最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
突如姿を消したティファ。
アンナの話では、ルーカス達が黒騎士に襲われた後に一度アンナと一緒に寮に戻ったらしいのだが……「ちょっとお手洗いに行ってくる」と部屋を出た後、帰って来なくなったそうだ(因みにアンナとティファは同室です)。
……なんかルーカス達が完全に被害者扱いなのが微妙に気に入らないけど、まぁ傍から見るとそうなんだろうから仕方ないか……。いや!!やっぱりちょっと納得いかない!!
まぁそれは置いといて、一体ティファは何処に行ってしまったんだろう?
もしかしてルーカスの病室かな?って思ったけど、そこにもティファは居なかったらしい。
「黒騎士に攻撃されて、未だに意識が戻ってないルーカスの病室に行ったのかと思ったんだけど……寮母さんに確認してもらったら、そこにもいなかったの……」
涙目でそう言って項垂れるアンナ。
寮母さん経由で先生たちにも伝えたらしいが、時間も時間なので残っている教師も少ない。
その後、警備隊にも連絡して捜索して貰っているらしいのだが……。
「ティファ。あの後ずっと思い詰めてたみたいなんだ。ルーカスが黒騎士に襲われた時、ティファも傍に居たみたいなんだけど……その時絶対に何かあったんだよ!!」
……まぁ確かにあったね。でもそれは今はあんまり関係ないんじゃないかな?多分。
ティファが何処へ消えたのか確かに気になるが……今の俺達に出来ることは無い。
ここで俺たちまで寮を飛び出してティファを探しても見つかるとは思えないし……何より女子だけで夜間に飛び出て行くなんて危険だ。
そう。今
◆
真夜中。
あの後泣き出してしまったアンナを落ち着かせ、取り合えず今日は一緒に寝ようということになった。
幸いアンナも色々ありすぎて疲れていたのか、俺のベッドに一緒に入ると……すぐに寝息を立てていた。
そんなアンナを起こさない様にそっと俺はベットから離れると、ソフィアにお手洗いに行くと伝え……そしてトイレの中で黒騎士へと変身する!!
すぐに分身を作って部屋に戻させ、俺はそのまま体を霧状に変えて街へと飛び出した。
それにしても……昨日の夜はシスタさんが、そして今日はティファが行方不明なんて、この王都本当に治安が悪いな。
でも、俺はてっきり女性を攫っていたグループはルーカス一派だと思ってたので、ティファが居なくなったと聞いた時はめっちゃ驚いた。だって皆口には出さないけど、多分ティファって攫われちゃったんだよね?
生贄だのなんだの言ってたけど……俺が想像してるのとまったく違って、本当に只のナンパとかそんなんだったら……俺がルーカス殴り飛ばしたり、男子生徒達を気絶(勝手に)させたのは只の勘違いってことになっちゃう!!
でもあいつらまわすだのなんだの言ってたし、多分そうだよね!?これで違うってことないよね!?
ちょっと戦々恐々としつつも、俺はもう一つの可能性を考えていた。
それは昨日シスタさんを襲っていた黒騎士Bと忍者だ!!
あの黒騎士Bと忍者は、ルーカス一派とはまた別の連中っぽいし、ティファを攫ったのはもしかして奴らかもしれない。
幸い黒騎士は一度感じた気配を違える事は無いので、俺は取り合えず黒騎士Bか忍者の気配を追って、今王都を飛び回っているのである。
あいつら昨日の今日で現れるかな……。
でも……あいつでも無かったら……ティファは一体何処に消えてしまったんだ……??
……と、そこまで考えて、俺はティファが何処で消えたのか?という疑問にたどり着く。
よくよく考えたら、ティファって学園内で攫われたんじゃね?
いや、もしかしたらティファが一人で学園から出て攫われたって事も考えられるけど……普通に考えて攫われるとしたら学園内だよね?
でも……だとすると、やっぱりルーカス一派が学園内で攫ったて考えるのが普通だけど……流石に学園の生徒攫ったら今みたいな、結構な大事になる。
だから今までは学園外の女性を攫って、学園では大事にしていなかったんだと思うけど……うーーーーんマジで分からん!!
このまま闇雲に飛び回ってても余り意味が無いかもしれないと思った俺は、王都の二番目に高い建物、時計塔の上で霧魔法を解除して実体化する(因みに王都で一番高い建物は王城である)。
そこから街を見下ろして、さてどうしたものか……と考え込んでいると……俺の背後に近づく気配を察知した。
時計塔の職員かな?……そう思い、また霧魔法を発動させようとして……その人物が、俺の知っている人物だという事に気付く。……その人物とは……。
「こうして顔を合わせるのは初めてですね?初めまして、黒騎士殿。私は名探偵ホズム・エドワードです。以後お見知りおきを……」
そう言って芝居がかった動きで綺麗にお辞儀をするホズムさんの登場に、俺は驚いて一瞬固まってしまう。
そんな俺を無視して、ホズムさんは言葉を続けた。
「いやぁようやく逢えましたね?黒騎士殿。前々から貴女にはお逢いしたいと思っていたのですよ」
そう言ってウインクするホズムさんに、俺は内心混乱しながらも口を開く。
「ほう?この国一番の犯罪者に逢いたいと思っているとは……。やはり探偵だけに、俺を逮捕する為か?」
そういや前もホズムさんは黒騎士の事を凶悪犯だって言ってたし……こうして相対しちゃったからには、探偵として見過ごせないという事か!?
俺としては今ホズムさんに構っている暇なんてないんだけど!!
「いえいえ。私は貴女が犯罪者だなんて思っていませんよ?」
嘘つけ!!旅館での推理の時に、
あの時は魔族の目を欺く為だったとはいえ、そのせいで俺達が王都に来る嵌めになったんだからな!?
その想いも籠めた殺意をホズムさんに向ける。
しかしホズムさんは、そんな俺の殺意など、どこ吹く風といった風に笑顔で流すと言葉を続けた。
「私は貴女のお友達に言われてとある事件を追っていましてね?女性が攫われる事件なんですけどね……貴女も今、その事件で動いているのでしょう?」
「……何故そう思うんだ?犯罪者の俺がそんな事件知った事じゃないだろう?」
「はは!そう拗ねないでくださいよ!貴女を凶悪犯なんて言った事は謝りますから!」
そう言って笑うホズムさんだが、この人謝る気あんま無いな……。
はぁ……もういいや。此処で押し問答しても仕方ないし、この話は一旦置いとこう。
「……それで?こんな所で探偵殿は何をしているんだ?景色を眺めに来たわけではあるまい?」
ほんとこの人こんな所で何やってんだろ?
「いやたまたま時計塔を見上げたら、貴女が目に入りましてね。これはもしや……と思い、急いで登ってきたんですよ!いやぁ良かった。貴女がまだ此処を離れて居なくて。では……行きましょうか?」
「行く……?お前は一体何を言っているんだ?」
「ふふ。言ったでしょ?私は貴女のお友達……コウさんに言われて事件を追っていたんですよ。そして、先程消えた女子生徒は……今ならまだ間に合います。ですから急ぎましょう!」
「!!!」
こ……この人一体どこまで解ってんだ!?
俺が今日消えた女子生徒のティファを探してるなんて……一言も言って無いよ!?
後、今気づいたけど!!この人お友達お友達って言ってるけど……コウと
俺は目の前で笑顔を作り、一緒についてくる様に促してくるホズムさんを呆然と見つめる。
マジでこの人何でも知ってそうで怖い……。