最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第78話 真の力(魔族ベリアル視点)

 想像以上に上手くいったと私は心の中で安心していた。

 

 まったく!!最初からLumi(ルミ)Twinkle(トゥインクル)のクルミが、大人しく白銀の(エンシェント)ドラゴンに薬を飲ませていればこんな面倒な事をせずにすんだのにぃ!!………ちなみにあの時クルミに渡そうとした薬は……もちろん猛毒よぉ!!くほほ!!

 

 あの後クルミが警備隊に私の事を言ったみたいで、大変だったのよ!!私の事務所に警備隊が押しかけてきて!!

 取り合えず証拠不十分って事でその場は収まったけど……おかげで私が警備隊にマークされる事になってしまったわ!!

 

 まぁそんな苦労のかいあってか(?)、白銀の(エンシェント)ドラゴンを今度こそ始末する事が出来た。……出来たわよね?あの後聖女とか来て、助かってないわよね??

 

 少し……いいえ、かなり不安になってきたが、私は私の力を信じよう!!白銀の(エンシェント)ドラゴンは死んだ!!……そう思ってなきゃやってられないわ!!

 

 さて……逸れた意識を目の前に戻すとしよう。

 

 目の前には今、私をここまで連れてきた勇者が立っている。……醜男ねん……。

 彼は私が白銀の(エンシェント)ドラゴンに、毒を撃ったことを大層お怒りみたいだ。……くほほ!当たり前か!

 

「んもう。もうちょっと丁寧に運んで下さらない?服が汚れてしまったわぁ……」

「るせぇカマ野郎!!テメェだきゃ絶対に許さねぇ!!」

 

 その言葉と共に勇者は私に向かって突進してくるが……正直こいつ本当に勇者なのかしら?

 確かこいつは聖斧の勇者の筈だが、彼の手には今聖なる武器は無い。

 

 何故?っと疑問に思うが……まぁどうでもいいか。

 

 彼の渾身の右ストレートを片手で止めて、私は代わりに彼の鳩尾にボディブローを決める。

 

「んぐお!!?」

「……弱いわねぇん。あんたそれでも本当に勇者なのぉ?……勇者よね??」

「だ……黙りやがれぇ!!」

 

 彼……確かギーツとか言ったっけ?ギーツは怒りに任せて闇雲に拳を振るうが……どれも私にとっては欠伸が出る程ののろさだった。

 その全てを軽くさばき、ギーツの顔面に拳をねじ込むと、ギーツは鼻血を吹き出しながら私にタックルをかましてくる……が、……くだらない……。彼の渾身のタックルも、私を押し倒すには至らないのだ。

 

 タックルで倒れなかった私をギーツは驚愕の表情で見るが、そんなギーツの頭を掴むと私はため息をついて投げ飛ばした。

 

 投げ飛ばされたギーツは、玩具の様にごろごろと転がってそのままうつ伏せで倒れてしまった。

 

「ねぇ……私も遊びに付き合う程暇じゃないのよ……。さっさと聖斧出したらどうなの?……それともやる気が無いなら……私、会場に戻っていいかしら?安心してぇ?白銀の(エンシェント)ドラゴン以外の命を取る気なんて無いし、そんな事命令されてないからねぇ………多分」

 

 そもそもよく考えたら白銀の(エンシェント)ドラゴンが死ねば彼らは神器を失う。

 そして今彼が聖斧を召喚しないということは……まさか!!白銀の(エンシェント)ドラゴンは息絶えたのかしらん!!?

 

 だとしたらこの男が聖斧を召喚しないのも納得できる!!

 やったわ!!第三部完!!これで……魔王様もお喜びになるだろう!!

 

 そしたらもう魔王様も私に干渉してくることは無い筈!!私の幸せアイドルプロデュース生活を邪魔するものは……もう居ない筈!!

 

 だってここにいるのはもう勇者じゃなくて……只の喧嘩自慢の男に過ぎないのだ。ならわざわざ私が手を下すまでも無い筈!!

 

「くほほ!んじゃあ私は戻るわぁ……。今戻れば私の子達のライブに間に合うかもだしねん!」

「ま……まちやがれ……逃がすわきゃ……ねぇだろうがぁ!!」

 

 ギーツはその言葉と共に、また私に向かって突進してきた。

 

 ああんもう!!見逃してあげるって言ったのに何なんだろうか?この醜男は!!

 

「そんなに死に急ぐの?ならお望みどおりに……っつ!!!」

 

 気が変わり、ギーツを殺す為に右手に毒素を溜め撃ちだそうとした瞬間……私は直ぐ様その場から飛びのいた!!

 

 そして確認すれば、私が今まで立っていた場所に巨大な斧が突き刺さっていた。………これは!!!

 

「聖斧を手放すからそんな事になるんだ阿呆が!!なにが、行け!!だ!!もう死にかけてるではないかこの役立たずが!!!」

 

 遥か高台から、さっき会場に居たイケメン勇者君がギーツに叫ぶと同時に聖弓を撃ってくる。

 一瞬で数十本撃たれた矢を慌てて回避すると、次の瞬間背中にゾクリと悪寒がした。

 

 慌てて振り向くとそこには、既に聖斧を振りかぶって私を真っ二つにしようとしているギーツの姿があった。

 その姿が……かつての戦争で私の腕を奪った勇者と重なる……!!

 

「死にさらせクソ魔族がぁ!!」

「ちぃぃぃい!!!」

 

 ギーツの渾身の一撃を、私はギリギリで回避するとそのまま毒手をギーツに突き出そうとして……イケメン勇者君の矢がその腕に突き刺さった!!

 

「あぎ!!」

「おらぁ!!!」

 

 一瞬痛みに顔を顰めた私に、ギーツの裏拳が突き刺さる!!

 

 踏ん張りもきかないまま受けてしまった私は、その一撃を回転しながら威力を殺し何とか耐える……が!そんな私にギーツは横なぎの斬撃を繰り出してくる!!

 

「終わりだァ!!!」

 

 言葉と共に渾身の一撃を繰り出してくるギーツだが……舐めるな!!!

 私は全身に魔力を巡らせ……真の力を解き放った!!

 

 次の瞬間吹き飛ばされるギーツ……、それもその筈。私が召喚した炎のチャリオットが、彼を弾き飛ばしたからだ……。

 

「んぐおお!!?」

「なに!?」

 

 イケメン勇者君が驚きの声を上げるが……やっぱり彼らは千年前の勇者達程ではないわねぇん。

 

「くほほ!!その程度で私を追い詰めたつもりぃ?甘いわねぇ……!!我が名はベリアル!!魔王直属の配下九天王の一人にして……千年前からの百戦錬磨よ?……さぁ勇者君たち?命を賭けて……かかってらっしゃい??」

 

 炎のチャリオットに乗り、天使の様な白く巨大な羽、そして私の毒をたっぷり吸収している黒く赤い槍を携え……私は彼らに言い放ったのだった!!

 

 

 ……あああ!!

 今気づいたけど、彼ら神器使ってるわよねぇ!!?

 

 んてことは……白銀の(エンシェント)ドラゴンまだ死んでないじゃなーーーい!!!やだーー!!

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