最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由 作:でかそう
ばかーーー!!黒騎士の………大馬鹿野郎ーーー!!!
俺は祭壇に吹っ飛ばされ、痛む体を起こしながら、心の中で叫ぶのであった!!
何でそんなに黒騎士に対して怒っているかって!?
何故かと言うとそれは……黒騎士はさっきの邪神の提案「私の手を取れば、お前をその窮屈な器から解放する事が出来る」って言葉に大いに反応して、一時的に俺の体の主導権を奪って……固まってしまっていたからだ!!
結局俺の怒りの叫び(半泣き)によって黒騎士は正気を取り戻し……ていうか考え直し、俺に体の主導権を戻してそのまま邪神との戦闘になったけど……正直俺としては、さっさと解呪魔法であの女性から邪神を引き剥がしたかったのだ!!
でも邪神が完全復活しちゃったせいで、魂との結びつきが非常に強くなっちゃったから……もう解呪魔法でも邪神は引き剥がせない!!
なぁにが「いっそのこと完全復活してから叩いた方がいいかと思ってなぁ?」だよ!!全然本心じゃないよ!!弱いうちにどうにかしたかったよ!!!
てゆーか……邪神が依り代にしてたのって、シスタさんだったと思うけど……どうやらシスタさんと瓜二つの女性に移動したみたいだな……。
そして当のシスタさんは……魔獣の上に横たわってるけど、もう息をしていない……。つまり………俺は、間に合わなかったって事だ。
その事が重く心にのしかかるが……今は取り合えず邪神を倒すのが先決だ。
もうあれだけ強く結びついている魂は、解呪魔法でも引き剥がす事は出来ないだろう。
フェネクス王子の様に、例え魂を引き剥がしたとしても……精神に異常をきたすのは当然として、恐らくだけど……あそこまで行くと、魂が結びついているというか、完全に乗っ取られちゃってる。
だからもう器となってる女性ごと、邪神を打ち倒すしか無いんだけど……正直それがめっちゃしんどい。
今、黒騎士の力は大体7~8割程戻ってはいるが、逆に言えばまだ完全復活している訳では無いのだ。つまり邪神と全力で戦う事が出来ない。あと何度も言うけど、疲れがめっちゃ溜まってるヘトヘト状態。肉体的にも精神的にも!
一方邪神は、封印されていた魂を全て回収して元気ピンピンの万全状態。ついでに復活したてのテンションで精神的にもアゲアゲだろう。
本来の実力差は正直はっきりとは言えないけど、こんなコンディションの違いで……勝てるものも勝てる気がしない!!
………と、既に負けた時の言い訳モードにすら入っている俺なのだが、流石にこのまま本当に負ける訳にはいかない。
俺は気合を入れ直し、痛む体に鞭打って全身に魔力を張り巡らせる!!
そんな俺を邪神は楽しそうに見つめて……掌を俺に向けてくる。
「『
次の瞬間、俺は左右から一気に引っ張られる!!
あいたたたた!!?なにこれソロモンの審判!!?それとも大岡裁き!!?
やばいやばい!!このままじゃ真っ二つになっちゃう!!?
俺は慌てて霧化魔法を発動させる!!さっきもやったが、体を霧化させると一粒一粒は粒子レベルに分解されるので、引力の影響を非常に受けにくいのだ!!
「はは!また同じ魔術とは……少し芸が無いんじゃないのか?黒騎士」
そんな俺に邪神は楽しそうに笑うと引力魔法を解除して、両手を胸の前に持っていき、まるで見えないボールを持っているかのような形にする。
「『
そして霧化した俺を、まるで掃除機で吸うかのように一気に引き寄せるのだった!!
……でも!!俺を引き裂こうとして引力の魔法使った時に、絶対俺が霧化するだろうと邪神が読んでる事を……正直俺も読んでいた!!つまり俺が霧化したら絶対何かするだろうと!!
俺はさっき邪神に向かって上から落とした盾を、一気に引き寄せる!実はランスや盾は、投擲した後手元に戻ってくる様に引き寄せる事が出来るのだ!!
重力の影響で、地を這うように戻ってくるが……それでも邪神の足元をすくう事ぐらいできる!!
「む……?」
邪神は背後から高速で滑ってくる盾を避ける為、身を躱すが……盾に気を取られて魔術の制御が甘くなった!
俺はその隙を見逃さず、瞬時に霧化状態を解除して実体化する!!
奴自身が俺を引き寄せてくれていたお陰で、例え重力魔法の範囲内だろうと動きを止める事無く邪神へと近づくことが出来る!!
「っち!!」
邪神はランスを突き立てた俺をすんでのところでかわすが……俺の狙いは邪神じゃあない!!俺はそのままランスに解呪魔法を纏わせて……一気に床へと突き立てる!!
すると一瞬の衝撃波と共に、辺りを覆っていた邪神の重力魔法が解除される!!
これは前の旅館の時に、
「おお!?やるな!!黒騎士!!」
邪神が感心の声を上げるが……俺はそれを無視して瞬時に加速魔法を発動させる。また邪神が辺り一帯を重力魔法を発動したら振り出しに戻るが……正直この間合いなら、奴が魔法を発動するよりも早く俺のランスが奴を貫くだろう。
そして……俺の狙い通り、必殺のランスは邪神を捕らえ、俺は邪神を突き刺したまま、さっき俺が吹っ飛ばされた祭壇へと突き立てた!!
「がっはぁ!!?」
「じゃ……邪神様ぁ!!?」
邪神の苦悶の声と、パイモンの悲痛な叫びが建屋内に木霊するが……俺はそれに構わず、一気に魔力をランスに籠める!!
「今度こそ……終わりだ……邪神よ……」
また邪神の重力(引力?)魔法によってぶっ飛ばされてもいい様に、今度は邪神を槍で張りつけにしたのだ。もし万が一俺がぶっ飛ばされても……ランスに溜まった魔力は邪神を逃す事はない!!
つまり俺がぶっ飛ばされた時、俺はランスから手を放して……邪神がランスを引き抜く前に、今度はその顔面に盾ぶち込んでやる!!っていう二段構えなのだ!!
「じゃ……じゃしん……さまぁ!!」
「ああ……これは……。黒騎士の勝ちだ……」(フラグ)
今なんか聖王様がめっちゃフラグ的な事言った様な気がするけど……マジで勝ったよね!?これで決着だよね(願望)!!?
邪神は俺の爆発的な魔力を抑える為に力を使っている様で、重力魔法を発動出来ないでいるみたいだし、これはこのままランスに魔力籠め続けてればいずれ勝てそうだけど……念には念を入れて、このまま盾で顔面ぶっ潰したらぁ!!!
そう思い盾を持っている左手を振りかざそうとして……
「う……動くなぁ!!黒騎士!!ヨハネ君がどうなってもいいのか!?」
「ぐうぅ!?」
二匹の魔獣に押さえつけられて、身動きが取れない聖王様に、パイモンが手をかざして、魔力を籠めながら言って来た。
………だが、聖王様には非常に、ひっじょーーーーに申し訳ないが、今の俺はコウではなく黒騎士なのだ。つまり思考が大分合理的になってる。
正直聖王様を助けてこのチャンスを棒に振りたくは無いし、あのご老体には悪いが、この勝利の為の礎になって貰おう………。ごめんね?聖王様。
そう思い、俺はパイモンを無視して、今度こそ左手を振りかざそうとして……
「アナスタシア……シスタは生きているぞ?」
邪神の言葉で動きを止めてしまった。
「シスタは今、心臓が無い状態で活動を止めているが……その心臓は、今お前が槍を突き立てている、
「……ふん。だったら何だというんだ?たとえあのお嬢さんの心臓が本当に
正直下らない時間稼ぎだという事は解る。今更シスタさんが生きているからといって……槍を引くことなんて………なんて………!!
「くくく。やはりな?あの老いぼれはどうでもいい様だが、シスタは別だろう?あれだけ守っていてやったんだからな?愛着の様なものがあったんだろう?……槍に籠めている魔力が減ったぞ?……そして……私達の戦闘において、その隙は……致命的じゃァないか?黒騎士よ?」
「!!!」
「『
次の瞬間、俺の周りに魔力のかけらの様な物が集まり……それが一瞬で俺を拘束した!!
「
「っち!!貴様!!」
あああああああ!!失敗した失敗した失敗したぁ!!!
マジで一瞬の気の迷いが勝敗を分けちゃった!!この拘束マジで解けねぇ!!!これ詰んだ!!!
俺は急いで
「それでは……暫くお休み?黒騎士……」
「くく……これで俺を倒したつもりか!?俺は必ずこの封印を解いてみせる!その時お前を……!!」
「あはは!それは……楽しみだなぁ……?では……『
その言葉と共に俺の体は、一瞬で圧縮されて……邪神の手に乗る程の、四角いキューブとなって………俺の意識は完全に落ちるのであった……。……マジで大失敗しちゃった………。