最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
俺は今、シスタさんに会う為に、王城の前に立っていた。
当然俺一人では無く、一緒に聖王様と騎士のレグロスさん……そして絶対に着いてくると言って聞かなかったソフィアも一緒だ。
因みにティファ達は他の騎士の人達と、聖王協会で待ってて貰ってます!
ホントは皆(ライラを除く)もついて来たいって言ってたけど……今から宰相に会うのに、あんまり大勢で行っても迷惑だろうと騎士さんに言われ……渋々引き下がってくれた。
「……コウ様……。先程の話……本当なのですか……?」
聖王様が門番に話してくれるそうなので、それを待っていると……レグロスさんが俺に声を掛けた。
レグロスさんの言う先程の話というのは……俺が、聖王様達にシスタさんに会いたいと言った後、俺の知り合いならばシスタさんに取り憑いている邪神を引き剥がせるかも知れない!!と、聖王様に言った事だと思う。
その言葉に聖王様とレグロスさんは目を見開き、しばらく呆然としてたけど……それだけショックだったのかもしれない。
「絶対……とまでは言いませんけど、多分出来ると思います!」
「……そうですか………。ならばやはり……私のやってきたことは、間違いだったのですね………。もっと早くに、コウ様を……
レグロスさんはそう言って、自嘲気味に笑う。
まぁレグロスさんの言う通り、もっと早くに色々打ち明けてくれればもっと話がスムーズになったとは思うけど……正直俺がこの街に来たのは、レグロスさん達がシスタさん以外のモンルミエールの人達を皆殺しにした後なので、結局、被害の大きさとしてはそんなに変わらなかったと思う。
でもレグロスさんが言いたい事は、そういうことじゃ無いんだろうな……。
「……申し訳ありません……。今更感傷に浸るなど、そんな権利私には無いというのに……」
「………レグロスさん………」
「ほんとにそうだね?」
容赦ない事を言うソフィアは置いといて、流石の俺もそこまで言う事は出来ない。
だってレグロスさんだって一応国を想っての事だったのだろうし……例えそのやり方が間違っていたとしても、それを俺が責める権利なんてないと思うのだ。
さてどうしたものか……。
「ぐうう!!?」
そう思い、なんてレグロスさんに声を掛けようかと思い悩んでいると……突如レグロスさんが胸を押さえて膝を折ってしまった!!これって……昨日の夜、聖王様も同じ症状になったやつじゃない!?つまり……何者かの呪い!?
「レグロスさん!!」
俺は急いでレグロスさんに回復魔法をかけようとして……いつの間にか、男達に取り囲まれている事に気付いた。
「ははは!!まさか戻ってくるとはねぇ……!!そんなに俺に捕まりたかったのかい!?」
「………ごめんね?コウちゃん……。でも君を連れて行かないと、ティファが危ないんだ……!!」
俺達を取り囲んでいたのは、まぁ予想通りカーンとルーカス率いる男達だった!!
こいつら……貴族とは言え、よくもまあ王城の前で人を取り囲めるよ……。ある意味凄くない??
ルーカス達のあんまりのチンピラ行動に、逆に感心してしまうが……今はそれ所じゃ無かったな!!
俺は直ぐにソフィアに向き直り、彼らを倒してもらうよう言おうとして……
「コウ!!?」
「キーーー!!?」
ソフィアと、俺の鞄の中から出ていたキーちゃんの悲痛な叫び声と共に、いきなり俺の身体が地面へと押し伏せられてしまった!!な……なんで!!?
慌てて自分の状態を確認すると、なんと俺はレグロスさんに取り押さえられていたのである!!
「レ……グロス……さん!?な……何を……!?」
「………私は……お前を…………」
何とかレグロスさんに声を掛けるが……レグロスさんはどう見ても正気じゃないように、虚ろな目をしている!!聖王様にも掛けられてた呪いだけど、この呪いってほっとくとこうなったんだ!?つまり……何者かに操られる類の呪いだったんだな!?
てゆーかこの状況どうしよう!!?
「うぐわ!?」
「うわ!!?だ……団長!?!」
って思った瞬間、俺を取り押さえていたレグロスさんがカーン目掛けてぶっ飛ばされた!!んで、男二人がもつれる様に絡み合って一緒にぶっ飛んでいく!!こ……これは!!
「コウ!!大丈夫!?」
「ソフィ!!ありがとう!!」
レグロスさんをぶっ飛ばしたのは、俺の思った通りソフィアだった。
俺はソフィアに礼を言うと、キーちゃんへと目線を移す!!するとキーちゃんはすぐに俺の意図を察して周りに煙幕を張ってくれる!!……これで!!!
「そんなに何度も同じ手を……食らう訳ないだろ!!?」
だが、そんなキーちゃんの煙幕は、ルーカスの声と共にかき消されてしまった!!
「霧を晴らす魔法の応用さ!!こういう煙幕だって晴らすことが出来る!!さぁコウちゃん!!大人しく「お前達に捕まる訳無いでしょ?」…!!!」
ルーカスの言葉をかぶせる様にソフィアが否定すると、突如ソフィアを中心として竜巻の様な突風が渦巻いて行く!!
「さっきはティファ達が邪魔で使えなかったけど、今はコウもキーちゃんも私のすぐ傍にいるし……手加減の必要無いよね?ルークス(?)だっけ?ティファの恋人(違う)だからさっきは少し手加減してあげたけど……お前は二度もコウを狙った。だから……三度目は無いよ……このまま纏めて死んで?……『
竜巻の風はどんどんその速度を上げていき、ルーカス達は立っているのもやっとの状態になる。
「ぎゃぁ!!?痛い!!?」
「あぎぃ!!?あ!!さ……刺さった!?」
「鎧を貫通して!?ああああ!?脇腹にぃ!!?」
そして……風は木を、石を……あと風速でぺしゃんこになった馬車(馬は無事だよ!風に巻き込まれない様に確保済!!)を粉々にして、その瓦礫は矢と化して男達を襲っていく!!
あまりの風速のせいで逃げ惑う事も出来ない男達は、その矢と化した瓦礫や石に成すすべもなく蹂躙されていき……見るも無残な姿になってしまった!!
「ひ…ひええぇ」
「キー……!」
「ぶるひひ……」
そんな地獄の竜巻の中心で、俺とキーちゃん(と馬)はその光景を震えながら見守るしかないのであった……!!……ソフィアこっわ!!!
◆
「さ……綺麗に片付いたね?コウ。……じゃあ、今度こそ行こっか?……先にいったおじいちゃん(聖王様)も帰ってこないし……もしかしたら中で何かあったのかもしれないから、急いだほうがいいかもね?」
「う……うん……」
そう言って朗らかに笑うソフィアだが……その周りは……阿鼻叫喚です……。
辛うじてうめき声を上げる男達もいれば……なんか完全に沈黙しちゃってる奴もいるが……ともかく誰も彼も見るも無残な状況だ。
そんな状況などお構いなしに、ソフィアは俺に手を差し伸べて言葉を続ける。
「どうしたの?……コウ。……あ!……大丈夫!この周りの連中は完全に無力化したから!……でも、万が一コウが不安なら……生きてる奴のトドメぐらい刺しとく?」
「行こう!!ソフィ!!シスタさんと聖王様が心配だよ!!」
「キー……」
俺は慌ててソフィアの手を取ると、急いで王城へと足を進めるのであった!!
……心の中で、ソフィアには逆らわないようにしよっ……と、胸に刻みながら……!!!