最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第157話

 うーーん。なんだこの状況?

 

 俺は目の前で、俺の盾に吹き飛ばされて尻もちついている黒騎士を目の前にして、何ともカオスな状況になったなぁ……と、内心首を捻っていた。

 

「あ……貴方も……黒騎士……なの……!?」

 

 俺の後ろにいるシスタさんが背中越しに俺に話しかけてくるが……貴方()って事は、あいつもやっぱり黒騎士なのか!!

 

 その時俺の頭に電流が奔る……!!

 

 そう、それは剣の勇者クロスを殺害したという黒騎士の話である!!

 当然俺はクロスを殺した覚えなんて無いので、俺の中の黒騎士が勝手にやったか、それか偽物か……って思ってたんだけど……どうやら答えは得た様だな!!

 

 そう!!俺の中の名探偵(笑)が告げている!!

 犯人は……黒騎士!!お前だ!!!

 

 なーんだ考えてみりゃ簡単な事じゃん。

 何も黒騎士はこの世に一人とは限らないのだ!!だって黒騎士って、只全身に黒い鎧つけてる人の事を言うんだから!……全身フルプレートじゃ無くても黒い鎧つけてりゃ黒騎士か!

 だから……黒騎士黒騎士って言われると、つい全部俺って思ってたけど……別にそんな事なかった訳だ!!むしろ自意識過剰だったね!恥ずかし!

 

 つまりクロスを殺した犯人は別に偽物という訳じゃ無くて、そいつも黒騎士だった訳である!!

 

 ふふ。最近勉強尽くしで、俺の頭も随分良くなったものだ(勘違い)……!!その答えに一足早く辿り着いた俺は、もう勉強なんてしなくてもいい位に頭が良くなってるんじゃないだろうか(現実逃避)!!?

 

 ん?そういやなんでお前が此処にいるのかって?

 

 実は……今日から深夜パトロールしよっかなーって思って、黒騎士に変身して王都を見て回ってたのだ。

 なんでかって言うと、つい二日前にまた、女性が男達に連れ去られる事件が発生したのだ。んで、ホズムさんにも任せてるけど俺も出来る事があるだろうと、深夜にお手洗いに行く振りして……こっそり変身して、分身残してパトロールする事にしたのだ。

 

 なーんかこういうの、リヴァレン(ミリヤの故郷)ぶりだなーってテンション上がって結構いろんな所をパトロールしてると……なんと黒騎士に襲われてるシスタさんを発見した訳だ!!

 

 そして……この状況になった訳である。

 

 俺は未だに尻もちついている黒騎士……めんどくさいな!!よく分かんなくなるし、今度俺の黒騎士に名前でも付けて名乗ろっかな!?

 黒騎士セイバー!!みたいな名前!!……心の中の黒騎士が、全力で拒否してる気がするけど、気にしない……!

 ……まぁ取り合えずは俺の中で、自分を黒騎士Aとしてこいつを黒騎士Bとする事にする!!

 

 とにかく俺は、未だに尻もちついてる黒騎士Bに、ゆっくりと近づきながら口を開いた。

 

「さて、色々と言いたい事はあるが……一先ず幕を閉じるとしようか?」

「……!!!な……何を言っているのだ……!?」

 

 俺の言葉に想像以上に反応する黒騎士Bだが……幕を閉じるなんて一つしかないだろ?

 

「くくく。何をそんなに怯えているんだ?情けない……。そんな事では「待たれよ!!黒騎士殿!!」……なんだ?貴様は……」

 

 俺が黒騎士に止めを刺すべく、ランスを振り上げると……突如上から声が掛けられた。

 

 気だるげにそれを見上げると、建屋の上にそびえ立つ人物……!!その姿は……!!

 

「止めにはまだ早かろう!!その者にはまだしてもらわねばならぬ事がある!!悪いがこの勝負、水を差させてもらおう!!」

 

 黒い面頬で顔を隠したその姿……!!

 紛れもない!!あの姿は………忍者だ!!忍者!!忍者ナンデ!?

 

 俺が突然の忍者の登場に一瞬フリーズしていると、その隙をついて忍者は一瞬で俺の目の前に降り立ち、球を取り出し思いっきり地面へと打ち付けた!!

 その瞬間辺り一面に立ち込める煙!!……煙球か!!煙に乗じて逃げる気だな!?……だが!!

 

「っふ。逃がすと思うか?」

 

 俺はランスに魔力を籠めて思い切り横振りする!

 すると俺のランスによって吹き起こされた風が、煙を一瞬でかき消した!!

 

「!!?」

「な……なんと……!!?いや、しかし!!」

 

 まさか一瞬で煙をかき消されると思っていなかった忍者と黒騎士Bは、驚きの表情で俺を見ていた……まぁ二人とも顔隠してるか、表情解んないけどな!!

 

 俺はそんな二人に、加速魔法を使って一気にケリをつけようとして……。

 

「きゃああああああ!!?」

 

 俺の背後で悲鳴を上げるシスタさんの叫び声に、足を止める。

 そして振り返るとそこには、シスタさんの足元からタコみたいな触手が生えて来ており、シスタさんはそれに囚われていたのだ!!

 

「忍法口寄せの術!そのままその女を絞め殺して進ぜよう!!しからば……さらば!!」

 

 忍法!?今忍法って言った!?やっぱりこいつ忍者じゃん!!

 って!あほな事考えてる暇なかった!!

 

 俺は瞬時に加速魔法を発動して、シスタさんに絡みついているタコの足みたいなのを、シスタさんを傷つけないよう注意しながら破壊していく。

 そして全てのタコ足を排除して振り向くと……まぁ想像通り、そこにはもう忍者も黒騎士Bの姿も無かったのである。

 

 取り合えずそう遠くには行っていない筈……と、探索魔法を発動するが……どうやらこの辺りにはもう奴らはいない様だった。

 だとすると……瞬間移動の魔法か……忍術か……。

 

 俺はため息をつき、加速魔法を解除し、シスタさんを抱き止める。

 

「きゃ!わ!!あ……貴方は……!!」

「大丈夫かね?お嬢さん。しかし……女性一人で夜の一人歩きは感心しないな?」

「あ……え……と……。ごめん……なさい……?」

 

 シスタさんは目を白黒させながら謝ってくるけど……本当にこんな時間に一人で居るなんて、めっちゃ危ないよ?

 でも……それだけ先生って大変なんだろうなぁ……。特にうちのクラスは!!主にルーカスのせいで!!

 

 俺はシスタさんに同情しつつ……そっとシスタさんをその場に降ろす。

 

「さて……また今度は違う連中に襲われても面倒だ……と、言いたいところだが、どうやら騒ぎを聞きつけて、ようやく警備隊が登場したみたいだな」

「え!!そ……そうなんですか……?」

「ああ。故に……俺も此処で暇させてもらう。さらばだ……」

「え!?あ……ほ……本当にありがとうございます!!え……っと……貴方……お名前は……?」

 

 そう言って両の手を前で組み、祈る様なポーズで聞いてくるシスタさんに俺はフッと笑って答えた。

 

「さあて。俺に名など無いよ。好きに呼びたまえ……。では……さらばだ……」

 

 そう言って俺は体を霧状に変化させ、その場から去る。なんかここで黒騎士って名乗ると、面倒な事になりそうだしな!!

 

「あ!!待って!!お礼させて下さい!!」

 

「大丈夫ですか!?お嬢さん!!」

 

 丁度警備隊も到着した様で、これなら後は彼らに任せて大丈夫だろうと、俺はその場を去る。

 そして体を霧状にしたまま、その後街をちょっと見て回って……後は特に異常が無いのを確認して、俺は分身(コウ)の元へと飛んで行くのだが……その間に、さっきの黒騎士Bと忍者について考えていた。

 

 あいつら一体何者なんだろ?

 なんでシスタさんを狙ってんだろ?……ていうか忍者って……この世界にも居たんだなぁ……。

 

 っと、最後の方は忍者がこの世界に存在している事への驚愕の方へ思考がシフトしていき、なんでシスタさんが狙われてたのかあんまり考えてなかったけど……この考えの甘さが、後々面倒な事へと話が進んで行くとは、この時の俺は思ってもみなかったのである……。

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