれまでのコウさんの体の状態にありました」

「……は?いきなり何を……」

「貴方達は今回この旅館に、地竜を退治する為だけじゃなく、コウさんの怪我……正確には後遺症でしょうか?を癒しの湯で癒す為に来たのではないですか?」

「!!!な……なんでそれを……!!」

 

 なんでこいつがそれを知っているんだ!?

 

「まぁちょっと観察しただけで解りますよ。彼女、右腕が不自由そうでしたが、それは生まれ持っての物では無い。恐らくつい最近までは右腕……つまり利き腕を使っていたのに、怪我によってそれが出来なくなってしまった……。そういった感じの動きを、彼女がしていましたからね?」

「っつ!!」

「さらに彼女は……白銀の(エンシェント)ドラゴンだが、今その怪我の影響で……彼女は万全ではない……。そうですね?」

「!!?」

 

 な……なんで……。なんでコウが白銀の(エンシェント)ドラゴンだって知ってんのよ!!?こいつは!!?

 

「なんで……コウが白銀の(エンシェント)ドラゴンだって……」

「いや、魔族の彼女……オセさんが言ってたでしょうが?それよりも、万全ではなく、あのまま足手纏いだと判断したコウさんはとある場所へと向かったのです」

「とある……場所……?」

「左様。それは……この旅館の名物、癒しの湯……です」

「!!!」

 

 そうか!!コウは自らを癒す為に癒しの湯へと向かったのか!!

 だったら癒しの湯へと行けば、コウはそこにいるはず!!……そう思い駆け出そうとして……ホズムに腕を掴まれた!!

 

「いやいやいや!私の話聞いてました?猪突猛進は美徳じゃ無いって……。それに今から癒しの湯へと向かってもコウさんはいませんよ?だいたい……あれから随分時間がたったのに、まだゆっくり温泉に浸かってる筈ないでしょうが?」

「あ……」

「コウさんは自分の体を癒してでも、どうしても行かなきゃいけない場所があったんですよ」

「行かなきゃいけない……場所……?」

「そうです。幸いエントランスは私達……つまりミリヤさんやマリィさん、そしてソフィアさんと……黒竜君で何とかなりそうでしたので、もう一つの懸念……そう、勇者エイシャの元へとコウさんは行ったのです!」

 

 エイシャ!!!

 

 確かに魔族達はエイシャを仕留めたと言っていた。

 でも……エイシャに限って不覚なんて取らないと思ってたし、大丈夫だろうと思ってたけど……。

 

「コウさんは偽物の勇者エイシャが現れたせいで、本物勇者エイシャの安否が非常に気になった。故に……もし勇者エイシャが魔族達が言った様に倒されていたら……。そう思い傷ついた勇者エイシャを癒す為、まずは自分の力を取り戻そうと思ったのでしょう」

「………なるほど……ね……」

「そして彼女達が今何処にいるのかは……実は大体想像がつきます」

「え!!そうなの!?」

「キー!?」

「……はぁ……。だからコウさんの行きそうな場所が解ると、言ったでしょうが?……さて、では……行きましょうか!!」

 

 そう言って走り出そうとして……あ!っと指を立て、ホズムは言った。

 

「そうそう。貴女達はすっかり忘れている……というか、気にしていない様ですが、あの魔族の姉妹……シトリーさんとオセさんがどうなったかですが……」

「!!!……そう言えばあんた、逃がしたんだったわね!!」

「彼女達ですが、私の感が正しければ……恐らく黒騎士に打ち倒されているでしょう」

「キー!!?」

 

 なんでそこで黒騎士!!?

 この旅館で黒騎士なんて……それこそこいつがホラ吹いて魔族達を騙した時に名前が出たぐらいで、一切関係ないだろう!?

 ……ていうか、黒騎士の名前にキーちゃんが凄く反応したわね……。……なんで??

 

「さ!という事で……あの魔族の姉妹の事はあまり気にしなくてもいいでしょう。もしかしたら片割れがこの先の温泉に倒れてるかもしれませんが……まぁ無力化はしてるでしょうし、今は取り合えず勇者エイシャ達の元へと急ぎましょうか!」

 

 こいつ……今更ながら本当にあやしいわね!?

 

 今までの行動で、取り合えず敵ではないんだろうけど……なんでも知っているこの感じが、どうしようもなく不気味なんだけど!!?

 

 でも……コウの行方……というか、エイシャの居場所がわからない私は、取りえず黙ってこいつについて行くしかないのであった……。

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