最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
モンルミエール無くして我が国は無し。
モンルミエールこそがこの国を導く唯一の道しるべ。
お前こそがこの国の最後の希望。
我らの血筋か必ずお前を導く。
奴らは必ずお前を狙ってくる。
何故なら奴らにとって我らの血筋は必要であり、そして邪魔でもあるのだから。
お前は様々な困難に直面する事になるだろう。
だが忘れるな、アナスタシア……。
どんな困難があろうとも、神に選ばれし我らの力で……………………必ずや奴らから王座を取り戻すのだ!!!!
◆
「きゃああああああ!!コウーーーーー!!!」
「ちょっと!?ソフィア!?アンタそんな大きな声だせたの!!?」
「あはは!!でも気持ち分かるよ!!コウってば凄いね!!」
「ふふ。何時ものボーっとしたコウからは考えられませんね!!」
生徒達の声が耳に入り、私はハッと現実に立ち戻る。
私は今何を考えていた?
一体……何を思いだそうとしていた……?
コウちゃんがステージに上がり、歌い始めてからボルテージがさらに上がる会場に合わせる様に、私自身のボルテージも最高潮まで上がっていた!!
そのせいだろうか?
頭に血が上りすぎて……ちょっと意識が飛んでいた様に感じる。
とにかく……今意識を飛ばす訳にはいかない!!
せっかくコウちゃんがステージで歌っているのに、それを聞けないなんて……悲しすぎる!!
だが、私の思いも空しく、舞台は最後の曲『ミラージュ・ハート』の終盤に差し掛かっていたのだ!!なんてことなの!!?
思った以上に意識を飛ばしていた事に愕然としつつも……私は意識を切り替えて最後までコウちゃんの雄姿を目に焼き付ける!!……ああ、色んな意味で涙が出そう!!
そして……。
「今日は本当にありがとうございました!!これからも……
その言葉と共に、夢のステージの幕は下りるのであった。
あああああああ!!
結局私はコウちゃんの輝きを、半分ぐらいしか見れて無いんだけど!!?
そう思い愕然としていると、周りのファンたちが騒めきだす。……私の隣のウルカも!
「アンコール!!」「アンコール!!」「アンコーールゥ!!」
その言葉に私はまたハッとさせられる!!
そうだ!!これはセントラルステージと違って、
私も慌てて周りに合わせて声の限り叫ぶ!!
「「「「アンコール!!アンコール!!!」」」」
声はどんどん重なっていき、ついには会場を巻き込む大合唱となった!!!……そして……!!!
「みんなーーー!!アンコールありがとーーー!!!」
会場の声を聴いて、
当然そこにはコウちゃんも居て、会場に笑顔で手を振っている!!
「アンコール本当にありがとう!!まだまだ皆の熱も冷めないみたいだし、私達の最後の曲!!聞いてくれるよね!!?」
「うおおおおお!!!!」
リーダーのラビルちゃんの声に合わせて会場のボルテージが更に上がる!!
ここは王都で、アイドル活動が盛んなセントラリアじゃないのに……今日初めてライブを見たって人だって沢山いると思うのに……既に会場の心は一つになっていた!!
「みんなー!!最後まで楽しんでねー!!!」
「せっかくのアンコールなんだから、途中で疲れたって顔すんじゃないわよ!!?」
「私達も最後まで、全力で歌わせてもらいます」
アイスちゃん、クルミちゃん、イリヤちゃんが会場に向かって声を掛ける!!そして……!!
「皆さんアンコールありがとう!私達も……力尽きるまで、今日という日を全力で歌いきります!!皆さん……最後までついてきてください!!!」
コウちゃんの一言に、会場の熱気は……爆発した!!
今まで以上に光り輝く魔道スフィアの輝きに照らされて、コウちゃんは笑顔で口を開いた!!
「では……聞いて下さい!!『
そして流れる演奏に合わせて、コウちゃん達は最後のパフォーマンスを始める!!
「この曲は……伝説のアイドル!!カノン氏の
私の近くにいるアイドルオタクっぽい人の、説明口調の独り言が聞こえてくるが……もうそんなのどうでもいい!!
とにかく一分一秒でもコウちゃんの雄姿をこの目に焼き付けて……!!!
「これがお前の最後の娯楽だ。……我らが主はお前に最後の楽しみを送る猶予を下さった……。故に……今は全力で楽しむいい……。アナスタシア・モンルミエール……。そして、この夜が過ぎ去った後……本当の絶望が始まるのだ………」
そんな声が、背後から聞こえた。
慌てて後ろを振り向くと……そこには私の生徒達の姿しかない……。
今のは……いったい……??
私の疑問は、熱狂する会場にかき消されていくのであった……。
◆
死ぬ!!マジで死ぬ!!!
まさかアンコールがあるなんて夢にも思ってなかった!!!
息も絶え絶えになりながら、『ミラージュ・ハート』を歌い切った俺なのだが……その後悪魔の様に会場から叫ばれるアンコールの声に、舞台裏で気絶しそうになっていた。
でも……ここで俺は無理!!なんて言える筈ないし、俺は……今日ここで骨を埋める覚悟をせにゃならんみたいだ……!!
「コ……コウ!?あ……あんた大丈夫なの!?」
「だいじょばないよ……クルミ……」
「コウちゃん!?無理しちゃダメ……だよ……?」
「ふふ……。ありがとうアイスさん……。でも……やるよ……私……」
「ええ!?だ……大丈夫!!?」
クルミやアイス、ラビル達が心配の声を上げる中……俺の肩をカノンさんが叩く!!
「コウ……覚悟を決めたのなら……ぶっ倒れるまでやりきってみせなさい!!骨は拾ってあげる!!!」
「……はい!!!」
こうして皆の心配を背に、俺はステージに飛び出して……今、心の中で血反吐を吐いてるのである。
足がガクガクしてるし、腕もプルプルしてる。
ついでに喉が潰れそうになってるし、今にもぶっ倒れそうだけど……俺達のライブを見て、感動してくれたのかボロボロと涙を流しているお爺さんとかいるし……そんな人たちの為にも!!俺は最後まで歌い切ってみせるよ!!
今こそ唸れ!!無敵のアイドルモード!!!!
ってなわけで、俺は限界を超えて今パフォーマンスをしているのである!!
こうして刺激的で感動的な一日は過ぎて行く。
休日を終えるとまた、何時もと同じ学園生活が始まるのだろう。……いつもと同じ様にいけるかな??
そう思っていた俺なのだが、当然このまま穏やかに学園生活を送る事など出来ないのだ。
……まぁ今にもぶっ倒れそうだしな!!
◆
……さて……では一旦、学園生活に幕を下ろそう。
波乱万丈だったが……友達も増え、楽しかった物語にカーテンコールだ。
こうして……舞台は陰謀と憎悪と……欲望が渦巻く王都を巻き込んだ事件……学園編・後編へと話が進んで行くのである……。