最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第167話

 ティファが居ると思われる二階の部屋に入ると、中には金髪のいかにもヤンキーですって感じのガタイの良い男と、そいつに今にも襲われそうになっているティファを発見した!

 

 見た感じティファはまだ乱暴はされていない様なので……どうやら間に合ったみたいだな!!

 

「……おや?お楽しみ中かね?ならば……俺も混ぜてくれないか?」

 

 ティファが無事だったことに安心しつつ軽口を叩くと、金髪ヤンキーが冷や汗を流しながらも余裕な表情を作って俺に言った。

 

「そうだぜ?今からお楽しみだったってのに……邪魔してくれたなぁ?黒騎士さんよ」

 

 こいつがホズムさんの言ってたカーンって奴なのかな?

 

「それは悪かったな?しかし……この街は随分と荒れてるなぁ……。先程も女子生徒を襲おうとしている連中がいたが……至る所でそういった事件が起きている」

「へぇ?そりゃ知らなかったぜ?……んで?あんたはその事件を解決して回ってるってわけかい?」

 

 お互い軽口を叩きながらも、ゆっくりと臨戦態勢を取り俺は続けた。

 

「くく。目に余るからな?正直……この街の品性が問われるぞ?まぁ……俺の知った事ではないが……見ていて気分がいいものでもないしなぁ?」

「はは!!意外だぜ!!この国始まって以来の犯罪者さんが、まさかその様にお考えとはな!!」

 

 その言葉と共にカーンは、両の掌を床につける。

 すると俺の足元に魔法陣が現れ、そこから黒い大蜘蛛が召喚された!!

 

「アトラック=ナチャの眷属だ!!まだ女食ってねぇから力は少し弱いが……時間稼ぎにゃもってこいだ……ろ……って……」

 

 奴の言葉が終わる前に、こっちはもう終わってんですけど。

 俺の足元から召喚された大蜘蛛は、既にそのまま俺に踏みつぶされて息絶えてるんだから。

 

 そんな大蜘蛛(死骸)と俺を、カーンは一瞬驚愕して目を見開くと……表情を引き締めて腰の剣を抜いた。

 

「……はっ!!やっぱこの程度ではあんたを抑えるのは無理か!!だが!!そいつはその程度では止まんねぇぞ!?」

 

 カーンのその言葉通り、死骸になっている大蜘蛛の腹を食い破って、大量の小さな蜘蛛が這いだして来たのだ。……うぇえ、気持ち悪!

 そして小蜘蛛達は、一斉に糸を吐いて俺を拘束しようとしてくるが……ちょっと遅すぎる。

 

 俺は加速魔法を発動させ、瞬時にその場からカーンの背後へと移動する。……そして……。

 

「な!!?消えた!!?ど……どこいっっ……ぎあぁ!!?」

 

 驚くカーンを背後から、無造作に殴り飛ばす。

 

 予想外の攻撃に、カーンは反応出来る筈も無く、そのまま勢いよく部屋の壁に突っ込んで行った。

 ……弟と同じになれて良かったな!!

 

 そして俺に向かってまた糸を吐き出そうとしている小蜘蛛達に向かって、盾を召喚して投擲する。

 盾は狙い違わず小蜘蛛達へと飛んで行って、衝撃波を纏い小蜘蛛達を一斉に八つ裂きにするのだった。

 

 さて……どうやらカーンは一人でティファと相対していた様で、この部屋にはティファとカーンしか居なかった様だ。

 

 なのでカーン(と召喚された蜘蛛)を無力化した今、他に脅威は無い様である。

 俺はそれを確認すると、ゆっくりティファに近づいて行く。

 

 ティファは手足を縛られていて、横になりながら今の俺とカーンの攻防を呆然と見ていた。

 

 そして俺が近づいて行くと……何故か諦めた様な笑みを作って言った。

 

「……流石……黒騎士ですね……。……次は……私ですか……?」

 

 なんでやねん!!どう見ても助けに来てるだろうが!?

 

「ほう?何故そう思うのかね?……客観的に見て、俺が君を助けに来たと……思わないのか?」

「……でも、私は貴方を拒絶しました……。あの時、コウを助けてくれた貴方を拒絶して……私はルーカス君の肩を持ちました…………ごめんなさい……」

 

 ああー。

 何だ……あの時の事、ティファも悩んでたのか。そして……後悔してたのか……。

 

 それを知って、俺の中でティファに感じていたわだかまりが、心の中でスッと消えて行くのを感じた。

 

「っふ。俺が周りに良く思われないのは何時もの事なのでね?大して気にしていないさ」

 

 嘘です。めっちゃ気にしてました。

 

 でも……今は気にしていないのは本当だ。

 

「……私を……許してくれるんですか……?」

 

 信じられないといった風に言うティファに、内心苦笑いをして俺はティファの拘束を解いてやる。

 

「許すも何も、気にしていないと言っているだろう?……さ、君はこれで自由だ。……学園まで送ってやろう……」

 

 そう言って差し伸べた手を、戸惑いながらもティファが取ろうとして……背後からけたたましい嗤い声が部屋に響いた。

 

「げひゃひゃひゃひゃ!!!マジで流石だぜぇ!!黒騎士さんよぉ!!?()()の人間にゃあんたは太刀打ちできねぇかぁ!!げはひゃひゃひゃ!!」

 

 そう言って馬鹿笑いをするカーンに、俺は内心少し驚いていた。

 

 そこそこ力を籠めて殴り飛ばしたんだけど……気絶しない所か結構元気だな!思ったより実力者だったんだな!……弟と違って!!

 

「俺ぁこれでも騎士科の首席なんだぜ?これじゃあ立つ瀬がねぇよ!!」

「くく。お前ごときが首席とは、学園のたかが知れるなぁ?」

「はっはぁ!!アンタにしてみりゃ首席もその辺の雑魚も変んねぇだろうなぁ!?正に……最強だぜ!!」

 

 そう言って嬉しそうに笑うカーンだけど……何がそんなに嬉しいんだ?こいつ。

 

 カーンはゆっくりと立ち上がり、そして芝居がかった仕草に両手を広げて言った。

 

「なぁ黒騎士さんよ?あんた……俺達の仲間にならねぇか?あんたなら……正直入隊してくれただけで、最上位騎士に選ばれるのは間違いねぇ!!」

「っは!!俺がお前の様な子悪党と組む訳が無いだろう?馬鹿も休み休み言え」

「ああん?ああ……ちげぇよ!!こっちじゃ無くて本業だよ!!……たく!はぐらかすなよぉ!アンタほどの実力者ならもう解ってんだろ?俺が何に所属してるのかなんてよぉ!!」

 

 ……ええっと。こいつ突然なに言い始めたんだ?いやマジで。

 

「さぁ?皆目見当もつかんなぁ?……さて……無駄話は終わりだな?ならばさっさとお前を……」

「いやいやいや!!ったく!じらすのがうまいぜ!!……じゃあ……改めてちゃんとスカウトさせて貰うぜぇ?」

 

 そう言うとカーンは、姿勢を直し綺麗なお辞儀をして口を開いた。

 

「この国……いや?この世界最強の騎士、黒騎士殿。貴殿には我ら聖王騎士団に、名を連ねて頂きたい。混沌とするこの世界を、聖王様と共に守る助けをして欲しいのだが……如何かな?」

 

 そう言って手を差し伸べてくるカーンだが……ここにきて聖王騎士団出てくるのかよ!!?さっき聞いたばかりポッと出の集団なのに登場早いよ!!

 

 あと声を大にして言いたい事がある……。

 

 混沌とする世界って言ってるけど、混沌とさせてる原因の一つはお前だろ!!いい加減にしろ!!!

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