最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
その後、特に襲われることも無く順調に馬車は進み、俺達は無事に王都へと辿り着くことが出来た。
王都に辿り着いた俺達は、まずエイシャ達が居るであろう警備隊の隊舎まで向かった。
シスタさんも山賊に襲撃された為、その事情聴取も兼ねて同行してもらう事になったのだ。
俺達が警備隊の隊舎まで辿り着くと、今まさに俺達を迎えに行くための馬車が出発しようとしている所で、待っていたエイシャ達含め皆に驚かれた!
んで、事の経緯を警備隊の人達に説明して、シスタさんも一緒に皆で警備隊の隊舎へと足を運んだわけである!
そこで……俺に最大のピンチが訪れる!!
警備隊の人達の事前の話で俺やソフィアには事情聴取は無い……と聞いていたので、勝手に安心していた俺なのだが、せっかく来てもらったのだから……と、何と俺達にも事情聴取が行われる事になっちゃったのだ!!
隊舎の脱衣室で、濡れた体を拭いて新しい服に着替えていた俺達に、セシルさんがそう言って来たとき……俺は余りの驚きにその場で倒れそうになってしまった!!慌ててソフィアが支えてくれなかったら、多分本当にその場に倒れてたね!!
というわけで……
◆
「では……コウさんには申し訳ないですけど、旅館・癒しの湯での殺人事件と、魔族率いる
「は……はい……」
目の前に座って、俺を安心させる様に微笑んでるセシルさんが……凶悪な尋問官に見える。
「そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ?私達はコウさんが犯人では無いのは解っていますし……ましてやコウさんが、この国最大の凶悪犯の、黒騎士だなんて思っていませんから!だから……リラックスしてくださいね?」
そう言って笑みを深くするセシルさんだが……こっちは黒騎士のワードが出るたびに心臓が飛び出そうになるんですよ!!
机の真ん中に置かれた嘘発見器であろう魔道具が、ピカピカと光ってるけど……これ既にバレてないよね!?実はこの魔道具で心覗けるとかじゃないよね!?
どーしよ!!マジでセシルさんが会話の弾みで「そう言えば一応聞きますけど、コウさんが黒騎士ではないですよね?」なーんて聞いてきたら!!そしたら詰みだよ!!
なので……ここからの会話は本当に慎重に行わなければいけない……。
ちょっとのミスが命取りになるであろうこの場面で……絶対に失敗するわけにはいかない……!!
俺は生唾を飲み込み、決して逃れる事の出来ない、俺史上最大の難関に……今!挑むのであった……!!
◆
まぁ結果だけ言うと、黒騎士ってバレる事はありませんでした。
当然と言えば当然なんだけど、質問の内容は基本的に殺人事件の事と、
でも……本当に気が気じゃなかったのだ!!寿命縮むかと思った!!
あと
俺が
流石にそれには素直に謝ったが……ともかく俺が黒騎士だとバレなくて良かった!!マジで!!
俺が取り調べを終えると、既に終わっていたソフィやミリヤ、そしてマリィと合流して、後はエイシャと……シスタさんの取り調べを待つだけになった!
と言っても、エイシャは黒騎士じゃ無いし、シスタさんも山賊に襲われただけなので取り調べはすぐにでも終わるだろう。
つまり……これにて、エルセリオ王国の王都編は終了なのである!!
後はシスタさんを無事家まで送り届けて……ちょっと王都を観光して………あ!!すっかり忘れてたけど、ホズムさん!!あの人とも話をしないといけなかったな!!
ホズムさんも取り調べ受けてるだろうし、終わったら彼とも再開して、槍の勇者の件……ちゃんと聞いておかないと!!
でもどちらにせよ、この王都でやる事といったらホズムさんの件ぐらいだし……最悪それも王都じゃなくていいし、マジで一番気がかりだった取り調べも終わったしで……俺自身心が軽い!!
「まぁエイシャは黒騎士じゃ無いし、直ぐに取り調べも終わるでしょうねー。そうだ!この後皆どうする?」
「そうですわね……。ホズムさんのお話も聞かなければいけませんし、シスタさんを送り届けたら……喫茶店にでも行って、ホズムさんのお話を聞きましょうか」
「そうね……そうだ、コウ!ソフィア!体調は大丈夫?雨に濡れちゃったけど……風邪とか引いてない?」
「私は大丈夫です!ソフィは大丈夫?」
「私も大丈夫」
なんて会話をしながら時間を潰す俺達。
その後エイシャとホズムさんの取り調べも終わり、二人が出てきてさぁでは行こうか!っとなったのだが……いくら待ってもシスタさんの取り調べが終わる事はなかった。
……なんかあったのかな?
そう思いセシルさんに状況を聞きに行こうか?ッという話になっていた時……警備隊のお偉いさんっぽい人が慌てる様子で、エイシャまで近づき口を開いた!
「勇者様!!申し訳ありません……もう一度、こちらにお越しになって貰ってもいいですか!?」
「……構わないが……何があったんだ?」
「それは……ちょっと取調室で説明いたします!あ!!そうだ!!聖女様もご同行お願いしてもいいですか!?」
「私も……ですか?」
突然話を振られたマリィが驚いて声を上げるが……そんなマリィに、お偉いさんは申し訳なさそうに頭を下げて言った。
「はい……。ちょっと……私共だけではどうにも「娘は何処だ!!」……貴方は……!!」
お偉いさんの言葉を遮るように大声を上げて隊舎の廊下を歩いてくる男性……。この人は……
「フランソワ卿……!!何故こちらへ!!?」
フランソワと呼ばれた大柄の体格に、いっぱいの口ひげを蓄えた男性はお偉いさんを睨みつけて言った。
「娘が山賊に襲われたと聞いてな!それだけでも大変だというのに……君たちは娘を拘束して解放しないと聞いた!!そんな横暴がまかり通るとでも思うのか!?」
「拘束だなんて……!そんなつもりはありません!ただ……娘さんから出た名前が……その……余りにも極秘の名前でして……」
「だから何だと言うのだ!?山賊に襲われた娘が罪を犯したとでも言うのか!?娘は被害者だというのに、君達は何時まで娘を拘束するつもりだ!!?……もういい!!この事は後で君たちの上司……モンデュエール卿に直談判させてもらおう!!」
「ええ!?いえ……それは……!!」
言いたい事だけ言うと、フランソワさんはお偉いさんを押しのけて先に進もうとする。
ううーーん。
この人多分シスタさんのお父さんなんだろうけど……何でこんなに怒ってるんだろ?
確かにシスタさんの取り調べが、何時までも終わらないのはちょっと疑問だけど……シスタさんが罪を犯した訳じゃ無いし……。
というか……そもそも警備隊のお偉いさんっぽい人も、なんで何時までもシスタさんの取り調べしてんだろ?なんか今の会話聞く限りシスタさんからやばい名前が出たっぽいけど……シスタさん大丈夫なんだろうか?
俺は目の前で起こっている問答に首を傾げつつも……なーんか嫌な予感に、冷や汗を垂らすのであった……。というか……大体こういう時の嫌な予感って当たるんだよなぁ……。