最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
山賊事件から一夜が明け、シスタさんのお家でそのまま朝食を頂いて……その後、取り合えずシスタさん絡みのゴタゴタの前に、ホズムさんの話を聞こうかという事になった。
シスタさんの家でその話をするのもなんだし、喫茶店にでも移動しようか……と、皆でシスタさんの家を後にしようとしたその時!!シスタさんの家の呼び鈴がけたたましく音を鳴らした。
何事だ?っと家の使用人が出向くとそこには……なんか厳かな甲冑を着込んだ騎士の人達と、それに追従する様にシスターさん達がいた。
シスターさんは恐らく聖女教会の人達なんだろうが……騎士の人達は誰なんだろ?昨日エイシャ達の話を盗み聞きした時に話が出た、なんたら騎士協会の人達なのかな?
そう思い経緯を見守っていると……どうやらその人たちは、エイシャとマリィ……そしてミリヤに用がある様だった。
「勇者エイシャ様、そして聖女マリフィセント様……そして……新たな勇者のミリヤ様」
「!!!……な……なんで……」
「お三方にお話があります。申し訳ありませんが……一度王城までご同行願います」
ミリヤは自分が勇者だと公表しないでくれと、この国の国王様にエイシャを通じて連絡している筈なので、騎士の人に自分が勇者だと言われてかなり驚いていた。
それはともかく、流石に王城へついて来てくれという願いを無下には出来ないので、俺とソフィア……そしてホズムを残して三人は騎士の人達と一緒に王城まで行ってしまった……。
なーんか……嫌な予感がするなー……。
「ううむ。これはこれは……随分と手が早いですね?」
「手が……早い……ですか?」
突然顎に手を当てて、感心したように言うホズムさんに言葉を返す。
「左様。我々が王都に到着したのは昨日で、更にフランソワ卿の自宅に私達が滞在させて貰った事を知っているものはごく僅かだ。だと言うのに聖王騎士協会がわざわざ迷いなくフランソワ卿の自宅を訪ねてきた……。これは昨日のうちに警備隊の誰かが聖王協会へ連絡を入れたとしか考えられない」
「はぁ……まぁ……そうですね……」
「ううむ。どうにも曇行が怪しいですね……。コウさん、最悪の場合、暫くお三方とは逢えないと思っていた方がいいですよ?」
「え!!?な……なんでですか!!?」
「ふふ……。名探偵の感……ですよ」
何てこと言うんだこの人!!?ミリヤ達に逢えなくなるなんて……そんな事……!!
でも、このホズムさんの感は……的中してしまうのである……!!最悪な事に……!!!
◆
「こんな……こんな中途半端な形で、コウ様を残して国に戻らなければいけないなんて……!!コウ様……本当に申し訳ありません!!」
「マリィ様……謝らないで下さい!寂しいですけど、マリィ様が悪い訳じゃないじゃないですか!」
マリィが涙を流しながら俺に抱き着き謝ってくるが……こればかりはどうしようもない。
だってマリィは今めっちゃ忙しい身なのに、セントラルステージ後ずっと俺の体を心配して一緒に居てくれたのだ!!
なんだかんだで俺の体が治った以上マリィがずっとラヴァダイ王国の王都の聖女教会本部を離れる訳にはいかないのだ。……めっちゃ寂しいけど!!仕方ないのだ!!
でも……問題はマリィだけじゃない……。
「くそ!!まさか一度国に戻ってこいとは……!!国王め……昨日の今日で父上に何を吹き込んだ!!?」
何とエイシャも一時帰国しなければいけなくなってしまったのだ!!
何でもあの後騎士達に連れて行かれた三人は、その後国王と会う事になったらしい。
そこで国王から語られたのは内容はこうだ。
まずさっきも言ったけど、マリィはそろそろ聖女教会本部へ戻らなければ色々と不味いという事。
そして、エイシャも何時までも余所の国に居るのはまずいじゃないか?ッという事。
エイシャは勇者だからどの国に居ても問題ない筈なのだが……なんでもエイシャは今、黒騎士の仲間なんじゃないか?って疑惑がかかっているのだ!!
エイシャ自身が黒騎士じゃ無いのは昨日の取り調べでもう解っている事なのだが、次はエイシャは黒騎士の仲間なんじゃないか?ってなったらしい。……なんでやねん!!
何でもこの国の密偵がラヴァダイ王国に調査しに行った時、王都での事件で黒騎士とエイシャが共に戦ってたという情報を入手したらしい。……ん?エイシャと一緒に戦った事あったっけ?
ともかく、国王はエイシャは黒騎士の仲間ではないと信じているが、そんな微妙な立場になってしまったエイシャがこの国に残るのは……エイシャ自身にも悪いし、何よりこの国としてはエイシャに居て欲しく無いというのが本音なので……エイシャのお父さん……つまりラヴァダイ王国の国王に頼んで、一度帰省する様に頼んだらしい。
なので……エイシャも一旦ラヴァダイ王国に戻る事になったのだ。
そんで最後!!これが俺にとっては大問題!!
「あ……あの……あの糞豚醜男ぉぉ(国王の事)!!!よくも……よくも……」
怒りに震え、青筋を立て震えている……俺の大好きなお姉ちゃん!!ミリヤもラヴァダイ王国へ戻らなきゃいけなくなっちゃったのだ!!
というのも、黙っててくれって言ってたミリヤが勇者になった事を、なんとこの国の国王がバラしてしまったそうだ!!
で、勇者だってバレたらなんでラヴァダイ王国へ戻らなきゃいけないの?ってなるんだけど……なんと勇者に選ばれた者は、一度聖女教会の本部へ行って聖女から勇者としての称号を受け取る、洗礼ってのをしなきゃいけないそうだ!!
……え!!?ギーツってちゃんとそんな事したの!!?って思ったら、案の定ギーツはそれをちゃんと受けて無いそうで、ちゃんと教会に認められた勇者じゃないそうだ。もぐりじゃん!!
因みに元・槍の勇者らしいホズムさんも、それはちゃんと受けたそうだ。
ではなぜホズムさんの顔をマリィが覚えて無かったのかというと……ホズムさんが洗礼を受けた当時の聖女はマリィじゃ無かったからだそうだ。
そっか……マリィって大人びてるけど、俺とそう年齢変わんない筈だもんね……。そういう事もあるか……。
ともかく、ミリヤが勇者だとバレた以上聖女教会からの啓示を無視するわけにはいかないので、マリィと共に一度ラヴァダイ王国へ戻る事になっちゃったのだ!!
「ちゃんと教会からの洗礼は受けるわ!!でも!!それは今じゃ無くていいでしょ!!?ていうか……なんでコウはこの国に残らなきゃいけないのよ!!」
そして……これが最後の問題。
何と俺は、そんな三人について行ってラヴァダイ王国に戻る事が出来なくなっちゃいました。
え!!?なんで!!?
って思うだろうけど……これには深い訳がある。
それは……今ラヴァダイ王国では
その理由は……聖女教会にある。
なんでもマリィを疎んでいる人たちがいて、その人たちはマリィに替わって
そして今、爆破事件後ゴタゴタしている聖女教会に俺が戻っちゃうと、またその一派が活動的になっちゃって……結果マリィに迷惑がかかるそうだ。
因みにこの情報全部ホズムさんから教わった。この人なんでそんな事まで知ってんだ?
マリィはそんな事はどうでもいい!!それよりも俺の身が心配だって言って聞かなかったけど……正直俺がラヴァダイ王国行く事でマリィの足枷になるなら……行かない方がよくない?って事で、俺はこの王都に残る事にしたのだ。
当然三人は簡単には納得しなかったが……かといって俺も三人の邪魔になりたい訳じゃないので、ここでソフィアと皆が戻ってくるのを大人しく待ってる事にしたのだ!!
結局その旨を伝えても皆、納得してくれなかったので、最終的にホズムさんに頼んで三人を言い負かしてもらった。……それも大変だったけどな!!その場面は割愛で!!……割愛しないとそれだけで五話ぐらい作れちゃう!!
「本当に……本当に無理しないでね!?洗礼が終わったら……すぐに戻ってくるから!!飛んで戻ってくるから!!だから……ゴメンね……コウ……!!」
「はい!お姉ちゃんも気を付けて下さいね?私……待ってます!!」
今生の別れって訳でも無いのに……ミリヤと涙ながらの一時別れを終え、馬車に揺られてミリヤとマリィは王都を離れるのであった……。
因みにエイシャは俺が一緒に戻る訳では無いので、護衛は必要ないだろうと後で一人で瞬間移動で戻るそうだ。……瞬間移動って便利だね!!
さて……二人を見送り、これから俺達どうしよっか?ってソフィアとホズムさん(とまだいるエイシャ)と話してると……そんな俺達の様子を今まで遠くで見守ってたシスタさんが、俺達に話かけてきた。
「コウちゃん!ソフィアちゃん!二人とも……明日から学園に通わない!?」
………なんで??