最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第188話

「まず最初に謝らせて欲しい。君にあんな事をして……本当に申し訳なかった……と」

 

 あの後、授業の合間の休み時間に、ティファと一緒にルーカスに呼び出されて……ルーカスの開口一番がそれだった。

 

「私は気にしてません。それより貴方は私よりひどい目に合わせた人が沢山いるんじゃないですか?……謝るならその人たちにして下さい」

「……はは。……耳が痛いね。……全くその通り……だね……」

 

 俺の言葉に、ルーカスは苦笑いしながら答える。

 

 うーーーん。

 何かルーカス元気ないな。

 

 何と言うか……俺って偉い!!俺って最高!!みたいな雰囲気が鳴りを潜め、完全に意気消沈してるというか……。

 恐らく何かがきっかけで、今までの行いを反省しているのだろうけど……反省してるにしては、教室に入って来た時ふんぞり返ってたし、正直よく解らん。

 

 ていうか話ってそれだけ?じゃ、帰っていいかな??

 

 よくよく考えたら、阿呆面下げて普通に学園に登校してたけど……俺にそんな暇無いのかもしれない。

 今までの疲れのせいか、頭が上手く回って無かったけど(いつも回って無いのはナイショ)……よく考えたら、マジでシスタさんって今やばい状態なんじゃない!?

 

 取り合えず黒騎士に変身して、学園は分身に任せて……すぐにでも聖王様(仮)を訪ねた方が良かったかも!!?

 

 ああでも真昼間から行ったらやばいかなぁ……。

 昨日の事もあるし、何より一応黒騎士は犯罪者だし……!!

 

「……ルーカス君。私達に話ってなんですか?コウに改めて謝る為に呼び出したんですか?」

 

 俺が一人で悶々と考え込んでいると、ティファがルーカスに向かって問いかける。……心なしか言葉にちょっと棘がある気がするけど。

 

「……いや……違う……。……本当は君に……君たちにこの事を話すかどうか、迷ったんだけど……。話しておこうと思う」

「……?」

 

 ルーカスはそう言うと、目を伏せ……ポツリポツリと話し始めた。

 

「黒騎士にやられた傷が回復した後……俺は自宅療養をしていたんだけど、今朝……とんでもない事を聞いたんだ。……君たちは寮で生活をしているから知らなかったかもしれないけど……昨晩、とある地域に大規模な避難勧告が出てたんだ」

「避難……勧告……?」

「うん。何でもそこで聖騎士団達が……世紀の大犯罪者、黒騎士を逮捕、または……仕留める為に、その作戦を行う近隣の住民たちを避難させてたんだ」

 

 ああ!!それで昨日市街地で戦ったのに、全然人が居なかったのか!!納得!!

 

「そんな……事が……!!」

 

 ティファが驚愕に声を上げる。

 そんなティファに頷いて、ルーカスは話を進めた。

 

「結局聖王騎士団は全滅……黒騎士は仕留めそこなったみたいなんだけど……」

「ぜん……めつ!!?せ……聖王騎士団……が!?」

「はは……。驚くのも無理はないよね?……でも、それを聞いたカーンは納得してたけど……まぁ、あいつも黒騎士にやられた口だから、黒騎士の恐ろしさはよく解ってたんだと思う。……あ!!ティファ……その事も……すまなかった……。俺は兄を……カーンを止める事が出来なかった……」

「………はぁ……。それは黒騎士が助けてくれたので大丈夫です。……で?その聖王騎士団の全滅が……私達に何か関係があるんですか?」

 

 まぁティファの言葉ももっともである。

 だってそんな情報ティファや俺が聞いても……なんも意味なくないか?

 

「いや……それだけじゃない。問題は……その後、黒騎士が……シスタ先生の自宅に押し入って………シスタさんの両親を惨殺した事なんだ……!!」

「は!!?な……え……!!?」

「この情報はまだオフレコで広まって無いから知ってる人は少ないけど……。シスタさんのご両親は間違いなく殺されている。そして、さっきも言ったけど犯人は黒騎士らしい」

「そ……んな!!彼が……私を助けてくれた彼がそんな事するなんて思えません!!」

 

 まぁ実際俺が犯人じゃ無いしな!!!

 でもまぁあの現場を警備隊に見られちゃったし、何も弁解無しに(弁解しても無駄だけど)逃げちゃったから……どう見てもあの場じゃ犯人は黒騎士だと思うよね!!しゃーない!!

 

 てゆーかマジでルーカスはそんな事俺たちに言ってどーするんだ!?

 俺やティファが聞いたところで、戸惑うだけでどうしようもない情報だろ!!

 

「そしてシスタ先生は……今、パイモン宰相が保護しているらしいんだ」

「パイモン……宰相……?な……なんで宰相が!?」

 

 お??ここで初めて聞く名前が出て来たな。……そもそも宰相ってなんだろ?

 

「なんで宰相ほどの人間がシスタ先生を匿ったのかは分からないが……そのパイモン宰相、国王陛下には大層頼られて……頼られ過ぎてるぐらいの人なんだけど、父によるとろくな人間じゃないらしい……。まぁ父も人の事言えるような人間じゃないけどな……」

「………本当にそうですね。私、ルーカス君のお父様の事、未だに恨んでいますから……」

「はは……。まぁそうだろうね。……だからこそ、クズにはクズの匂いが分かると言うか……そういうのを見抜くのが得意なんだよ、父上はね。だから……シスタ先生を匿ってのも何か理由があると思うんだ。でも、これを警備隊に言っても何の意味も無い。だって相手は宰相だからね」

 

 なら尚更俺達に何をしろと??

 

「でも……コウちゃん……。そう、君なら別だろう?」

「は!?な……何でコウが!?確かにコウは元……というか今もでしょうが、アイドルで、今王都でも結構な有名人ですが……それでも一般人ですよ!?コウに何をしろって言うんですか!?貴方は!!」

 

 ルーカスの言葉にティファが食って掛かるが……本当にその通りである。

 

 っと、言いたい所だけど……もしかして、こいつ知ってんのかな?

 

「……もしかして、貴方は知ってるんですか?……私の事を……」

「……………すまない。この事は本当にたまたま知ったんだ。………俺が自宅で療養している時に……父たちが話しているのを聞いてたんだけど……。君は……白銀の(エンシェント)ドラゴン……なんだろう?」

「……白銀の(エンシェント)ドラゴン??」

 

 ティファが白銀の(エンシェント)ドラゴンの名前を聞いて首を傾げる。

 

 博識のティファが白銀の(エンシェント)ドラゴンの事を知らないって事は……本当にあんまり知れ渡ってないんだな!白銀の(エンシェント)ドラゴンって!!やっぱめっちゃマイナーな神じゃん!!

 

「白銀の(エンシェント)ドラゴンの存在は、王族や貴族……聖王協会や聖女教会関係者といった一部の人間しか知らないんだよ。まぁラヴァダイ王国の人間ならもっと知ってると思うけど……。ともかく、白銀の(エンシェント)ドラゴンってのは、この地上に留まって下さってる神の一柱なんだ」

「!!?こ……コウが……神様……なんですか……!!?」

 

 ティファがめっちゃ驚いて俺を凝視するが……そうなんですよー、一応神らしいんですよー。全然それっぽくないけどね!!っていうか、むしろ本当に神なのは俺の中にいるシェンなんですけどね!!

 

 ていうか、ここではぐらかしてもいいんだけど……話が進まないので一応同意しておく。

 

「ま……まぁ……一応??」

「なんでコウが自信なさげなんですか……?」

 

 ティファさん?敬え!!ってわけじゃないけど、その疑わしげな半目やめてもらっていいですかね?

 

「え……と、なんでルーカスさんのお父さんは、私が白銀の(エンシェント)ドラゴンって知ってたんですか?」

 

 ここは話をちょっとすり替えておくか!!

 って感じでルーカスに問うと……ルーカスはめっちゃ答えづらそうにして、ポツリと漏らした。

 

「き……君が……。クロス様の奴隷になった時に……その会場にいたらしいんだ……父は……」

「……………へぇ?」

「ど……どれい!!?」

 

 奴隷という言葉にティファが驚くが……ルーカスよ?お前の父親、後で絶対にぶっ飛ばすから覚悟しとけよ??

 あの時会場に居た連中は絶対に許さないって、心に決めてたんだからなぁ!!!

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