最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
そして冒頭(第145話)に戻る訳なのだが……なんで俺とソフィアが学園通わなきゃいけないのか?って話になるんだけど、この国……というか王都ではなんと!!十八歳までは義務教育らしい!!……マジか!?
王都にいる人たち皆が何かしら学校へ行かなきゃいけないらしく、俺達ぐらいの歳の人間は、平日の昼間に街をぶらぶらしてると、警備隊に補導されちゃうらしい!!
因みにこの世界でも一週間は七日あって、水曜・金曜・地曜・火曜・木曜までが平日。んで、土曜・天曜が休日となってます。……星で曜日決めるのは、元の世界とあんま変わんないね!!……お陰で普通に混乱するけど!!
ともかく平日ぶらぶらする訳にもいかないし、かといって何もする事が無いなら……せっかくだから学園に通ってみたらどうか?という事になったのだ。
丁度シスタさんも臨時教師として学園に行くそうだし、何よりシスタさんのお父さん……ルーク・フランソワ卿はシスタさんが行くフォストニア学園の学園長らしく、その力で俺達の編入も簡単にすることが出来るそうだ。
ううん……。
正直……ちょっとめんどくさい……。
何を隠そう俺は結構なめんどくさがり屋なのだ。
何か仲間の為!!とか、これをしないとどうしようもない!!とかだったから頑張れるんだけど……いわゆるミリヤ達が戻ってくるまでの暇つぶしの為に学園行くのは……めんどくさい!!
でもこの話、意外にもエイシャが食いついた。
何でもフォストニア学園はこの王都で一番大きな学園で、その学園から騎士達も輩出している。故に聖王騎士団?とらやのお膝元でもある為、あの学園の生徒を狙う犯罪は殆ど無いらしい。
だから自分たちが居ない間は、学園に通うのは意外と安全かもしれない……との事だ。
その話に乗っかる様に、フランソワ卿もすぐさまオッケーを出してくれて、自分たちの遠い親戚という事で編入させてくれるそうだ。
その設定なら俺達が変な時期に編入した後も、学園長の親戚という事でいじめなどの対象にならないだろうし……何よりフォストニア学園でフランソワ卿の名前は色々融通が利く。
なんか俺とソフィアの意思の確認もせずとんとん拍子で話が進んでる気もするが……こうして俺達は、キーちゃんをホズムさんに任せて……フォストニア学園の普通科四年生として、学園に通わなきゃいけなくなっちゃったのである!!……やだなー。
◆
「ねぇ君達何処からきたの!?」
「え……と……。今まではカナッサの田舎にいました……」
「カナッサ!!あんな田舎にいたんだ!だったら……この街の事、俺達が教えてあげるから、放課後一緒に出掛けない!?」
「うええ。いえ……遠慮しときます……」
「そう言わずにさー!大丈夫!俺達こう見えても……この街に詳しいんだぜ!?」
うえええ。
朝の朝礼で、俺達の挨拶が終わった後、席に案内され……いきなりこいつ率いる男性グループに囲まれちゃった……。
因みにカナッサに居たってのは、シスタさん達と適当に作った設定です。何処だよカナッサって!
俺達に質問したがっていた女子グループも、こいつらが俺達を囲んだ瞬間引っ込んでいったし……助けを求める様に周りに目をやれば、サッと目を逸らされてしまう。
ううん。
どうやらこいつらはこのクラスでのヒエラルキーが非常に高いらしい。……お貴族様なのかな?
いや……だったら貴族課にいるかぁ……。
ともかくどーしよ。こいつら。
ていうか、ソフィアの方もこのグループの男子に話掛けられてるけど……どこ吹く風って感じで完全に無視してる。……さすがだなぁ……。
「おい!!無視すんなよ!!」
あ!!完全に無視された事に腹を立てた男子に、ソフィアは肩を掴まれて……その男子が吹っ飛んでいった!!
ソフィアは魔法の風で男子を吹き飛ばすと、今度は俺を取り囲んでる生徒を睨んで言った。
「触らないで。あと……コウを困らせないで。彼の後を追いたくないなら……コウから離れて」
いきなり問題起こしてない!?大丈夫!?
俺を助けようとしてくれるのは嬉しいけど、あんまり目立つ行動もよした方がいいと思うよ!?
「ひゅー!魔法を使えるのかい?だったら何で普通科に?」
「お前には関係ないでしょ?いいから消えて……私達の前から……」
「はは!いいね!君はコウちゃんのナイト様……いや?ビショップ様なのかな?クイーンを守る為に勇敢なのはいいけど……あんまりおいたが過ぎると「おいたが過ぎるのは貴方でしょ?ルーカス君」……ティファ……」
一発触発の雰囲気になってしまったソフィ達に、さっき騒がしかったクラスメイトを黙らせた女傑、委員長のティファさんが割って入った!!
「転入生から離れて下さい……ルーカス君。これ以上は私も見て見ぬふりは出来ないですよ?」
そう言って眼鏡をクイっとやると、その奥に光る眼光でルーカスと呼ばれた生徒を睨みつけるティファさん!!
その一睨みに……ルーカスは肩を竦めると言った。
「はいはい、わかったわかった。今回は退散するよ……。じゃコウちゃん!放課後待ってるからね?」
「いえ……結構です……」
「あはは!君も結構言うね?大丈夫!俺は優しいから、手取り足取り……腰取り、ちゃあんと教えてあげるよ?この街の事も……その他のことも……ね?」
そう言ってウインクすると、ルーカスは吹っ飛ばされ生徒含む仲間達の元へと戻って行った。
そんなルーカスを睨みつけるティファさんに、俺は頭を下げる。
「ありがとうございます……ティファさん。助かりました」
「いいえ。これも委員長の仕事ですので……。後、このクラスでは貴女達を助ける事が出来ますけど、外ではそうはいきません。くれぐれも彼らにはついて行かない様に……。特にコウさん。貴女の様な、世間を知らなそうなお嬢さんは……絶対にダメですからね?」
そう言って人差し指を立てるティファさんに、俺はコクコクと頷いた。
でも……世間知らずって……。うーーん。こう言っちゃなんだけど、このクラスの人達より俺達の方が、修羅場は結構くぐってる気もするけど……まぁさっきの見てたらそうは思えないよね!!やっぱ俺ってば相変わらずの雑魚っぽさがやばい!!
「コウ……大丈夫?」
そんな俺に、心配そうにソフィアが声を掛ける。俺はソフィアを安心させる様に笑みを作り、口を開いた。
「うん。大丈夫だよ、ソフィ。助けてくれてありがとう」
「全然。………ねぇ、コウ。もしあいつらが邪魔なら……」
「ダメだよ!?彼らあれでも只の一般人だからね!?(人前で)手を出しちゃ絶対にダメ!!」
「えー。そうなの?」
そう言って可愛らしく小首を傾げるソフィアに、俺は苦笑いをしてしまう。
何と言うか……編入早々前途多難だ。
これで本当にミリヤ達が戻ってくるまで、無事に学園生活をする事が出来るのか……。
そう思い辺りを見回すと、自分の席に戻っていたルーカスと目が合った。
ルーカスとは俺と目が合うと……意味ありげにニヤリと笑って、手をヒラヒラと振ってくる。
そんなルーカスを見ながら、どう考えてもこのまま穏便に学園生活なんて送れないよなぁ……とそんな嫌な予感を感じて、俺は壮大にため息をつくのであった。
そして当然の事、俺の想像通りこの学園生活は……唯々まったりなんて過ぎてはくれないのである……。もう、勘弁してほしいよ……!