最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第190話 暴漢退治(ソフィア視点)

 コウやティファ達と、この国の宰相とやらに逢う為に王城に行くと……突然暴漢に襲われた。

 

 何故こいつらがいきなり私達を襲ったのかは定かでは無いが……こいつらの目的がコウならば、私は容赦しない。

 

「おおっとぉ!!……へぇ?君……やるねぇ……?こんな高度な魔法を使えるなんてっ!!さ!!」

 

 暴漢のリーダーの様な男が感心した様に私に言うが……正直どうでもいいので無視しておく。

 

 それにしても……ティファやアンナ達が邪魔だ。

 コウを傷つけないのは当然として、出来ればティファ達も傷つけたくないので、私は得意の魔法が使えないでいた。

 

 しょうがなく単純な風を起こす魔法で何とか対処しようとしているのだが……この雑魚、これを高度な魔法と勘違いするとは、どれだけ魔法に詳しくないんだ?

 

「ソフィ!ありがとう!!」

「っとに!!あんたって最初から思ってたけど、やたら強いわよね!!」

 

 男達に拘束されていたアンナやナーサ達が、吹き飛んでいった男達から離れて私の後ろへと隠れる。

 

 後はティファだけなのだが……ティファはルークス(?)に捕まれていて、私の魔法はそのルークス(?)によって阻まれたので、まだ解放されないでいた。

 

 さてどうしたものか……。

 

 そう思い眉をひそめていると、コウが私の腕をくいくいっと可愛らしく引いた。

 

「……コウ?」

「ソフィ。私達が彼らの目をくらますから……その隙に、ティファを助けられそう?」

「………分かった。やってみるよ」

 

 コウの言葉に私が頷くと、コウもコクリと頷いて……。

 

「お願い!!キーちゃん!!!」

「キーーーーー!!!」

 

 コウのバッグの中にいつもいる、キーちゃんを解き放った。

 キーちゃんは即座に煙幕を張り巡らせ、敵や私達の視界を塞ぐ。

 

「うわ!?なんだこれ!?」

「くっ!!またこれかい!!?」

 

 突然の煙幕に男達が驚きの声を上げるが、私はそれを無視して、ティファの元へと駆けた。

 

 私がさっきまで使っていた様な風の魔法だと、キーちゃんの煙幕まで一緒に吹き飛ばしてしまいかねない。だから私は掌の中に小さな魔力の玉を精製する。

 この小さな魔力の玉は中が空洞になっており、その中の空気(気体分子)を抜くことで空気の無い状態(真空状態)を作り出す。

 

 この魔力の玉を敵にぶつけると同時に破裂させるのが、私の接近戦においての戦闘技術だ。

 

「『破裂(バースト)』」

「!!!?」

 

 キーちゃんが煙幕を張る前に、予めルークス(?)とティファの位置は風魔法によって、マーキング済みなので、この煙幕の中どれだけ動こうとも私が彼らの位置を見誤る事は無い。

 

 不意打ち気味に私の魔法を食らったルークス(?)は、魔力の玉が弾ける衝撃波と、弾けた時に一緒に空気の無い状態(真空状態)を保っていた魔力の玉も割れるので、言うならばガラスが割れるかの様に飛び散った魔力の玉の残骸を全身に浴びて吹き飛んでいった。

 

 因みに、至近距離で放つと当然魔力の玉の残骸は私にも直撃するが……これは私の魔力なので、私に当たっても魔力が帰還するだけなのである。

 

 まぁこの魔法の一番楽な使い方は、相手の顔に魔力の玉を発生させて中の空気を抜くってのが一番なのだが……それやっちゃうと、相手は大体死ぬので流石にルークス(?)には使えなかった。……一応元(?)クラスメイトだからね。

 

「!??」

「ティファ、一緒に逃げるよ」

「そ……ソフィ!!は……はい!」

 

 私はティファの手を取って一緒に走り出す。

 コウ達の位置もマーキング済なので、私はこの煙幕の中足を緩めることなく走る事が出来る。

 

 コウはこの煙幕の中、キーちゃんの先導の元、既にアンナ達を率いて駆け出していた。

 

 恐らく私がティファを助けて合流出来ると信じての行動だろう。……さすがコウ!!私の愛しの伴侶!!正に阿吽の呼吸である!!もう結婚しよ??

 

 私はあまりのコウとの連携の良さに、気分が上昇して涎が垂れそうになるのを我慢しながら……コウ達を追って、ひたすら走るのであった……。

 

◆

 

「はひ……ふひ……かふ……あふ……」

「こ……コウ!?だ……大丈夫!!?」

「ちょっと!!なんでなんもされてないアンタが一番死にそうなのよ!?」

「キー……」

 

 取り合えず男達を巻き、コウ達と合流した時……コウは既に息も絶え絶えで、アンナに背を撫でられていた!!

 

「コウ!!大丈夫!!?」

 

 私も急いでコウに駆け寄り、両手を地面についてしまっているコウに駆け寄る。

 

「だ……だいじょ……ぶ。ありがと……」

 

 コウの息も少し整ってきたので、私は安堵の息をつく。

 そんな私達に向かって、ティファが深く頭を下げた。

 

「皆さん……。本当に……申し訳ありません……。ルーカス君を信じてしまった……私のせい……です……」

 

 そう言って私達に謝罪するティファに、アンナが慌てて声を上げる。

 

「何言ってるのティファ!!?ティファだって被害者でしょ!!?だいたい私達は勝手についていったんだから、自業自得でしょ!!?ね!?ソフィ!!」

「……さぁ?自業自得かは置いといて、別にティファが悪い訳じゃ無いでしょ?あの男……ルークス「ルーカスね?」……に騙されたのは、何もティファだけじゃないでしょ?それに……今それを悔やんでてもしょうがないよ。……これからどうするのかの方が、大切でしょ?」

 

 私がそう言うと、ティファは項垂れて……ポツリと言葉を漏らした。

 

「確かに……謝罪は後からでも出来ますね。……取り合えず、今は……学園に戻りましょうか?……それとも警備隊に保護してもらいますか?……流石に彼らも警備隊までは押し入って来れないでしょうし……」

 

 そう言ってティファが皆を見回すと、アンナ達もそれに頷く。

 

 まぁ私としては、コウと一緒ならどこでもいいので……別に学園に戻ろうが、警備隊に行こうがどっちでもいいのだ。

 

 しかしそんなティファの言葉に、息を整えたコウが口を開いた。

 

「……ふう……。そうだね……。ティファ達は……警備隊に行って保護してもらったほうがいいかもだけど……」

「……含みのある言い方をしますね?……ではコウはどうするんですか?」

「私は……このまま聖王協会に行くよ。ちょうど聖王様にも用があったし……丁度いいかなって」

 

 そのコウの言葉に、ティファは目を見開いてコウの肩を掴んだ。

 

「聖王協会!!?……聖王騎士協会に行くって言うんですか!?馬鹿言わないで下さい!!聖王騎士にはあの男……カーンも所属しているんですよ!?今そんな所に行ったら……奴らにとって好都合じゃないですか!!!」

 

 両手でコウの肩を掴んで揺らすティファだが……コウはそんなティファに、優しい笑みを作って答えた。

 

「うん。そうかも……。だから……私とキーちゃんだけで行く「私も行く」……と、ソフィで行くから、ティファ達は警備隊に行って?まぁその前に頼りになる(?)大人も連れて行くつもりだから……私達は大丈夫だよ!」

 

 そう言って微笑むコウをティファは少しの間凝視して………大きくため息をついた。

 

「はぁ……。ここまで来てそれに、ハイ分かりましたって言うと思ってるんですか?」

「ティファ……」

「死なば諸共です。ここまで来たら、とことん付き合います!……そもそも今回は私のせいでもありますしね。……だから……私もコウ達について「私も行くよ!!」……アンナ……」

 

 ティファの言葉を遮るようにアンナ達も声を上げる。

 

「私もとことん付き合うよ!!」

「はぁ……分かってるわよ!つーかマジでコウとソフィだけとか、めっちゃ心配だし、あたし達も行くわよ!……ね?ライラ!」

「ええ!?わ……私もぉ!?」

 

 約一名乗り気じゃないのもいるが……皆の心は決まったようだ。

 

「よーーし!!じゃあ皆で、今度こそシスタ先生を助ける為に!!聖王騎士協会へ~~~レッツゴーだよ!!」

 

 勢いよく拳を振り上げるアンナ。

 その美しい友情は素直に感心するが……正直この子達、邪魔じゃないかな?……足手まとい的な意味で。

 

 なんて身も蓋もない事を考えながら、私はひとつため息をつくのであった……。

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