最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第35話

 王都での二週間は、あっという間に過ぎて行った。

 

 二週間後の晩餐会に備え、俺は今までやったことのない礼儀作法とか、ダンスの練習とか(なんで!?)を日夜叩き込まれた。

 主に王妃様とエイシャの妹であるエレナによって指導を行われていたのだが、たまにマリィも交じり色々と教えてくれた。

 その後はミリヤも交じり、五人でお茶会である。王宮で出されるおやつはほっぺが落ちるんじゃないかと思うほどめっちゃ美味しかった!!正直異世界のお菓子なめてました!!

 

 初めて会った時よりマリィは随分と元気になった様で、顔色とかもとても良くなっていた。

 良く笑うし、楽しそうに皆とおしゃべりしている。

 

 ある日王妃様に「コウちゃんのお陰で、マリフィセントさんも随分と元気になったみたい。……本当にありがとう」とお礼を言われたのだが、あの時抱きしめたのはやっぱり正解だったみたいで、少しほっとした。

 

 この二週間……大変だったけど意外と楽しかった!!

 何もせずぼーっとするのも好きだが、慌ただしく何かを学んで行ったりするのも結構楽しい。こうやって強制的にされないとすぐにだらけてしまうので、これぐらいが丁度いいのかもしれない。

 

 ミリヤは晩餐会に参加はしないらしく、騎士の人達と一緒に護衛にあたるそうだ。最近はもっぱら騎士の人達に混じって鍛錬している。……晩餐会参加しなくていいのいーなー。

 

 マリィともだが、俺はエレナとも結構な仲良しになった。

 ミリヤが騎士達との鍛錬を夜通し行う日があってその日は、マリィとエレナとパジャマパーティーをしたぐらいだ!!

 一緒に王宮の温泉に入ろうと言われた時はさすがに俺もめっちゃ抗議したけど、エレナの強引さは生半可じゃなかった為、一緒に入る事になった。

 大丈夫??犯罪じゃない??訴えられない??

 女になって早二年、自分の体とか見て興奮とか一切しないけど、流石に他の人の裸は恥ずかしいのである。

 

 そして……この二週間の間、エイシャとあんまり顔を合わせていない。

 理由としては俺がエイシャを避けまくってるのが原因である。そしてそんな俺をエイシャも追い回したりはしなかった。

 

 くそーー!!

 ほんと変に意識するのやめて欲しいよ!俺!!

 

 チョットすれば俺も普通に戻ると思っていたのに、時間が経てば経つほどなんか顔合わせるのが恥ずかしくなってしまう。

 だから……結局エイシャの婚約者(フィアンセ)って完全に否定できないままずるずると二週間たってしまったのだ!!

 

 なんてこった!!

 

 そしてついに運命の大晩餐会を迎えるのである……冒頭(第27話)に戻る……。

 

 

 うーーん。

 随分と長い回想(現実逃避)だったな……。

 

「コウ?ぼーっとしてないで、ほら早く!!行きますわよ!!」

 

 周りの女性たちの(殺意)など意にも介さず、俺をぐいぐいと引っ張っていくエレナ。

 

 やだなー。このままではエイシャに会ってしまう。

 婚約者(フィアンセ)って立場だけでも嫌なのに、微妙に意識してしまってるエイシャにこの会場で逢うのはなんか雰囲気が相まってほんとにヤダ!!余計意識しちゃいそう!!

 

「随分と浮かない顔をしておられますわね?コウ様」

 

 嫌々引きずられる様に移動していた俺に話しかける女性。この声は……!

 

「マリィ様!!」

 

 俺はエレナからいったん逃れて、マリィに駆け寄った。

 

 マリィは綺麗な黒いドレスに身を包み、優雅に歩み寄ってくる。

 

「うふふ。御機嫌よう……コウ様」

「こんばんは!マリィ様!」

「あら!御機嫌よう!マリィ様!」

「御機嫌よう、エレナ様」

 

 マリィの登場に、俺は少しほっとしてしまう。

 

 エレナはいい子なのだが、少し強引というか、猪突猛進なのだ。

 その点マリィは何時も俺に合わせてくれてるような気がする。俺が言いたい事とかしたい事とか、先に感じ取ってくれてサポートしてくれる感じ。

 

 だからマリィと一緒に居ると、とても落ち着く。

 あとマリィが居てくれるとエイシャを牽制してくれるので、それも大変助かってます。

 

「マリィ様もコウに言ってやって?コウったらお兄様の婚約者(フィアンセ)ですのに、お兄様に逢いに行こうとしないんですわ!このままではダンスも始まってしまいますのよ?」

「では……練習通り私がダンスのお相手になりましょうか?ずっと私と練習しましたものね?」

「え!?いいんですか!?」

 

 出来るならマリィと踊りたい!!

 

「だめに決まってますわ!?マリィ様も何をおっしゃってますの!?」

「うふふ。冗談ですわ。でも……そこまでエイシャ様と踊りたくないのであれば……ねぇ?」

 

 思わせぶりに言うマリィだが、マジで俺としてはこのままマリィと踊ってしまいたい。

 

 だって、当のエイシャはいろんな女性に囲まれて楽しそうに話をしているし、わざわざそこに入って行って俺とダンス踊ってくれーなんて言いたくない。周りの女性に刺される気がするし、何よりなんか負けた気がする。

 

 何とかこのまま時間いっぱい粘ってマリィと……!!なんて考えてると、突然ガラスが割れるような大きな音がした。

 

 なんだなんだ!?っと野次馬根性で音が鳴った方を見れば、驚愕の光景が目に飛び込んできた!

 

「貴様にはほとほと愛想が尽きた!!私は貴様との婚約を解消し、この真の聖女!!ファリス・リア・アイリアス嬢と結婚する!!」

 

 この国の第一王子であるレオン様が、栗色の髪の可愛らしい女性を腕に抱き、突き飛ばされた金髪の美人さんに向かって言い放っていたのだ!!

 

 これは……!!!

 

 悪役令嬢の私が聖女に王子様を奪われた件 〜真の聖女は私です。戻ってくれと言われてももう遅い〜

 

 が始まるのか!!?

 

 ……いや真の聖女はマリィですけど!!!?

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