最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

47 / 153
第44話

「ああもう……本当に現れたよ……」

 

 心底うんざりしたように言うフェネクスを無視して、俺は分身(コウ)とリリーナ嬢の前に立つ。

 キーちゃんが発した煙幕は既にかすれてきており、魔族達も黒騎士の登場に驚いている様だ。

 

「……!!?彼方様は……??」

 

 突然現れた黒騎士()にリリーナ嬢はついて行けず目を白黒させているが、キーちゃんを腕に抱いた分身(コウ)がリリーナ嬢に近づき口を開いた。

 

「黒騎士です……。口と性格と態度と存在が悪いですが……一応味方(?)です!」

 

 おいコラしばき回すぞ?このクソガキ。

 

 まぁとにかく今は魔族共だ。俺はフェネクスを見据えて軽口を叩く。

 

「王子殿……今からでも降参しないか?さすがにこの国の王子を惨殺しては角が立つのだがね?」

「はは!出来れば降参したい所だけど……僕にも責務がある……悪いが交渉不成立だね?」

 

 そう言うとフェネクスは魔力を貯め、周りに魔族達に解き放った。

 なるほど……強化魔法みたいなのを掛けたのかな?なんとまぁ……無駄な事を……。

 

 俺は盾を横に構えると、そのまま魔族達に向かって投擲した。

 投擲された俺の盾は、魔族と魔物を縦横無尽に切り裂き、壁などにバウンドして更に魔族達を切り裂いて行く。気分はキャプ〇ン・ア〇リカだ。そして盾はフェネクス以外の魔族と魔物を全て蹂躙すると、俺の手元へと戻ってきた。

 

 俺はそれをキャッチすると、気だるげにまたフェネクスに問った。

 

「さて……次は?また魔族共が現れるのか?それともお前自身が俺に挑んでくるのか?……どちらにせよさっさとしてくれたまえ?俺も別に暇人という訳ではないのでね?」

 

 テレパシーで分身(コウ)が、暇人だろ!!っと訴えてくるがそれは無視である。

 

 フェネクスは蹂躙された魔族達を、信じられないといった様子で呆然と見ていた。何が起きたのかすら、もしかしたら解ってないのかもしれない。自分の強化魔法によっぽど自身があったんだろうか?

 

「おいおい……。まさかもう終わりか?」

「は……はは……。強いとは聞いてたけど……この強さは……ただの化け物じゃないか……!」

 

 フェネクスのその言葉に俺はため息をついて答える。

 

「はぁ。人は自身の想像の範疇を超えた者を化け物と言う。そう言ったと言う事は、お前にこれ以上の手は無いと言う事だ……。実にがっかりだよ王子殿!息巻いたというのにこの程度とは!!」

「ひ!!ひぃぃぃ!!」

 

 ちょっと語尾を荒げると、フェネクスは完全に委縮して腰を抜かしてしまった。

 

 ………ほんとにもう終わりなのかよー。マジで雑魚集団じゃん!!

 

 しゃーない。

 解析魔法で解析してみたのだが、どうやら王子には俺みたいにもう一つ魂がある様だ。恐らく魔族によって埋め込まれた魂があり、それが王子を操っているのかもしれない。

 

 呪いの一種なので、俺の解呪魔法でその魂を引きはがせば王子も普通の人間になれるだろう。まぁ本人が望むか望まないかは別として……だ。

 

 俺は解呪魔法を発動する為王子に一歩近づき……軽くバックステップした。

 

 そこには禍々しい魔力を秘めたナイフが刺さっており、あと一歩で俺はあのナイフの餌食になっていただろう。……俺の鎧を貫通出来ればな!!

 

 俺は無造作にナイフの射線へと盾を投擲する。

 

 投擲された俺の盾は、狙い通り隠れて俺にナイフを投げつけてきた魔族へと吸い込まれていく。ナイフの魔族は俺の盾を慌てて避けるが……今度は俺は加速魔法を発動させる。

 

 ナイフの魔族が俺の盾を避けて横跳びし、着地した瞬間俺はそいつの目の前に居た。

 

「な……!!?」

「随分とノロマな魔族だなぁ?亀にも劣る」

 

 俺は盾を投擲してフリーになっている手でそいつの首を絞めると、そのままそいつを持ち上げて言った。

 

「お前らの狙いはあの阿保娘だろう?俺を攻撃せずにあっちにしておけば……俺の行動を制限出来たかもしれないのに……随分と間抜けだな?」

「あ……ぐぐ……!お……おのれぇ……!!」

 

 そのまま首をへし折ろうとして……。

 

「まってくれ!!黒騎士!!僕らの……負けだ!!彼を……放してやってくれないか?僕達は大人しくこの場を去るよ……!!」

「ふ……ふふふ……ふはぁはははははは!!!!」

 

 なにわろとんねん。いや俺だけど。

 

「な……なにを……」

「くくはははっは!!これを笑わずに居られるか!!自分たちは小娘の命を狙っておいて、いざ負けそうになったら命乞い!!なんとプライドの無い連中だ!!!魔族とは……随分と間抜けな集団だとは思っていたが、まさかプライドまでない畜生以下の連中とはな!!!」

「き……貴様ぁ!!」

 

 次の瞬間俺は手に持っていた魔族の首をへし折る。ぐぇっとカエルが潰れるような音を出して魔族は絶命した。

 

「あ……あああ……」

 

 それを見たフェネクスは完全に呆然とし、戦意を喪失させてしまった。失禁すらしてしまっている。……なんとまぁ情けないやつらだ。人の命を奪う気満々だと言うのに、自分たちはダメだというのか?くだらない。

 

 

 ……………ううーん。ちょっと今のはまずかったな。大分黒騎士の過激な思考に流れてる様な気がする。

 取り合えず目下の危険は過ぎたのだから、隠れて分身(コウ)と合体して……。

 

 そう思い分身(コウ)の方を振り返った瞬間……突如轟音と共に牢屋含め建屋が爆発したのだった!!

 

 ……爆発オチなんてサイテー!!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。