最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
「お父様!!教えてください!!私は一体……なんで襲われてるんですか!?アナスタシア・モンルミエールって……一体誰なんですか!?」
無事我が家に帰る事が出来た後、私はもう我慢ならんと父を問い詰めた。
流石に三度も狙われて、しかもその全てでアナスタシア・モンルミエールという名前が出てくれば……流石の私でもおかしいと気づく。
しかもモンルミエールって……よくよく考えれば、先代国王と同じファミリーネームじゃないか!!
最近見るおかしな夢も……もしかしたら……いえ!絶対に関係しているだろうし、私が一体何者なのか、もう私自身何が何やら分からなくなってしまっていた!
なので事情を知っていそうな父を問いただしているのだが……そんな私に、父は困った顔をして答えた。
「ど……どうしたんだ?シスタ。一体何を……」
「今回私を襲ってきたのは聖王騎士団でした!!間違いありません!!なんで私が聖王騎士に狙われるんですか!?私は……私は一体誰なんですか!!?」
「シ……シスタ……」
尚もはぐらかそうとする父を、更に問い詰めると……父は目を逸らして沈黙してしまった。
やはり父は何か知っている!!
そう思い更に問い詰めようとして……。
「その辺にしてあげなよ?シスタちゃん?……流石にセルジュ君が可哀そうだよ?」
家の奥から一人の美少女が現れた。
少し紫がかった青いロングヘアーを靡かせた美少女は、私が今まで見てきた美少女の中でも飛び切りの容姿をしていた。……これは……コウちゃんにも勝るとも劣らない程の美少女……!!
一体誰だろうか?年齢はコウちゃん達と左程変わらなさそうだが……もしかして学園の生徒なのだろうか?
「パ……パイモン様……」
「パイモン……?お父様、お知り合いなの……?」
突然現れた美少女に、私は目を白黒とさせるが……そんな私を無視して、父はパイモンと呼ばれた少女に……跪いたのだ!!
え!!?な……なにしてるの!!?
「ふふ。いい子だね……セルジュ君。おいで?よしよし……してあげよう」
「ああ……パイモンさまぁ……」
そんな父を見て少女は満足そうに笑うと、父に手招きする。
すると父は、嬉しそうに少女に近寄り……また跪いて、頭を差し出したのだ!!!
そんな父を、少女は慈愛の笑みを浮かべながら撫でると、父は今まで見た事も無い程嬉しそうにうっとりとした顔でなすが儘になっている。
……まさかこんな所で、父のこんな顔を見る羽目になるとは思わなかった……。
てゆうかこれって浮気じゃない?……母は?お母様は今何処にいるのだろうか?よくもまぁ自宅で堂々と、しかも娘の前で浮気まがいな事ができるよ!!このおっさん!!!
「あはは。そんな顔しないで?シスタちゃん。セルジュ君は君の為に色々黙って、君を守ってくれてたんだよ?」
「わ……私の為?ていうか……貴女は……」
私は訝しげにパイモンと呼ばれた少女に問いかける。
すると少女は笑みを深くして答えた。
「ふふ。僕の名前はパイモン。この国で宰相を務めているものさ?……よろしくね?シスタちゃん」
さ……宰相!!?こ……こんな美少女が!!?
「あ!あとどうでもいい事だけど……僕は一応男だよ?」
お……おとこぉ!!?男の娘って事!!?こ……こんな可愛い子が女の子のはずがない!!!??
「あ……ええ??ええええ!?」
「っぷ!……あはは!!いい反応するね?シスタちゃん!ふふふ!あははは!」
パイモンは楽しそうにお腹を抱えて笑う。
しかし……私はそれ所では無かった。
頭の中が混乱しっぱなしだ!!もう何が何だかさっぱり分からない!!
なんか……いきなり非現実に叩き込まれたかの様な可笑しな状況に、私の頭は今にもパンクしそうだった!!
「ふふふ。……さて!シスタちゃんも色々知りたいだろうし、正直もうこれ以上セルジュ君も隠すのは無理だろうし……ここいらでネタばらしといこうか?」
「あ……え……と、教えて下さるんですか??……私がなんで……狙われてるのか……」
「ふふ。敬語は別にいいよ?これから君とは長い付き合いになるだろうしね?そして……もちろん教えるとも!とはいえ……ここではなんだし、場所を移そうか?それに……お邪魔蟲も現れそうだしね?」
「お……お邪魔蟲……?」
パイモンのその言葉と共に、突然リビングの方で窓ガラスが割れる、けたたましい音が家中に響く!!
な……なに!?ま……まさか私を狙ってる人が、この家まで襲いに来たの!!?
「おやおや。何ともまぁ大胆な……。ここは一応フォストニア学園の学園長の家だというのに……なりふり構わないというか、暴走してるというか……」
こんな状況なのに、パイモンは呑気にそんな事を言ってのけるが……今そんな状況じゃ無くない!!?
私は混乱する頭を何とか動かし、どうしようかと思案するが……もう遅かった。
だって私を狙った暴漢が、もうすぐそこまで来ていたからだ。
「アナスタシア・モンルミエール……最早……最早逃がす訳にはいかない!!!もう邪魔も入らせない!!!ここで貴様をぉ!!始末する!!!」
そいつは二度目の襲撃の時、私を襲った黒騎士だった。
だが、それに気づいた時にはもう……黒騎士は私の目の前まで辿りついていて、その手に持った漆黒の剣を振り上げ………!
「シスタァ!!!」
「アナスタシア様!!!」
私を庇うよに私の前に出た、父と母を切り裂いたのだ………。
「…………………え?」
切り裂かれた母は、その場で二つになって……そのまま動かなくなった。
そして父もバッサリと斬られてしまった為……大量の血をまき散らしながらその場で倒れる。
「あ……ああ……」
「っち!!!邪魔を!!!だが!!モンルミエールを庇った者は同罪だ!!!貴様ら纏めて「食え、ベバル、アバラム」あえ??」
目の前の黒騎士が、突如現れた大きな狼の様な魔物達に一瞬で食い荒らされるが……私は今それ所ではなかった。
見ただけでもう無理と分かる母から目を背けて……少しだけ息のある父の手を取る。
「おとう……さま……!し……しっかり……今……聖女教会に……!」
連れて行ってどうするというのだろか?
父だってもう長くないと、本能が私に告げている。……でも……。
「あ……ぜ……ぜったいに……助かり……ますから……だから……」
「……もういい……いいのです……アナスタシア……様……。私はもう……助かりません……」
アナスタシアって……!!もう助からないって……!!何を言って……!!
「申し訳ありません……。もう気付いているかもしれません……が、私は……私達は本当の……両親では……無いのです……。貴女の本当の……名前は……アナスタシア……モンルミエール。……逆賊に殺された……この国の……真の……王族の……子孫なの……です……」
「おとう……さま……」
「やつら……は……神に見いだされた……あなた達を……恨み……妬み……そして……その力を奪う為に……貴女の一族を……殺して……しまった……!……アナスタ……シア……様……。貴女は……我が国の……最後の……希望……なの……です……」
「もういい!!もういいから……国とか、そんなのどうでもいいから!!おとうさま!!」
もう父の目には光がともっていない。
最早私を見ているのか、それとも私を通して何かを見ているのか……それすら分からない。
「私はシスタ!!シスタ・フランソワ!!お父様とお母さまの……娘です!!!だから……!!!」
「申し訳……ありません……最後まで……貴女様の……お傍に……アナスタシア……モンルミエール……様……」
「!!!!」
それが父の最後の言葉になった。
最後に父は私の手を強く握り……そして動かなくなったのだ。
「あ……ああ……ああああああ……ああああああああ!!!!」
なんで!!?なんで父と母が死ななきゃいけないの!!?どうして!!!?
「……うーーーん。これぐらいの絶望じゃまだ足りないかぁ……。もうちょっとだと思うんだけどなぁ?……ま、いっか!……さ!シスタちゃん、一緒にって……あらら、気絶しちゃった?」
最後にそんなパイモンの声を耳にして……私はその場で意識を失った。
……これが悪い夢であってくれと願いながら………。