最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第25話

 そもそもなんでオーバ達が俺達が勇者と共にこの街を離れるのを知ってるかと疑問に思ったが、どうやら俺がすやすやと眠っている時にミリヤがギルドを訪ねて、昨日の事件の詳細をギルド長やアレックス達に説明したらしい。

 

 そして今後そんな事が起きない様に、自分たちは勇者と共にこの街を離れると宣言したそうだ。

 

 ギルド長のゲンヤさんやアレックスは渋々納得してくれたそうだが、そこに異を唱えたのがオーバ達だったそうだ。

 まぁミリヤとしてはアレックス達が納得してくれたので、オーバ達への説得はギルド長達に丸投げして教会へ戻ったそうだ。

 

 そして教会へ戻ると俺達を訪ねてきたエイシャと出会い、そこでその後エイシャがギルドへ行くことを聞いた。

 

 そしてギルドへ赴いたエイシャに、どうやら説得が失敗してしまったオーバ達が詰め寄り今に至る……という事みたいだ。

 

「ミリヤ!!本当にこのすかした野郎と一緒に王都へ行くのか!!?」

「コウちゃん!!!嘘だよなぁ!!?またギルドの受付やってくれるよなぁ!!?」

「俺ぁ前々から勇者という存在が気に入らなかったんだ!!」

「そうだそうだ!!勇者なんて肩書だけで偉そうにしやがって……余所の街でも勇者なんて歓迎されてねぇだろうが!!」

 

 この人たちエイシャが一言いえば、自分達含むこのギルドがどうなるか分かってるんだろうか?

 それを最初に俺に教えてくれたのは、他でもない野次の筆頭に居るオーバでは無かっただろうか?

 

 というかコリンが怖がるからあまり声を荒げないで欲しいのだが!!

 

「いい加減にしないか!!余りにも暴言が過ぎるぞ!!」

 

 アレックスが声を張り上げ皆を叱り飛ばすが、あまり効果は無い。

 普段ならばアレックスの指示には従うギルドのメンバーも、今日に限っては完全に無視を決め込んでいる。

 

「おめぇら!!いい加減にしやがれ!!全員しょっぴかれてぇのか!!?」

 

 するとギルドの二階から、ドスを聞かせた声でギルド長のゲンヤさんが降りてきた。

 無精ひげを生やしたナイスミドルで、やくざみたいな見た目と違ってとても優しいギルドのトップだ。

 

 俺がバイトしたいって言った時も快く承諾してくれた人で、実は受付嬢のマイカの叔父さんでもある人だ。

 

「ゲンヤ!!アンタ今まで何してたのよ!!さっさとこの馬鹿達止めなさいよ!!」

「ミリヤ……俺ぁ一応ギルド長だから忙しいんだよ!!こいつらの事はアレックスに任せてたってのに……!!」

 

 ゲンヤは頭を搔きながら勇者の前に立つと大きく頭を下げた。

 

「うちの馬鹿どもが申し訳ありません!!後できつく言っておきますんでどうか許してください!!」

「……はぁ……。有象無象共がなんと喚こうと俺には響かんが、ここには小さい子を含む女性達がいるんだ。そんな人たちを怖がらせるのがお前達ギルドの本懐なのか?」

 

 エイシャはため息をつきつつ、自分に野次を飛ばしていたギルド面々を見据えて言った。

 

「俺を信用できないと言うお前達の気持ちも解る。何故なら俺を除く勇者達の素行はとても褒められたものじゃないからだ。だから俺には好きなだけ文句を言うといいが、お前たちが怒鳴り散らすせいで彼女たちを怖がらせるのがお前たちのやりたい事なのか?」

「!!!」

 

 エイシャは静かにそう言うと、言葉を続けた。

 

「お前達ギルドの冒険者の本幹はか弱き市民を助ける事ではないのか?唯々意味もなく魔物を狩ったり、ましてや盗賊などから街を守っている訳ではないだろう?」

「………」

「……まぁ……なぁ……」

「俺達勇者もお前達冒険者も、本質は変わらん。弱きを救い強きを挫く、そしてそれにより街の平和を守る、それが戦える者達の責務だ。そして……その延長線として俺は魔王含む魔族を打ち倒し、この世界を平和にしてみせる」

 

 エイシャはギルドのメンバーを一瞥すると、拳を握りしめ言った。

 

「その為にはコウの力が必要だ。彼女は魔族に狙われているがそれには理由がある。その理由を知っているものも知らない者もいるとは思うが、彼女の力があれば俺は魔王をも打ち倒すことが出来る!そして魔族共はそれを恐れてこの街を襲っていた!」

「……!!」

「コウがお前たちにとって大切な存在なのは良くわかった。だからこそ俺は彼女を必ず守り切ると誓う!そして共に世界を平和にすると……ここに誓おう!!」

 

 勇者エイシャの言葉にオーバやアレックス達は圧倒されていた。

 かく言う俺自身もなんか普通に感動しちゃった。

 

 ゲンヤはうんうんと頷き、ミリヤはやれやれと首を振る。

 これで俺達がエイシャについていくのに、文句がある奴は居なくなったのではないだろうか?

 

 俺が演説できる奴ってすごいなーっとエイシャを見ていると、コリンが俺の袖をくいくいとひっぱった。

 なんだろうとコリンを見ると、コリンは俯きながら小さく言った。

 

「コウちゃん……わたし……コウちゃんがどっかに行っちゃうのはすごく嫌……。でもね!」

 

 コリンは顔を上げ涙がいっぱい溜まった目で俺を見つめ、笑顔を作り言葉を続けた。

 

「寂しいけど我慢するね!いつかコウちゃんがこの街に帰って来たとき……また笑顔でコウちゃんと一緒にいれるように!!」

「コリン……!!」

「ふふ!コリンも少し大人になったわね!」

 

 コリンのその言葉にジュディは嬉しそうに言った。

 

「コウ!私たちはコウが無事に帰ってくるのをこの街で待っとくわ!!だから……絶対に無事に戻ってきてね!!………ねぇ勇者様!!」

 

 ジュディは勇者の目を見据え言葉を続けた。

 

「絶対に……絶対にコウを守ってよね!!約束よ!!」

「ああ。必ずコウを守り切ると約束する」

 

 その言葉にジュディは大きく頷くと、俺に言った。

 

「じゃあコウ……気を付けてね!!絶対に無事に戻ってきてね!!」

「……うん!」

「コウちゃん……!!」

 

 コリンが涙を抑えきれず俺に抱き着く。

 俺も少し涙を流しながらコリンを強く抱きしめた。

 

 オーバ含むギルドの面々も、ついに納得したのか口々に俺達にエールを送る。

 

「コウちゃん!!ミリヤ!!気を付けてなぁ!!!」

「くそ!!勇者様よぉ!!絶対にコウちゃん達を守り切れよ!!」

「さびしぃぜ!!くそったれぇ!!」

 

 ギルドのメンバーの言葉を背に、俺達は旅立つのである!!

 

 教会の皆、アレックス達ギルドのメンバー……この街の人達との思い出は俺の宝物だ。

 だからこそ必ずミリヤと一緒にこの街に帰ってこよう!!

 

 俺は決意を新たに、皆のエールを背に一歩を踏み出すのであった!!!

 

 ……まぁ出発は一週間後だけどなぁ!!!

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