最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第193話 断罪と謝罪(聖王ヨハネ視点&コウ視点)

 白銀の(エンシェント)ドラゴン様からの断罪を受け私は……不謹慎ながら、内心笑ってしまっていた。

 

 これは決して白銀の(エンシェント)ドラゴン様を馬鹿にした訳では無い。

 ただ……白銀の(エンシェント)ドラゴン様……コウ様が余りにも普通の感性を持ったお方だったからだ。

 

 私は神というのはどこか浮世絵離れしており、我々人間とは一線を画す感性を持った方々だと思っていた。

 それはあの邪神も同様で、邪神は人間の思考や行動を理解する事は出来るが……人の心、気持ちまでは理解する事は出来なかったのだ。

 

 そこを利用して私は邪神を封じる事が出来た訳だが……今、目の前で私達を断罪されたコウ様はどうだ?

 

 こういう言い方をしたら非常に失礼だが…………余りにも美しい見た目を除けば、どこか親しみやすい、何処にでもいる学生の様にも見える。

 

 だからこそ……彼女の言葉は、私の胸を抉った。

 コウ様の訴えは、正に市民の……何も知らない一般人から見た、我々を如実に表していたからだ。

 

『私がこの街に来て見た貴方達聖王騎士協会は、やってる事が只の犯罪者集団なんですよ!!!何がしたいんですか!!!?』

 

 コウ様が最後に言われたこの言葉こそ、今の我々聖王騎士協会を表しているではないか……。

 

「あ……貴女の言われる事は最もだ……!!確かに我々がやっている事は、お世辞にも正しいとは言えないだろう!!しかし!!しかし、白銀の(エンシェント)ドラゴン様!!それでも我々は……邪神を完全に滅さなければいけないんだ!!でなければ、私達がやってきた事は……!!!」

 

 レグロスが震えながら声を絞り出す。

 レグロスにとっても、コウ様の言われていることは百も承知だろう。

 

「私達は例え蔑まされようとも!!罵倒の雨にさらされようとも!!やり切らなければならないのです!!貴女は正しい!!私達が間違っている!!!それは解っている!!しかし、例えそう言われようとも!!!邪神をうち滅ぼす為なら、どんな罵倒雑言も受け入れましょう!!成し遂げた後に地獄にも堕ちましょう!!!ですが白銀の(エンシェント)ドラゴン様!!!我々はもう止まれないのです!!!」

 

 レグロスは血を吐くようにコウ様に叫ぶ。

 

 そのレグロスの魂の籠った叫びを聞いてコウ様は………

 

 

 

 

 

 

 

「だから邪神って何なんですかぁ!!!」

 

 目尻に涙すら溜めて、そう叫ばれた。

 

 …………………は??

 

「は?」

 

 コウ様の言葉に呆然とする私と同じように、レグロスも口を開いて呆然としてしまう。

 そんな私達の反応に、コウ様は更に畳みかける様に言われた。

 

「昨日黒騎士に言われたんじゃなかったんですか!?今日、私が来るからその時邪神やら何やらの説明してくれって!!」

「コウは黒騎士と知り合いなんですか!!?」

「……その話は今度ね!!!」

 

 コウ様の言葉に隣の学生が驚いた反応をするがコウ様はそれを封殺する。

 

「私が今日ここにきたのは、色々お聞きしたい事があるからって、さっき言いましたよね!!?そっちが勝手に断罪してくれてって頼んできた(?)から怒ったら、なんでそっちの騎士さんに私が怒られなきゃいけないんですか!!?あと!!!シスタさんを狙うのはその邪神ってのが絡んでるって何となく解りましたけど、末端の騎士の素行の悪さの事は!!!?」

「…………………その件に関しては、誠に申し訳ありません………。私の教育不足です………」

 

 コウ様の怒りに、レグロスは項垂れて、素直に謝罪するのであった………。

 

◆

 

 怒ってくれって頼まれたから怒ったら、なんか騎士の人に怒鳴られたんですけど!!何それ理不尽過ぎない!!?

 

 んで、変なテンションの俺は負けじと騎士の人を責めた訳なのだが……俺の言葉に、騎士の人が項垂れて謝罪してきたので、俺は少し冷静さを取り戻していた。

 

 よくよく考えたら、こんな小娘に怒られて頭下げなきゃいけないって……大人からしたら結構プライド傷つくものなんじゃないかな?……怒ってくれって頼んできたのって、騎士の人じゃ無くて、聖王様の方だしね。……あれ?頼まれてはなかったっけ?

 

「……怒鳴ってしまってごめんなさい。とにかく私達は、なんでシスタさんが狙われているのか……その事を聖王様にお聞きしにきたんです……」

 

 そう言って俺が頭を下げると、聖王様は少しキョトンとして……優しい笑みを作って言った。

 

「いえいえ。悪いのは全て私達です。コウ様が頭を下げられることはありませんよ?……なぁ?レグロスよ」

「その通りです……。顔を上げて下さい白銀の(エンシェント)ドラゴン様。……私こそ申し訳ありません。私は邪神を討伐する事に拘り過ぎるあまり、目先の事……我が騎士団の事を疎かにしていたのかもしれません」

 

 騎士さんはそう言うと、立ち上がりティファに頭を下げた。

 

「お嬢さん。本当に申し訳ない。……偏に私の教育不足故、君には迷惑をかけた……」

「!!?いえ!!あれは聖騎士云々以前に完全にカーンが悪いんです!!貴方が悪い訳ではありません!!」

「そう言ってくれるのはありがたいが、私も彼の素行の悪さは把握はしていた。……しかし相手がサタノニア公爵家だという事を理由に、後回しにしていたのだ……。……ふっ。白銀の(エンシェント)ドラゴン様の言う通りだな……。私は本当に目先の事を疎かにしていた……」

 

 ……ん?俺そんな事言った??そこまでは言って無くない??

 

「邪神討伐は必ず果たさねばならない事、しかし……そのせいで王都の平和が揺らぐのならば、結局それは邪神の思い通り……。奴の望む、人々が不幸に苦しむ世界を作り出す事に変わりはない……」

「そうだな……レグロスよ……。私達は結局、邪神の掌で踊らされていたのかもしれない。私も自らの罪の重さに苦悩するばかりで、結局何一つ成そうとしていなかった……」

 

 何か聖王様と騎士さんが、良い感じに自分達で話を纏め始めちゃった気がする。

 

「だからこそ、白銀の(エンシェント)ドラゴン様……コウ様は、私達に仰って下さったのですね?今、客観的に見て我々はどう映るか、学生として生活されている貴女にとって、我々聖王騎士協会とはどういった存在に見えるのか……。それを教えて下さったのだ」

「……ふっ。本当に自分が情けない……。白銀の(エンシェント)ドラゴン様が一般の学生として生活されている意味を理解出来なったとは……」

 

 ……なぁにこれ。なんかいい感じに二人が納得してるのはいいけど、俺そんな深く考えて無いですよ?

 

 ていうか、聖王様達の話を聞いて、ティファやアンナ達が「そんな……コウは……一体!?」とか「コウって……そんなに凄い人だったんだ!?」とか、驚いてくれちゃってますけど……勝手に凄い人にされても困るんだけど??

 ……まぁ一応ルーカスが、俺の事白銀の(エンシェント)ドラゴンって言ってたけど、未だに君達ちゃんと信じてなかったんだね。

 

「本日は本当にお越しいただいて……ありがとうございました。貴女様のお陰で、まだこの老いぼれにも、やるべきことが……ありそうです……!」

「え?……あの……」

 

 やっぱり聖王様が良い感じに纏めに入ってる気がする……!!

 

「我々聖王騎士は邪神討伐を諦めた訳ではありません……!しかし……我々が本当にやるべき事は王都を守る……それは、人々の暮らしを守るという事でした……。白銀の(エンシェント)ドラゴン様、私に初心を思い出させてくれて、ありがとうございます……!」

「はえ?……そ……そうですか?」

 

 騎士の人も何処かスッキリした顔してる!!

 

 やばいやばいこれって!!

 

「では……これからどうされますかな?コウ様さえよろしければ、学園までお送りいたしますが……それとも……」

 

「邪神の!!説明を!!!して下さい!!!!」

 

 勝手に話を終わらせようとするなぁ!!!

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