最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第197話 やばい奴ら(パイモン視点)

 黒騎士……。

 今僕達魔王軍の中で、その名を知らぬものはいないもっともホットでバッドな存在……。

 誰もが勝てないであろうと思っていたバエルを打ち倒した、正に世界最強の怪物……。

 

 んで、アスモデウスさんが言うには、黒騎士は恐らく、神々が白銀の(エンシェント)ドラゴンに授けた最強の兵器なんだろう……って話だけど、まーじでどうにかして欲しい存在でもある。

 

 僕は一応九天王なので、戦闘もこなす事はできるけど……じゃ、お前黒騎士の相手して?って言われたら、即寝返って黒騎士の足を舐める覚悟ぐらいはある。

 だってぇ、黒騎士って間違いなく魔王様より強いっしょ?勝てる訳……ていうか、勝負になる訳が無い。実際僕よりちょっと強かったヴェネアちゃんが瞬殺されちゃったらしいし、僕も結果は同じですよね?

 

 そんな黒騎士に守られてるんなら、白銀の(エンシェント)ドラゴンも勇者の護衛なんて要らないんだろうけど……てゆーか勇者の存在理由ある??もう黒騎士だけでいいんじゃね??

 勇者も白銀の(エンシェント)ドラゴンが神器を授けて選ばれた存在だろうけど、多分もう白銀の(エンシェント)ドラゴン的に人間をあんま信用してないのかもしれない。

 だって先代白銀の(エンシェント)ドラゴンが殺された時、勇者は居なかった訳だし、役に立たないと思ってるのかも……。

 

 まぁそれは置いといて、今の白銀の(エンシェント)ドラゴンはマジで訳の分かんない存在だ。

 

 だってセントラリアでアイドルやってたかと思えば、今度は剣の勇者の奴隷になって………その後ちょっと何処に行ったか分からなかったけど、今度は王都に来て学生してる。

 ……てゆーか奴隷って……。それ聞いた時、流石の僕もドン引きしたよ……。人間って……何考えてるか分かんない……って。よくもまぁ神を奴隷にしようだなんて思うよね?流石の魔族でもそこまでしないよ……。

 

 ともかく……僕としてはそんなわけの分からない白銀の(エンシェント)ドラゴンも、ましてや黒騎士も相手なんてしたく無いのだ。

 魔王様としては白銀の(エンシェント)ドラゴンはさっさとうち滅ぼしてしまいたい様だけど……正直言って、今の魔王軍にそんな事出来るだけの戦力の余力なんて無い。

 だって勇者だけならともかく、黒騎士までいるしね!!普通に無理!!

 

 なので邪神を復活させて、戦力増強を図りたいのだ!!

 ……復活した邪神って、黒騎士に勝てんのかな??てゆーか邪神ってバエルより強いのかな??……もしバエル以下なら、復活しても……普通に黒騎士に負けちゃわない??

 

 ……でもでも!黒騎士だってバエルと戦って無傷だなんて思えないんだよね!!

 もしかしたら……バエルとの戦闘の傷で、結構弱体化してるかもだし、そしたら完全復活した邪神なら勝てるかも!!?……勝てる……よね……??

 

 ……まぁともかく!!ネガティブな妄想は止めにして、さっさと邪神復活させたいんだけど……ここで困ったことになっちゃった。

 

 なんと白銀の(エンシェント)ドラゴンだけを守ってると思ってた黒騎士が、聖王騎士達からシスタちゃんを助けたのだ!!なんで!?

 

 でもそれだけじゃない。

 仕事でくたくたになって、心身ともに疲労してる所を命まで狙われて……って感じで心を削りたかったのに、仕事で疲れてたシスタちゃんを……白銀の(エンシェント)ドラゴンがまたアイドルやって癒しちゃったのだ!!なにやってんのあのドラゴン!!?マジで僕達の邪魔しかしないな!!?

 

 お陰でシスタちゃんの心はだいぶ回復しちゃって、目の前で両親殺されたっていうのに……絶望まではしなかった!!……まぁ元々シスタちゃんの心が強かったってのもあったんだろうけど……。

 

 この様子だと、一応保険としてルーカス君達に頼んでた、シスタちゃんと仲の良い生徒を連れてきてもらって、シスタちゃんの目の前で殺して……って計画も、多分意味無いんだろうなぁ……。

 しょーじきルーカス君が誰を連れてくるのかは分からないけど………やっぱ意味なかったかなぁ……。

 

 てゆーか、こういった心の強い子相手だと、僕の能力も殆ど意味をなさないので、シスタちゃんを僕の能力で操る事すら出来ない。……つまり詰みである。マジで困った。

 

 こうなったら……保険の為に取っておいた計画を実行するしか無いのかなぁ?

 あれは最悪邪神が弱体化して復活しちゃいそうだから、出来れば最終手段にしたかったんだけど……そうも言ってられないかも。

 

 なんて思いつつ、取り合えずルーカス君が誰を連れてくるのか待っているのだが……ルーカス君達遅すぎない?

 学生をちょっと攫って来るのに、そんなに時間がかかるもん?

 

「あの……何度も言うようですけど!!例え私の生徒殺しても私は絶望なんてしません!!だから……私の生徒に手は出さないでください!!」

 

 強い視線で僕を睨みながらそう言ってのけるシスタちゃん。

 正直これは虚勢では無く、マジで目の前で生徒殺されてもシスタちゃん怒るだけで意味無さそうだけど……まぁやってみなきゃ分かんないしね!!何事もチャレンジが大切さ!!

 

「はは!それは……取り合えず生徒が来てからのお楽しみかな?ふふ……。一体誰がくるのかなぁ?」

「っつ!!コウちゃんやソフィアちゃん……それにティファさんには手を出さないでよ!!」

「………は?」

 

 ………え??今この子コウって言った……??それって確か……。

 

「え?コ……コウ?コウってあの髪の白い……目が青い、あ……アイドルやってた子?」

「そうよ!!コウちゃんは可愛くて、天使で、この国最強のアイドルなんだから!!彼女に手を出したら……後が怖いわよ!!?」

 

 ほんとだよ!!それ白銀の(エンシェント)ドラゴンじゃん!!!

 いやいやいや!!今流石に白銀の(エンシェント)ドラゴンに手は出したくないよ!!?だって黒騎士が湧いて出てくるかもしれないし!!

 

 ルーカス君のお父さん……アーネスト・サタノニア公爵は、愛人とか奴隷とか……そういった趣味を持つ屑野郎だから、白銀の(エンシェント)ドラゴンが奴隷になった時も、その会場に居たはず!!

 そしたらコウって子が白銀の(エンシェント)ドラゴンだって知ってる筈だから、流石に手を出すなってルーカス君に言ってる筈だけど……まさか白銀の(エンシェント)ドラゴンに手を出しては無いよね!!?

 

 そんな不安で戦々恐々としている僕をよそに、丁度いいタイミングでドアがノックされ……僕の返事も待たずに、ルーカス君達が飛び込んで来た。

 

「パイモン様……!!申し訳ありません!……生徒を……取り逃がしてしまいました……!!」

「え?あ……そう?……てゆーか、ドア、ノックしたなら……返事を待とうよ……」

「え!!?ルーカス君!!?な……なんで!!?」

 

 突然のルーカス君の登場に、シスタちゃんが目を白黒させてるけど……そんな僕らお構いなしに、ルーカス君は言葉を続ける。

 

「ですが必ず捕まえます!!だから……ティファには手を出さないで下さい!!」

「捕まえるって……!!貴方、一体何を言ってるの!!?」

 

 ルーカス君の言葉にシスタちゃんが食ってかかるが……僕としてはそれ所じゃない。

 

「あのね?ルーカス君。ちょっと予定変更」

「すぐにコウちゃんを捕まえてきます!!もう少し待っててください!!」

「え!?!ちょ……!!はや!!待って待って!!待ってってばぁ!!!」

 

 僕の制止も聞かず、ルーカス君はまた部屋から飛び出て行ったが……え?やばくない??

 彼まじで白銀の(エンシェント)ドラゴンを捕まえてくる気なの??それって本気で困るんだけど!!?

 

「コウちゃんに何かあったら許さないわよ!!」

 

 呆然とする僕に、シスタちゃんが怒鳴るが……マジでこれどーしよ??

 もうしっちゃかめっちゃかだよ……。

 

 こりゃあもう……最終手段に出るしか無いのかなぁ……。

 

「はぁあああ。マジでどーしてこうなった……」

 

 僕は大きくため息をつくと、トホホと肩を落とすのであった……。

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