最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
聖王騎士達が乱心………。
全く予想外の展開に、俺はめっちゃ動転する!
てゆーか聖王騎士が乱心したって事は……あそこで待ってて貰ってるティファ達が危ないんじゃない!!?
「そ……ソフィ!!」
俺は慌ててソフィアに声を掛ける。
正直今すぐにでも黒騎士に変身して、ティファ達の元へ急ぎたいけど……かといってシスタさん達を放置する訳にもいかないのだ。どう考えたってあっちもやばい状況だし!!
そんな俺の意図を察してか……ソフィアは一瞬苦い顔をした後……大きくため息をついて言った。
「はぁああ……。分かった。私がティファ達の所に行くから、コウはここで待っててくれる?……お姫様、コウの事宜しく……」
そんなソフィアの言葉に、フローラ様は一瞬驚き……そして笑みを作って答えた。
「分かりました。コウ様の事は、私にお任せ下さい。……聖王騎士協会へ行かれるのでしたら、馬を用意させますが……」
「大丈夫。私が飛んだ方が早い」
え!?ソフィアって空飛べるの!!?って疑問もあるが、今はそんな問答してる暇は無い!!
俺はソフィアの手を取り、強く握りながら言った。
「ソフィ!!ホントに本当にありがとう!!気を付けてね!!」
「ふふ、私は大丈夫。コウも気を付けてね?絶対にここを離れたらダメだよ?」
俺がソフィアの言葉に頷くと、ソフィアもそれに頷いて……部屋の窓を開けてそこから飛び出す!!そしてそのままあっという間に飛び去ってしまった!!
俺はそれを確認して……フローラ姫に向かって言った。
「あの……フローラ様!!使われていない祭壇の場所……教えてください!!」
「ああ!!そうだったわね!!ねぇ貴女、急いで地図を持ってきて頂戴?」
俺の言葉にフローラ様は、さっき部屋に飛び込んで来た侍女に向かって言う。侍女の人はペコリと頭を下げると、すぐに部屋から出て行った。
……そして待つ事数分。侍女の人と、使用人の男の人が地図を持って一緒に入ってくる。……この人めっちゃ渋いな!!なんかハリウッド映画に出てそうな感じの人だ!!
「フローラ様。地図をお持ちしました」
「あら!ヒサギ!!貴方がわざわざ持ってきてくれたの?ありがとう」
「いえいえ。そちらのお方は
使用人の人……ヒサギさんは、そう言うと俺に向きなおり、めっちゃ綺麗なお辞儀をして言葉を続ける。
「先ほどは、衛兵たちが大変ご迷惑をおかけしました。非常に不快な思いをされたでしょうが、どうかお許し下さい」
「い……いえ!!あれは私達も悪かったので、もういいです!!頭を上げて下さい!!それにあのことは……フローラ様にも謝って頂きましたし、本当にもういいです!!……それより!!」
「そうよ?ヒサギ……。それよりコウ様の望みをかなえてあげて?……あ!丁度いいわ!!貴方教えてちょうだいな?今使われていない、古い祭壇の場所、どこだったかしら?」
「承知いたしました。その祭壇でしたら……」
こうして俺は、ヒサギさんのお陰で……古い祭壇の場所と、この辺りの地理を大体知る事が出来た!!
よーし!!ここで……!!
「ありがとうございます!!……あの!!非常に申し上げにくいのですが、もう一つお願いしてもいいですか!!?」
「あら!なにかしら!なんでも仰って?」
フローラ様のその言葉に、俺は頷くと……意を決して言った!!
「お手洗いお借りしてもいいですか!!?」
「…………え?」
今このタイミングでそれ言う??って顔に書いてあるフローラ様。見れば侍女の人も、ヒサギさんも同じ顔してる!!
まぁ気持ちは分かるけど……こっちはめっちゃ本気なのだ!!
なので俺は誠心誠意お辞儀をする!!………多分めっちゃトイレ我慢してたんだろうなーって思われるのを覚悟しながら……!!!
◆
「さあて……そろそろ始めようか?」
パイモンは怪しい笑みを作ってそう言った。
私達は今、パイモンに連れられて祭壇へと辿り着いていた。
真っ白い建物の中には、めっちゃ豪華な祭壇が佇んでいるが……聖王様が言う様に、今は使われていないので、少しさびれている様にも見える。
そんな祭壇の前に……一人の女性がぐったりとして横たわっていた。
その女性にパイモンは近づくと、ポンポンと頭を叩きながら言った。
「お待たせ!オセちゃん!!」
「うう……!!!」
女性は手や足を縛られている様で、上手く身動きが取れない。それに、口も縛られているからうめき声しか出せない様だ。
「いやー。ほんっとうに最終手段なんだけど……仕方ないよね?……ごめんね?オセちゃん。君をシスタちゃんの代わりの依り代として利用するから!!」
「!!!」
「な……!!何言ってるの!!?貴方!!!」
パイモンの言葉に私とオセと呼ばれた女性が驚くが……そんな私達など、どこ吹く風といった風にパイモンは笑うと、今度は私にゆっくりと近づいて来た。……てゆーか、今私はパイモンに手を取られていないので、いくらでも逃げ出せそうなんだけど……何故か体が言う事を聞かない!!
「そのまんまの意味だよ?だぁってシスタちゃん、全然絶望してくんないんだもん。じゃあ代わりに絶望してる奴を邪神の依り代にするのは当たり前だよね?そっちの方が手っ取り速いし!」
そう言って笑うパイモンに、今度は聖王様が声を上げた。
「それは不可能だろう。何故なら邪神はモンルミエールに取りついているのだ。深い血の関係があるモンルミエール以外に邪神が宿るのは不可能だ!」
息も絶え絶えになりながら声を上げる聖王様に、パイモンは天使の様な笑顔を向けて言った。
「はは!確かにヨハネ君の言う通りだね!でもね?方法は一応あるんだよ!……まぁ成功するかは賭けなんだけどね!!」
そう言うと今度は私に近づいてきて……何故か身動きが取れなくなっている私に向かって、パイモンはナイフを取り出し……。
「痛っ!!」
私の腕を切り裂いた!!……結構深く!!めっちゃ痛い!!
「あ?痛かった??ごめんねぇ……シスタちゃん」
こいつぅ!!全然悪いと思ってないだろ!!?
笑いを含んだ声でパイモンは謝ると、縛られている女性に近づき口の拘束を解く。
そして、私の血が付いたナイフを今度は……横たわってる女性の胸に突き立てたのだ!!!
「う゛あ!??」
「ちょっと!!?何をして!!?」
私は抗議の声を上げるが……そんな私の声など気にもせず、パイモンはその突き立てたナイフをぐりぐりと動かす!!
「う゛う゛ああああ!!?」
「もうちょっとだけ耐えてねーオセちゃん。これで君のにっくき黒騎士も
そう言って笑うパイモンに、私は更に声を上げる!!
「やめなさいよ!!邪神を復活させる為に必要なのは私でしょ!!?ならやるなら私にしなさいよ!!」
「はは!!シスタちゃんは優しいねェ?でも大丈夫!!彼女に同情する必要ないと思うよ?だって……彼女は魔族だからさ!!」
勝ち誇った笑みを浮かべてそう言うパイモンだが……だからどうした!?
「だったらなに!!?相手が魔族だからって何やっても許される訳じゃ無いでしょ!!?」
「…………え?」
私のその言葉にパイモンは今まで張り付いていた様な笑みを消して、素直に呆然とする。
「え……と、だからこの子は魔族で……」
「だから!!そんなの関係ないでしょ!!?魔族だったら殺していい理由になんてならない!!人間と魔族が争っているからって、魔族なら誰彼構わず殺していい訳じゃ無いでしょ!!?いいからその人から離れなさいよ!!今ならまだ聖女教会に行けば間に合うかもしれないし!!!」
それを聞いてパイモンは……初めて、本当に小さく、小さく苦笑いをした。
今までの人を魅了するような愛らしい笑みでは無く、本当に……本心からの苦笑いと分かる様に……。
「……………
「パイモン……?」
「…………はは。頭が固かったのは、僕のほうかぁ………」
沈んだ声でパイモンはそう言うと……パッと表情を明るくして続ける。
「ま!!でも結果は変わらないか!!さ……じゃあ始めようか!!これも禁術だから上手くいくかは分かんないけど……これでダメなら僕ももうおしまいだしね!!」
そう言うと、パイモンは掌に魔法陣を発生させて、ナイフを突き立てられている女性にかざす。……そして……!
「さあ上手くいくかな!!?『
呪文を唱えると、祭壇を眩い光が覆い尽くすのであった……!!