最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第144話

 エイシャから墜とされた爆弾発言で、何か俺が怒られてたとか、許されたとか……そんな些細な事が全部吹き飛んだ!!

 

 めっちゃ怪しい名探偵ホズム・エドワードの正体は……なんと聖槍の勇者マキシモだったなんて!!……どっちが偽名でどっちが名前なの??

 

「ゆ……勇者!?この……探偵が!?」

 

 流石にミリヤも驚いたのか、信じられないといった様子で唇をわななかす。

 そんなミリヤに、ホズムもとい……マキシモさんはウインクして答えた。

 

()勇者ですよ、ミリヤさん。今は聖槍を奪われた、しがない名探偵ホズム・エドワードですよ」

 

 そう言ってやれやれと肩を竦めるが……今なんて言った!?聖槍を……奪われたって言ったのか!?

 

「聖槍を奪われただと!?貴様……一体どういうことだ!?」

 

 その言葉にエイシャが食って掛かるが……そんなエイシャを手で制し、ホズム?マキシモ?……どっちだ?

 まぁ本人がホズムだと言うのだから、ホズムさんでいいのかな……。

 

 ホズムさんはエイシャを手で制し言葉を続ける。

 

「ここで全て話してもいいのですが……取り合えずマリィさんと合流しませんか?旅館の件の後始末もありますし、何より……この魔族にも早くご退場願いたいでしょう?」

 

 そう言って魔族と巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)に目をやると、魔族は一度頷いてホズムさんに答えた。

 

「解った。俺は直ぐにここから立ち去るとしよう。……では去らばだ、勇者……そして白銀の(エンシェント)ドラゴンよ……俺を生かしてくれた恩は忘れん」

 

 そう言うと魔族は自分と巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)の下に魔法陣を作る。

 恐らくだけど……瞬間移動の魔術用の魔法陣なんだと思う。

 

 そして魔族が瞬間移動を発動しようとしたその時、森の奥から少し小さい巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)がひょっこりと顔を出した!!……こいつは?

 

「あれは……俺とミリヤが追っていた巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)か……」

「ああ!!あの!!……生き残ったのね……」

 

 エイシャとミリヤが驚いた様に言うが……魔族はその小さな巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)を見て、初めて表情を崩し笑顔を作る。

 

「俺のせいで多くの家族を失ったが……こいつだけは生き残ってくれたか。この戦いを生き残ったこいつはきっと今まで一番強い刃竜となろう……。勇者、白銀の(エンシェント)ドラゴン……。今回の恩は、必ず返すと約束しよう」

「フッ……気にするな。言っただろう?俺もお前に情けを掛けられた恩を返しただけだと……」

「ふふ……それでもだ。お前たちは今までの白銀の(エンシェント)ドラゴンや勇者とは違うと俺は思う。故に……そんなお前達になら、俺も力を貸してもいいと思えるのだ」

「……そうか。……ならばその時がくるのを……楽しみにしておくとしよう……」

 

 そんなエイシャとの会話を終えた魔族は、フッっと笑うと、小さな巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)も魔法陣に入れ……今度こそ姿を消すのであった……。

 

 そして、それを見送ったエイシャにホズムさんは少し呆れた顔で言う。

 

「何とも……甘いですなぁ……エイシャさんは……」

「そうか?俺は奴に借りを返したにすぎん。情けを掛けた訳では……無い」

「はいはい。そういう事にしておきましょう。……さて!!では我々も一度旅館に戻るとしますか!!なにせ……このままでは今日が終わって明日になってしまいます!!」

 

 そう言って両手を叩き、俺達を促すホズムさんに従う様に、俺達は皆で旅館に戻るのであった。

 

 ……てゆーか色々なことあったけど……まだ旅館に来て一日目なんだよね!?

 楽しみにしていた温泉旅館……もしかしてたった一日で終了なの!!?悲しすぎるんだけど!!!

 

 俺はふと現実に帰り、その事実を目の当たりにして愕然とするのであった……!!

 

 

 さて……ここからはダイジェスト。

 

 俺達が旅館に戻り、巻き込まれて怪我とかしてしまった旅館の人とかを癒しているマリィと合流して、俺もマリィのお手伝いをする。

 

 ミリヤ(+ジャバ君)やマリィ、そしてソフィアの活躍でなんと!!旅館の人達は、ちょっと怪我した人がいるくらいで皆無事なのである!!すごい!!

 

 それと癒しの湯で俺が倒したシトリーさんだけど、キーちゃんに後を任せてたけど……どうやら俺の一撃で亡くなってしまっていたらしい。

 エイシャとホズムさんが一応まだ魔族が居ないか確認すると、旅館を周ってシトリーさんの死体を発見したそうだが……やっぱりキーちゃんに悪い事したかな……。

 

 そう思い、ミリヤが抱っこしてくれていたキーちゃんを抱きしめ、謝罪の意味も籠めて撫でると……キーちゃんは優しく鳴いてくれた。……多分許してくれたんだと思う。

 

 あと、旅館から逃げ出したオセをそのまま見失ってしまったらしいが……彼女は……多分死んでるんじゃないのかなぁ……。

 まぁオセの行方は、明日警備隊の人達が来たら捜索してくれるだろう……という話だ。

 

 そしてホズムさんの身の上話になる訳だが……流石に今日は遅くね?って事で明日にする事にした!!

 まぁそう言った時には既に、日を跨いでたけどな!!

 

 幸い戦闘はエントランスが主だった為、部屋は無事だったので俺達は部屋で寝る事が出来た。

 色々あってめっちゃ疲れてた俺達は、風呂に入る事も後回しにして、泥の様に眠ったのである……。

 

 そして次の日の朝(厳密にはその日の朝だけど!)になった……。

 

 

「コウ?コウ?……そろそろ起きて?もう……昼だよ?」

「キー!」

 

 ゆさゆさとソフィアに優しく揺られて……俺は微睡から目を覚ます。

 

「ふわぁ……あふ。……ソフィ……キーちゃん……おはよう……」

「ふふ。おはよう……コウ……。よく眠れたみたいだね?」

「うん。ソフィもよく眠れた?」

「うん。よく眠れたよ?(ホントはコウの寝顔ずっと見てて、ほとんど寝てないけど)」

 

 ……?今なんかソフィアからの副音声が聞こえた様な……気のせいだよな?

 

「そうだ……コウ。寝起きに悪いんだけど、悪いニュースと悪いニュース……。どっちから聞きたい?」

「どっちも悪いニュースだよね!?それ!!それならどっちでもいいよ!?」

 

 朝っぱらからバッドニュースが二つもあるの!?っと思って愕然とする俺に、ソフィアは分かったと頷くと二つのバッドニュースを教えてくれた。

 

 一つ目のバッドニュース。

 それは早朝から警備隊の人達が旅館に到着した為、俺達は即刻旅館から出て行かなければいけなくなったらしい。だから……楽しみにしていた温泉はお預けだそうだ。

 

 俺は一応癒しの湯には浸かったけど……もっとちゃんとゆっくり温泉に入りたかった!!……まぁ殺人事件があったから、どちらにせよ無理だとは思ってたけど……。でも悲しいね……。

 

 そんで二つ目のバッドニュース。

 何と俺達はこの温泉旅館殺人事件及び、魔族率いる巨獣(ギガント)刃竜(サーベルドラゴン)の襲撃の重要参考人として、一度この国の王都まで行かなければいけなくなってしまったのだ!!

 

 本来なら勇者であるエイシャを取り調べなんて普通はしないんだけど……なんとエイシャは今!!この国で最も凶悪な犯罪者……黒騎士である容疑がかけられているのだ!!

 

 なんでかというと……あの時魔族を貶める為にホズムさんが適当な嘘として、偽エイシャにお前が黒騎士だ!!って言ってたけど、それを真に受けてたスティーブさん達が……警備隊の人達に言ったらしい!!

 

 一応ホズムさんはそれは嘘だったと警備隊の人に弁解してくれたらしいんだけど……流石に警備隊の人も、はいそうですか……という訳にもいかないらしく、エイシャには本当に申し訳ないけど、一度王都まで同行をお願いしたらしい。

 

 それを聞いて俺はヒエっと心の奥底から恐怖の声が出た……。

 何故なら黒騎士の正体は……今更だけど俺なのだから!!

 

 エイシャは黒騎士じゃ無いし、お前は今回関係無いからそんなビビる必要あるのか?って?

 

 それは……大ありなんだよ!!

 

 ソフィアの話では、取り調べではなんと嘘発見器みたいなのにかけられるらしい!!

 

「まぁコウや私達は嘘なんてついてないし、関係ないよね……?」

 

 なんてソフィアは言ってたけど……関係ありありだよ!!

 お前が黒騎士だろう!!って尋問されたら……俺が黒騎士だってバレちゃうじゃん!!

 

 この旅館での事件で、極力黒騎士の存在を皆の前に出さない為に頑張って黒騎士の時は誰にも会わない様に気を付けてたのに……こんな所でピンチになるなんて思わなかった!!

 

 くそう!!

 今回は最後にいつものセリフ言わなくてもいいなーー、なんて思ってたのに!!

 

 それは何かって?

 そう!!それは毎度の事ながら……黒騎士の中身が俺だと、絶対にバレる訳にはいかない(涙)!!!

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