最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第155話

 ホズムさんに俺の正体(白銀の(エンシェント)ドラゴン)がバレて、戦々恐々としていると、そんな俺にホズムさんが驚いた様な声を上げた。

 

「え?その反応は……もしかして貴女が白銀の(エンシェント)ドラゴンだと、一応隠してたんですか?……いやぁバレバレだったので、正直隠していないのかと思っていましたよ!!」

「ええ!?」

 

 マジで!?これでも一応隠そうとしてなかったっけ!?違ったっけ!?

 

「いやいや。神器持っている人間が二人もがっちり貴女守ってるのに、それを連想できない者なんていないでしょう?しかもおまけに聖女教会の聖女様まで貴女を守ってる」

「あ……」

「これで貴女に何もなければ彼らは何を守っているんだ?って事になりますよね?どこぞのご令嬢ならわざわざ勇者二人で守る必要もありませんしね?まぁ他にもいろいろと貴女が白銀の(エンシェント)ドラゴンだと確信出来るところが多々ありましたが……いやぁまさか隠していたとは!!それは失敬失敬!!」

 

 あはは!っと笑いながら謝ってくるホズムさんだが……当然だけど、この人心から謝罪なんてしてないな!!

 でもホズムさんに言われて思ったけど、確かに傍から見たら隠す気ゼロだったのかも!!

 

 だとしたら今度から気を付けないとなー。

 だって一応白銀の(エンシェント)ドラゴンって狙われてるんでしょ?魔族だけじゃなくて人間とかにも……。

 

「まぁでも大丈夫じゃないですかね?私はエイシャ殿とミリヤさんが勇者だと知っていましたが、正直他の人達は名乗らなければ解らないでしょうしね?まぁ各所の聖女教会へ足を運ぶマリフィセントさんは別でしょうが……。それに……気を付け様がないでしょう?あの三人が側に居る時点で」

「……そうですね……」

 

 まぁその通りなのである。

 マリィは残念ながら当分はこっちに来ることは出来ないだろうけど、エイシャとミリヤは用事済ませたらまた来てくれるって言ってたし、あの二人から距離を取るわけにもいかないし……詰みなのである。

 

 ……ん?ホズムさん、なんでミリヤが勇者だと気づいたんだ?

 

 もうこの際この人が隠してる事全部聞いてやる!!

 

「あの!……何でお姉ちゃんが勇者だと気づいたんですか!?」

「腰に聖剣さしてましたよね?私は一度見た物は大体忘れないので、それ見て気づきましたよ」

 

 はい解決。やっぱり会話って大事だね!!

 

「さて!話が逸れてしまいましたね!ともかく私は貴女に聖槍の選定のやり直しをしてもらいたい!……とはいえ、直ぐにとは言いません。今はエイシャ殿達は居ませんし、彼ら抜きで話を進める訳にはいかないでしょう。何せ弟が居るのは……この大陸では無く、海を渡って別の大陸なんですからね!」

「別の……大陸!」

 

 なんと!!槍の勇者が居るのは別の大陸だったのか!!

 そりゃ確かに直ぐに!って訳にはいかないなー。

 

「そうです。なのでこの件は、エイシャ殿達が戻られて改めてお願いしましょう!という訳で……今日はお開きとしましょうか?……それとも他に何か質問はありますか?」

 

 そう言って首を傾げるホズムだが……うーーん。なんか他に聞きたい事あったかな?

 俺としては聞きたい事聞けたし、ホズムさんが俺にして欲しい事も解ったので特に無いけど……。

 

「ソフィ?ホズムさんに聞きたい事……ある?」

 

 一応ソフィアにも聞いてみる。……まぁソフィアの答えなんて解り切ってるけどね!!

 

「ある」

「そっか。やっぱり無い……え??……あ……あるの……!?」

 

 あるんかい!!予想外過ぎんだけど!!?

 

 ソフィアの言葉に驚く俺を置いて、ソフィアはホズムに話しかけた。

 

「貴方はコウに勇者の選定のやり直しをたのんだけど……どうしてそれをコウが出来るって知ってたの?」

「いやいや。コウさんは白銀の(エンシェント)ドラゴンだから……」

「でも他の勇者達は白銀の(エンシェント)ドラゴンが勇者の選定を行えるって事を知らなかったみたい。私は勇者が何人も居るって事はつい最近知ったけど、聖女マリフィセントや勇者ミリヤの話を少し聞いたんだけど……あの聖女マリフィセントですら、白銀の(エンシェント)ドラゴンが勇者の選定が出来る事を知らなかった」

「………」

「魔族のおじさん(ベリアルの事)の話では……その伝承は少しずつ魔族達が削っていって人間達にバレない様にしていたみたい。だから今の時代の人達はその事を知らなかった……。だというのに……何故貴方はその事を知っているの?」

 

 ………ほえーーー。そーなの?そんな事、全然知らんかった。

 

 ソフィアの質問にホズムは少し驚いた顔をした。そして……少し笑みを作って答えた。

 

「驚いたな……。君は普段何も考えて無さそうで、意外と洞察力が高い様だ……ソフィアさん。……分かりました。もちろんお答えしましょう。……実は私も最初からその事を知っていた訳ではなかったんですよ。弟に聖槍を奪われ、そして堕落した弟を見て見ぬ振りも出来なくなり……どうにかして弟から聖槍を取り返さなくてはならないと、聖槍の所有権剥奪方法を色々調べていたんです」

「……それで?」

「ソフィアさんの言う通り、人間達の伝承には聖具は白銀の(エンシェント)ドラゴンから授けられるなどというものはありませんでした。……ですが……私はついに見つけたのです。私の大陸に巣食う伝説の魔女、マリ・ド・サンスの秘密の書から……勇者の選定の方法を!!」

「魔女……」

 

 なんか魔女って言葉が出て、一気にファンタジーっぽい感じになったな!!

 

「いやー、あの時は死にかけましたね……本当に。マリ・ド・サンスは数千年以上生きた魔族の魔女なんですが、魔王軍には組していない変り者なんですよ。でも彼女が人間の味方かというとそういう訳でもなくて、彼女のテリトリーの森に近づく者には容赦なく牙を向く……。何度も討伐隊が組まれて彼女の撃退に向かったのですが……帰ってきた者は一人しかいません……」

「その一人って……」

「そうですコウさん……。私ですよ!実は若い時、討伐隊に勇者として参加したことがありましてね!いやーあの時は本当にこてんぱんにされましたよ!!手も足も出ないとはあの事でしょうね!!ですが私は命からがら彼女の結界から抜け出す事が出来たのですが……その時彼女の森の秘密のルートを見つけましてね?だから聖槍を奪われた後、その秘密のルートを通ってまたマリ・ド・サンスの森へ向かった訳ですよ!」

「ええ!?な……なんて命知らずな……!」

「はは!あの時はそれ程焦っていたんです。どうにかして弟から、聖槍を取り戻さねば!!ってね!それでかの魔女ならば、何か知っているかも……彼女の屋敷にあった図書室ならば、何か手掛かりがあるやも!!ってね!!」

 

 この人すごいな!!

 なんかいつも飄々としていて、そういった危険には自分から向かって行くタイプじゃないと思ってけど……やっぱり元勇者だけあって、スゴイ勇気ある人だな!!

 

「それでこっそり彼女の図書室に忍び込み……その伝承を片っ端から調べた訳です!!」

「おお!!すごいです!!魔女には……バレなかったんですね!?」

「いえ?普通にバレましたよ?」

「ええ!!?」

 

 じゃ何でこの人生きてるの!!?

 

「普通に殺されそうになったんですけど……そんな時は東方から伝わる最強の謝罪術……土下座です!!そして誠心誠意謝罪して……そして何故、そんな危険を冒してまで私が彼女の屋敷に忍び込んだのか説明すると……なんと彼女は呆れながらも、協力してくれたんですよ!!」

「すごいです!!」

「まぁ当然条件付きですけどね?……あ!決してコウさん達を連れて行って魔女の生贄に!!なんて事はありませんからご安心を!その条件……魔女との契約はもう済ましましたからね!……ともかくそれで私は古くから、魔族達が人間から奪ってきた伝承を知ることが出来た訳です。……そして……その為に海を渡り、コウさん……つまり白銀の(エンシェント)ドラゴンに逢う為にこの大陸へと足を運んだんですよ!」

 

 すごい!!思った以上にホズムさんは大冒険をしてた訳だ!!

 こんな話聞いて、ホズムさんからのお願いを嫌とはもう言えないな!!

 

「因みに何故探偵をやっているかというと、元々勇者になる前にとある探偵の手伝いをしていましてね?ホズム・エドワードはその時名乗っていた偽名です!まぁ探偵の手伝いしてた時に、その探偵からとある事件の時に付けられた偽名なんですけど………名前も弟に奪われたし、丁度いいから今使ってるんですよ!」

 

 なるほどな!!

 これでもうホズムさんにこれ以上不信感は無いんじゃないだろうか?

 

 だってこの人の生い立ちとか、苦労とか……今回全部話してくれたしな!!

 

「わかりました!私……エイシャ様とお姉ちゃんに頼んでみます!ホズムさんの国に行けるように!」

「コウさん……。ありがとうございます!」

 

 そう言って俺達は手を取り合う!!次の目的地は……完全に決まったな!!俺の中では!!

 

 そんな俺達をソフィアは、小さく「余計な事聞いちゃった……」と言い、苦虫を嚙み潰したよう顔をしているのであった……。

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