最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第34話

 やっぱり聖女って……大変なんだなぁ……。

 堰を切った様に涙を流すマリィを抱きしめながら、彼女の仕事の大変さに俺は大いに尊敬していた。

 

 やっぱりストレスとか半端ないんだろうな!

 俺はマリィの頭をよしよしと撫でながら、深く同情した。

 

 そしてつくづく思う。

 やっぱり俺に聖女とか絶対に無理!!マリィですらこんなに精神やられるのだから、俺みたいなクソ雑魚人間に聖女が務まるわけがない!!

 俺が出来る事といったら、こうやってストレス溜めこんでるマリィを癒してあげる事ぐらいだ。……本当にこんな事でマリィのストレスを緩和出来てるのかは別としてだ!

 

 てゆーか、思わず抱きしめちゃったけど大丈夫かな?

 一応同性(?)だからセクハラにはならない筈だけど……後で訴えられたりしないよね?マリィはそんな事する人じゃないと思うけど……少し戦々恐々としてしまう。

 

 そんな事を考えながらしばらくすると、落ち着いたのかマリィが俺からスッと離れる。

 

「……申し訳ありません。お見苦しい所を見せてしまいましたわ」

 

 マリィは少し照れくさそうにはにかむ。

 

「大丈夫です。私もよく泣いちゃうので!」

「うふふ。では……一緒ですわね?」

「はい!一緒です!」

 

 二人でふふふっと笑い合い、お互いの恥ずかしさを共有する。

 うん!マリィはもう大丈夫なようだな!心無し最初に会った時より元気に見える。

 

「コウ!!やっと見つけたぞ!!」

 

 俺達がそうして笑い合っていると、背後から声が掛けられた。この声は……

 

「あらあらこれはこれは、エイシャ様……。ご機嫌麗しゅう?……それにしても勇者様ともあろうお方がコウ様をお一人にするなんて、一体全体どういった事でして?」

「貴様……マリフィセント……何故ここに?」

「私がどこに居ようと、貴方様には関係のない事ではなくて?それより……私の質問に答えて下さいな?なぜコウ様が護衛も連れずに一人でおられたのかを……!」

 

 それは俺のせいーー!!!

 俺があほなセリフと一緒にエイシャから逃げっちゃったせいで勝手に迷子になったのだ!俺の肩に乗ってるキーちゃんも、やれやれって風に羽を竦める!!

 

 というかこの二人……仲悪いな!?いきなり喧嘩腰だし!! 

 

「そ……それは私のせいで……!!」

「コウ様は悪くありません。どんな理由があろうと、コウ様を一人にさせたこの方が全面的に悪いのです」

 

 そんな事は無いと思うよ!?

 百人が聞いたら九十八人は俺が悪いって言うと思うよ!?ちなみに残りの二人はマリィとミリヤだ!

 

「確かにな……悪いのは俺だ……」

 

 九十七人だった!!

 まぁそれは置いといて!!

 

「と……ともかく……ごめんなさい!エイシャ様!勝手に駆け出してしまって……!」

「いや……。俺が変な質問をしたからだ……。すまない」

 

 まぁあの質問は確かに要らんかったけどな!!

 というか……なんだろ、エイシャを変に意識してしまってまともに顔が見れないんだけど……。

 

「コウ?どうした?大丈夫か?」

「うあ!えっと……大丈夫です……。ごめんなさい……」

「……いや。本当に大丈夫か?……俺の目を見て言って欲しいんだが……」

 

 こいつ解っててやってんな!?助けて!!マリィ!!

 

 俺はサッとマリィの後ろに隠れると、ジト目でエイシャを睨みながら言った。

 

「ともかく……大丈夫です!!あとはマリィ様に案内してもらうので……エイシャ様はいいです!!」

「くく……。相分かった。では聖女よ……よろしく頼むぞ?」

「……貴方に頼まれなくても当然の事です。さあコウ様、どちらに行かれますか?」

「騎士様達の所へ。そこにお姉ちゃんがいると思いますので」

 

 マリィは頷くと、俺の手を取って歩き始める。

 するとエイシャも俺達の後を付いてきた。……もう!なんでついてくるかな!?

 

 俺が今変にエイシャを意識しちゃってるからちょっと距離を置いて冷静になりたいのに、それを解った上でこいつやってんな!?性格悪いってよく言われない!?

 

「どうしましたの?コウ様の無事も確認出来たのですから、貴方はもういいのではなくて?先ほど私に後を頼まれたでしょう?」

「いや?俺も騎士達に用があっただけだ。それに俺がついて行って何か不都合があるのか?」

「単純に邪魔ですわ。それにコウ様は貴方を好ましく思っていない様ですけど?」

「本当にそう思っているのならお前も随分と節穴だな。それと……何様で宮殿に来たのかしらんが、用事はいいのか?」

「それはご心配なく。まだまだ時間はありますわ」

「そうか?聖女様は随分と暇なのだな?」

「うふふ。ありがとうございます」

 

 バチバチと火花を散らす二人。やっぱ仲悪いのかな?

 それともこれも喧嘩するほど仲がいいってことなんだろうか?ランディとジュディみたいに。

 

 色々あったが、何はともあれ俺はマリィのお陰でようやくミリヤの居る、騎士様達の隊舎へと向かうのであった。

 

 ……余談だが、俺が迷子になってた事はなんと騎士たちの間にまで伝わっていた様で、俺達が隊舎へたどり着いた後、取り乱したミリヤに抱きしめられて……その後エイシャとひと悶着あったのだが、それはまた別のお話……。

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