最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
「ティファさんを攫ったのはサタノニア公爵家の次男坊であるカーンという男です」
ホズムさんに先導してもらいながら、俺達は王都を風の様に疾走する。
……黒騎士程じゃないにしろ、元勇者と言うだけあってホズムさん普通に早えな!走るの!!
「彼はフォストニア学園の騎士科の六年生なのですが、まぁ弟君を優に超える所業でしてね?……それがナニかはご想像にお任せしますが……」
それって間違い無くセンシティブな内容だよね!?
もう!!この小説R15なんだから、そういうの止めて欲しいんだけど!?
俺がクロスの奴隷になった後ぐらいから、なんかそういうの増えてない!?ドラッグやら……人攫いやら……その後とか……まあ、そーいうの!!
……あ!!思い返してみたら、アイドルの頃からあったわ。イリヤ攫われて薬漬け……とか。
やっぱり、この国治安悪すぎない!?どうなってるの!?マフィアのせい!?
そう思ってちょっと現実逃避している俺を余所に、ホズムさんの話は進む。
「彼らはマフィアからドラッグを入手して、それを攫った女性達に使っている様ですね」
はいアウトー。もうスリーアウト交代だよそんな奴ら。
最早そんな奴ら、どんな理由があったにせよ同情の余地なし。……この黒騎士容赦せん……!!
「お友達のティファさんは、カーンの弟であるルーカスとかつて仲が良かった。そしてルーカスはそんなティファさんと再会して……少しだけ大人しくなったそうです」
「……くく。あれでか?」
「はは!あれでも……ですよ。そしてカーンはそれが気に入らなかった。……普段ティファさんはルーカスに守られていましたが……今回の件で彼は病院送り。その隙を狙って、カーンは邪魔者であるティファさんを攫った様ですね」
くそつまんねぇ理由だな!!
「なんとも下らない連中だな。公爵家だか何だか知らんが……少々勝手が過ぎるのではないかね?」
「サタノニア公爵家はこの国でも特に権力を持っていますからね。王族は当然として、彼らは聖女教会、聖王騎士協会などにも深い関りがある。……もちろん裏ではマフィアとも」
そりゃ凄い。……ん?今なんか全然知らない協会出てこなかった?
「聖王騎士協会?……なんだ、それは?」
「おや?ご存じ無いですか?確か話は聞いていた筈ですけど……。まぁ彼らは、この国が誇る騎士団の名称ですよ。聖王とはこの国の国王では無く、神々によって選定された特別な存在……まぁ聖女と同じ様な方ですね。そしてそんな聖王をお守りするのが、聖王騎士団で、騎士達の中でも選りすぐりの実力者達で構成されています。そしてそんな聖王騎士団と聖王をひっくるめた名称が聖王騎士協会なのですよ。まぁ略して聖王協会とも呼ばれますけどね」
………ポッと出でなんかすごそうな奴らが湧いて出てきた件。
いやいや!!そんな栄えある組織があんなら、この国に巣食うマフィアとか一層しろよ!!そのせいで出回ってんじゃん!!ドラッグとか、奴隷とか!!!
「そんな彼らも近年質が下がった……。というより、今の聖王様がまぁ随分と黒い噂のある人でしてね?いろいろ横暴な人の様ですし、噂では裏でマフィアとの関りもあるそうですよ?今回マリフィセントさんが強制送還されたのも、裏で彼が聖女教会に手を回したのもあるみたいですよ?何時までも聖女様がこの国に居られると、邪魔だった見たいですね」
………ポッと出でなんかすごそうな奴らが既に腐った連中だった件。
もういいや、こいつらの話は。なんか考えるだけ無駄な気がしてきた。……後でがっつり関わってきそうだけど(フラグ)、今は関係無いので無視します!!……マリィの件は無視できないけどな!!
………あれ?そういや聖王騎士協会ってどっかで聞いた事あるな?うーーーん、どこだっけ?
「さて、そんな話をしているうちに、カーン一派の隠れ家に到着ですね!……しかし、カーン一派に手を出すという事は……この国の重鎮、サタノニア公爵家を敵に回す、即ちこの国を敵に回すという事ですが……」
「くく。そんな事を俺が気にするとでも思ったのか?今さらだろう……?」
「はは!流石は黒騎士殿!!そう来なくては!!さて……では私も……」
そう言うと、ホズムさんは徐に仮面を取り出した。……ひょっとこの。
えええ!!?この世界でもひょっとことかあんの!!?
内心めっちゃ驚いてる俺を余所に、ひょっとこ面を装着したホズムさんは意気揚々として言った。
「私は正体がばれちゃったら街を歩けなくなるので、ちょっと変装させて貰いましょう!!では……行きましょうかね!?お友達を助けに!!」
「……俺の友達ではないがな」
うーん。
何かしまらないなー。
てゆーか、ホズムさんって戦えるのかな?
一応元勇者らしいけど……そういや戦った所見た事ないや。
しかし俺の一抹の不安など気にせず、ホズムさんは屋敷に突入していくのだった……。
……いや正面突破!!?作戦とかないの!!?
◆
「ぐえぇ!!?」
「ぎあ!?」
断末魔を上げながらバタリ倒れる男達。
俺達は屋敷の外を見張っていた連中を、あっという間に倒して屋敷へと突入する。
まぁよくよく考えたら、最悪ホズムさんをおとりにして、俺は霧状になってティファを助けに行けばいいし、正面突破は案外悪くないかもな。
というか、鮮やかにニ、三人を素手で気絶させたホズムさんのお手並みは、流石元勇者と言った所だ。
これなら彼を守る必要なんて無いし、そこら辺の奴らはホズムさんに任せても大丈夫そうだな!
俺は一応武器は使わずに、素手で連中を殴り飛ばす。
まぁ一応手加減はしてるけど……これで死んだら死んだ時だ。こんな事に加担してる奴らの心配までしてる暇ない。
「ひぃいい!!?な……んだてぇめら!!?ってお前は……!!?」
この屋敷に居る連中は、騎士科の連中なんだろうが……流石に普通科の連中と違って、俺を見ただけで気絶する様な奴は居ない。
「く……黒騎士だぁ!!!?黒騎士が……襲撃してきたぞぉ!!?ぐべぇええ!!?」
仲間に向かって懸命に叫ぶ男の顔面に拳をめり込ませながら、俺は探索魔法を発動してティファを探す。……ティファはどうやら……上の階にいるみたいだな!!
ティファの周りを何人か取り囲む様に人がいるけど……恐らくその中の一人がカーンなんだろう。
「小娘を見つけた。……ここを任せてもいいか?探偵殿?」
「お任せを!後……今は探偵では無く、ひょっとこ仮面ですよ!」
グッとサムズアップして来るホズムさんに此処を任せて、俺は体を霧状に変化させティファの元へと急ぐ。
それにしても……やっぱりその仮面ひょっとこって言うんだな!!この世界でも!!