最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
あーー!もう!!
ほんっとうにめんどくさい!!
僕は目の前で、絶望しない宣言をしたシスタちゃんを見て……本当に頭を悩ませていた。
何でこんな事になっちゃったんだろ?
◆
僕の名前はパイモン。
何を隠そう僕は魔族だ。そして……魔王様直属の配下九天王でもある。
でも今の僕は完全に人間に転生している。
これは同じ九天王であるアスモデウスさんが開発した秘術で、僕達魔族を完全に人間へと転生させることが出来る魔術だ。
これにより人間達は、僕が魔族である事を見抜くことが出来ないのだ。
だから聖女教会のシスター達はもちろんの事、王城にいる魔術師達や、あの聖王や聖王騎士達の連中にだって、僕が魔族だとバレてはいない。
しかもこの秘術の凄い所は、例え人間に転生しても魔族の時と何ら変わりない魔力と能力を持ったまま、人間へと転生出来るっていう優れものなのだ。アスモデウスさん凄すぎ!!流石は魔王様の右腕!!
……で、なーんでこんな事までしてわざわざこの国に入りこんだのかと言うと、まぁ偏に邪神アズライールの為である。
なんでも邪神アズライールは、かつて神だったのもあって……それはそれは凄い力を持っているらしい。
だからそんな邪神アズライールには、是非とも魔王軍に参加して欲しい訳なのである。
僕が派遣された当初は、まぁいずれ邪神が復活して、その時にスカウトすればいっかー、ぐらいの軽い感じで派遣された訳だけど……正直そうも言ってられない状況になってきた。
それは何故かと言うと……まぁ偏にバエルの敗北のせいだ。
もう何度か説明されてると思うから端折るけど(電波)、とにかくバエルは世界最強だった。
そんなバエルが敗北しちゃったせいで……僕らは急遽、バエルに代わる戦力を確保しなくちゃいけなくなっちゃった訳だ!!
そして……戦力として期待できる、邪神アズライールに白羽の矢が立った訳だ。
僕としてはもっとじっくりと、この国を腐らせて……邪神アズライールが気に入りそうな環境を整えてから彼を復活させたかったのだが……そうも言ってらんなくなっちゃった。
もう!!
せっかく人が頑張って、この国でマフィアやら何やらで裏から元気にやってもらって……この王都で、聖王騎士達を暴走させたりして……ちょっとずついい感じに、人々から笑顔とか希望とか奪っていく!!って感じにしたかったのにぃ!!
てゆーかそう考えると、セントラリアでアイドルとか育成してるベリアルってちょー邪魔じゃない?
アイドルみたいな夢と希望をもたらす存在が、今一番この国に不必要だと思うんだけど……何やってるの?あのおっさん。
まぁ今はもう魔王軍すら抜けちゃったけど……碌な事しないなぁ……。ああいうのを老害って言うんだろうか?
僕は人の潜在意識を刺激して、操る事が出来る力を持っている。
だから……国王みたいな、見目麗しいものが大好きな下種とかを僕の思う様に操ることや、シスタちゃんのお父さんのように、ちょっとした人に言えない様な趣味(R18)を持った人とかの潜在意識を刺激してやれば……まぁ僕の望む様に意識を誘導する事が出来るのだ。
正直、魅了を使えるって言う稀有な能力を持った奴より数段劣る能力だけど……それでも結構使い勝手の良い力で、僕の容姿と相まって大抵の奴らは言う事聞いてくれる様になるし、それが駄目でも人の迷いとか悩みとかを刺激してやれば……あら不思議!その人は本心のつもりだろうけど、いつの間にか僕のいい様に意識が誘導されてるのだ!!すごくない??
この力と、類まれなる僕の容姿(自画自賛)を持って、僕はこの国であっという間に宰相まで登りつめちゃったのだ!!
んで、話は戻るけど、そうやってじっくりやってた訳なんだけど、ともかく急ピッチで邪神復活をさせなきゃいけなくなっちゃったので、僕としては色々粗の目立つ作戦を強行する事になっちゃった。
前々から色んな人に聞き込み(と言う名の洗脳?)して、モンルミエールの血筋を探してた訳なんだけど、その最後の生き残りに……シスタ・フランソワ……と、名乗っている本名アナスタシア・モンルミエールに邪神が宿っていた。
何でそんな事分かったかというと、たまたま王城に仕事で来ていたシスタちゃんのお父さん、セルジュ・フランソワ君から話を聞いたからだ。
さっきも言ったけど、セルジュ君はちょっと人に言えない趣味……まぁマジで言葉にするのは憚られる趣味を持ってて(SM的な)それをちょっと刺激してやれば、僕の虜になった訳なんだけど、まぁペラペラと大切な事を全部話してくれた。
セルジュ君の家は代々モンルミエールに仕えていて、聖王騎士団の追撃から唯一逃れて生き延びたアナスタシアを匿って、自らの娘……シスタとして育てていたそうだ。
そしてそのシスタちゃんには神が宿っているのは間違いない……と、教えてくれた訳だ。なぜなら彼女こそ、かつての王クライヴ・モンルミエール直々に神の魂を分けられるのを、セルジュ君のお父さんが直に見たらしい。
つまり、聖王であるヨハネ君は、自分が封印に失敗してモンルミエール一族に邪神の魂が宿ったと思ってる様だけど……実際は、ヨハネ君が邪神を封印する前から邪神は魂の一部を分けてたみたいだ。……まぁ僕としてはどっちでもいいけど。
そして邪神復活のキーワードは……やはり絶望。
シスタちゃんがこの世のすべてに絶望した時、その負のエネルギーを熱源として邪神は復活するらしい。そしてその時、神器に封じられていた魂もそれに呼応して……封印から解放され、邪神は完全復活する!!って訳だ。
セルジュ君としては、娘として育ててきたシスタちゃんを深い絶望に堕とすなんて事は出来ないと言ってたけど、そこはちゃんと絶望に墜としてくんないと邪神が復活しない。
てなわけで、僕は頑張ってシスタちゃんに絶望してもらう為に色々裏で手を回した訳なんだけど……これがなんか全然上手くいかない!!
まずセルジュ君に頼んで、シスタちゃんを田舎からこっちに戻ってくる様に頼んだ。
んで、シスタちゃんが命を狙われれば、殺される直前の絶望で邪神が復活するかな??なんて思って聖王騎士のレグロス君に、モンルミエールの生き残りがいるよーって教えてあげてシスタちゃんの命を狙って貰ったんだけど……なんかいきなり失敗して、シスタちゃんの命は助かった!!
それだけならまだリカバリー出来そうだったんだけど……なんとシスタちゃんを助けたのが、
ええ!!?そんな偶然ある!!?マジでそういうの止めて欲しいんですけど!!!
僕は急いで国王様や聖王様に頼んで……
阿保なの!!?あいつ勇者に守って貰わなくていいの!!?
でもだからと言って、これ幸いと
だって……
あのバエルをも退けた、マジで訳わかんない最強生物………黒騎士が………。