最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第172話 伝説の復活(とあるアイドルファン視点)

 私はその日の事を一生忘れないと思う。

 

 言っては何だが、私は結成当時からのLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)のファンである。そこら辺のにわかファンとは応援してきた年季が違うのだ!

 

 今日はLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の王都での単独ライブ。

 

 セントラルステージで優勝を収めたLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)達は、こうして国の主要都市を周ってライブする訳なのだが……その最初のライブが王都のフォストニア学園なのである。

 

 王都一の学園の一角を使って行われるライブは、王都に住む人間はもちろんの事、私の様にセントラリアに住む人間も多く来場していた。

 

 何とこのライブ、稀に王族すら見に来るそうで、事実今日のライブには王妃様とお姫様も観覧されるそうだ。

 

 そんなこの国でも一大イベントだというのに……私は心のどこかで少しこのライブに引っかかりを感じていたのだ。

 

 その理由は当然……コウちゃんである。

 

 彗星の如く現れて、私達ファンの心を掴んだまま……消えて行ってしまったコウちゃんに、未だに私は心を囚われているのだ。

 

 当然コウちゃんが居なくたって、アイスちゃんやクルミちゃん、イリヤちゃんといった魅力的メンバーは沢山いて、ライブが始まれば私も夢中になれるのだが……どうしても始まる前は、こうして寂しく思ってしまうのだ。

 

「どうしたの?ウルカ?浮かない顔してるけど……」

 

 私の親友で、このライブ会場になっているフォストニア学園の教師でもあるシスタが、浮かない顔をしている私を見て言った。

 

 彼女は今年のセントラルステージを見るまでは、アイドルなどに興味が無かったのだが……私の誘いでセントラルステージを見てから、Lumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の虜になってしまったのだ。

 

「ライブ……楽しみじゃないの?」

「……ううん。楽しみだよ……。でも……やっぱりコウちゃんがいないって事がね……」

 

 そう言ってシスタに目を向けると……なんと彼女は笑いをかみ殺した様な!何かを隠している様な微妙な顔をして私を見ていた!!

 

「ちょっと何、その顔!!?え!!?どういう感情!!?」

「ふへ!!?いや……!!なんでもないわ!!なんでも無いのよ!!?そうね!!コウちゃんいないと寂しいわにょね……!!……ふひ!!」

 

 何なんだ!!?

 彼女だって、たった一回コウちゃんを見ただけで、彼女の虜になっていた筈なのに……!!

 

 釈然としない私が、またシスタを問い詰めようとして……。

 

「皆さん長らくお待たせしました!!只今よりセントラリアでのアイドルフェス、セントラルステージを制したLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)のライブを行いたいと思います!!」

 

 イベントが始まってしまった!!

 

 司会の人が、今日初めて来た人たちに向けて、セントラルステージとは何か、そしてそこで優勝したLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)というグループはどういったグループなのか説明しているが……正直私はそんな事、聞かなくても百も承知なので聞き流す。

 

 正直イベントが始まってしまった以上、これ以上シスタを問い詰める事は出来ないが……やっぱり気になる!!……というか、手紙ではシスタは学園のスタッフとして、ライブの手伝いするって書いてあったけど……今普通に観客席にいるけど、大丈夫なのだろうか?

 

「それでは……登場して頂きましょう!!新制Lumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の皆さまです!!」

 

 そんなモヤモヤした気持ちのまま、イベントは進み……ついにLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の皆が会場に姿を現した!!

 

「みんなーーーー!!今日は集まってくれて本当にありがとう!!いつも応援してくれている人も、今日初めて私達を見てくれる人も!!今日という日が特別な日になる様に、私達も全力で頑張るから、最後まで楽しんでいってねーーー!!!」

 

 リーダーのラビルちゃんが開口一番に皆に声を掛ける!!

 やっぱりラビルちゃんはかわいい!!何だかんだ言って、私はLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の箱推しなのでメンバー皆が大好きなのだ!!

 

 そして始まるライブ!!

 

 彼女達が歌って踊れば、会場は大いに盛り上がり、設置された魔道スフィアは光輝く!!

 さっきまでのモヤモヤは何処へやら、ライブが始まれば私も夢中で彼女達を応援していた!!

 

 今回は全八曲からなるプログラムで、二曲ずつセンターが交代していく。

 

 始めの二曲はアイスちゃん!!次の二曲はイリヤちゃん!!そして……更に二曲をクルミちゃんがセンターを務めて歌って踊る!!……のだが、最後の二曲は誰がセンターをするんだろ?

 

 最後の二曲はセントラルステージでも披露した『ルミナス・コード』と『ミラージュ・ハート』の筈なのだが……このままいけば、クルミちゃんがセンターを務めるのかな?

 

 などと頭の片隅で思いながらも、彼女達のライブに夢中になっていると……あっという間に残り二曲になったのだ。

 

 そして……。

 

「皆さん!!残すところあと二曲になっちゃいました!!」

 

 中心に立っているクルミちゃんが、一度会場を見渡して口を開く。

 

「ここで!!皆さんにサプライズ!!!今日集まってくれた人たちで、知っている人も多いと思うけど、私達Lumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)がセントラルステージで優勝出来たのは、今のメンバーだけの力じゃありませんでした!!」

 

 確かに……。

 セントラルステージを優勝出来たのは、コウちゃんの功績も大きいだろう……。でも今それを言う必要があるのだろうか……?

 

 ……まさか!!!?

 

「そして……今年のLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の顔とも言っていいメンバー!!セントラルステージの途中で悔しくも私達にバトンを譲ってくれた彼女が!!今日!!また戻って来てくれました!!……いいわよ!!コウ!!!」

 

 その言葉と共に、ステージ裏から現れたのは……紛れもなく、あの瞬間私の……私達の心を奪っていた、伝説のアイドル!!コウちゃんだった!!!

 

「「「う……うぉおおおおおおおお!!!?」」」

 

 コウちゃんの登場に沸き立つ会場!!!勿論私のボルテージも最高潮だ!!!

 

 コウちゃんの登場で、まだ歌っても居ないのにスフィアが虹色に光輝きだす!!!

 

「………皆さん。お久しぶりです!そして……初めまして!私はコウです」

 

 コウちゃんが話し始めた瞬間、沸き立っていた会場が一気に静かになる。

 しかしこれは決して冷めてしまった訳では無く、皆コウちゃんの言葉に耳を傾けているからだ!!

 

「まずは謝らせて下さい。セントラルステージで応援してくれていたのに、あのような形でステージを降りてしまった事を。そして皆さんに心配をかけてしまった事を!……ですが今日、こうしてLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)の皆と一緒に、また皆さんの前に立って、歌声を届けられることは、私にとてこれ程嬉しい事はありません!!だから……私を知っている人も、知らない人も、最後まで全力で楽しんでいってください!!」

 

「「「うおおおおおおおおおお!!!コウちゃーーーーーん!!!!」」」

 

 その言葉に更に湧き上がる会場!!

 

「シスタ!!……コウちゃんの復帰、知ってたでしょ!!?」

「あ……えへへ?さぁ?何のことか分かんないわ!!」

 

 このぉ!!絶対知ってたでしょ!!?さっきの態度!!!

 

「ありがとう!!コウ!!……でも、コウはまだ完全復帰とはいきません。残念ながら、まだ体調が完全に戻った訳ではないので……。なので、このツアーでコウが参加出来るのは今日だけなのですが、安心してください!!来年のセントラルステージまでに、必ずコウが復活すると約束します!!」

「え!!?」

 

「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 クルミちゃんの言葉にコウちゃんが驚いて目を見開くが、そんな事お構いなしに前奏が始まる。

 

「ほら!!コウ!!」

「う!!……ごほん。では、聞いて下さい!!『ルミナス・コード』!!」

 

 そして始まる夢の様な時間。

 

 私は復帰したコウちゃんの……完全となったLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)のパフォーマンスに、最後まで酔いしれるのだった……!!!

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