最強の黒騎士の中身がTS少女だと気づかれてはいけない理由   作:でかそう

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第84話 驚愕(魔族ベリアル視点)

 突然頭の中に鳴り響いた緊急念話の内容に、私は驚愕して固まってしまった。

 

「どうした?なぜ固まっている……。バエルとはいったい何者だ?そんな魔族……伝承には残っていないぞ!?」

 

 イケメン勇者君が、問いただす様に私に言うが……私はそれ所じゃないのよ!!

 

 何故なら魔王様直々に、魔族全体に発された緊急念話の内容は……。

 バエルの敗北……及び行方不明だったからだ……!!

 

 あ……あのバエルが敗北……!?

 私が生まれる前から存在していて……かつては神狩りすら行っていたと言われていた、あの化け物が!!?

 

 あり得ない、信じられない……!!現実味が……無さ過ぎる!!!

 

「おい!!」

「あ……ええ。バエルは……魔族最強の男よ。彼の戦闘能力は世界最強……誰も彼には勝てない……筈だったんだけど……」

「ああん?だったって……どーしたってんだよ?」

 

 ギーツが首を傾げながら聞いてくるが……私だって何が何だが解んないのよ!!!

 

 ただ一つ解る事……それは……。

 

「ねぇ勇者君、ギーツ君。……黒騎士って知ってるわよねぇ?」

「黒騎士ぃ?誰だそりゃ??」

「なぜ今黒騎士の名前が出てくる……」

 

 どうやらギーツは知らない様だが、イケメン勇者君は黒騎士と知り合いの様だ。

 

「その黒騎士が……たった今バエルを打ち倒したそうよ……」

「!!」

「??」

 

 勇者君は顔色を変え、ギーツはよく解っていないのか首を傾げる。

 

 わざわざ魔王様直々に発された念話なのだ。冗談や間違いではないのだろう……。未だに信じられないけど……。

 

 でも……もしこれが本当なら……!!!

 

「く……くほ……くほほほほほほ!!!」

「おお!?いきなりなんだァ!?」

「やっぱりもう私達が戦う必要なんてないのよぉ!!私はこれで怖いものは無くなったし、きれいさっぱり足を洗えるわぁ!!あ!!あと!!」

 

 私は掌に小さな瓶を召喚する。

 

「もう聖女が癒しちゃったみたいだけどぉ……コレ!!解毒剤よぉ!!!」

「!!?」

「き……貴様…!?」

 

 驚愕する二人に、私は頬を膨らませながら言った。

 

「もう!!だから言ったでしょぉ?……言ったっけ?まぁとにかく。私が魔王軍続けてたのは、バエルが怖かったからよ!!」

「そこまでは言ってない」

「もう!!察しなさいよ!!……ゴホン!ともかく、これでもう私の脅威は……魔王様含めていないわぁ!!」

「魔王含めて……だと……!?」

 

 バエルが居なくなって今!!本当に私の脅威はいない!!

 

 まぁ魔王様含めとは言いすぎたけど、魔王軍もバエルという最強戦力が居なくなった今、私に構っている暇は無い筈だ……!!

 

 それに私ほどでな無いにしろ、近しい実力を持っていた戦争の生き残りのザガン君も、もう居なくなっている訳だし……!!

 

 つまり私は……自由なのだ!!!

 

「これで思う存分、アイドルプロデュースに専念できるわぁ!!くほほほ!!さぁ!!急いで白銀の(エンシェント)ドラゴン……コウちゃんの所に戻るわよぉ!!というか……セントラルステージへ戻るわよ!!」

 

 こうしちゃいられないわ!!

 多分私の子達のステージは終わってるだろうけど……せめて最後の結果発表の時だけでも、側に居てあげたい……!!!

 

「ふ……ふざげるな!!このまま逃がすとでも……!!」

「んだからぁ!!逃げも隠れもしないから、一緒に行きましょ!!って言ってのよぉ!!それともまだ戦うの?あんた達がだらだらやってたから、私もうほぼ回復したんですけど??」

「まじかよ!!?」

「ええ。腕ももう生えて来てるし、魔力だって大分戻って来たもの。でも……もう戦う気なんてほんとに無いのよ!!そもそも戦いとか……野蛮だわぁ」

 

 ホントに勘弁してほしいのだ!!私は……戦い所では無いのだから!!!

 

 イケメン勇者君はまだ、全然納得いってないって顔だけど……そんなイケメン勇者君の肩をギーツを強く叩く。

 

「エイシャ殿!!先程も言った通り、こいつの事は拙者が見張っておく!!それより早くコウたんに解毒剤を……!!」

「っち!!その解毒剤が本物だと決まったわけでは……!!」

「んもう!!疑り深いわね!!ほら!!」

 

 全然信じてくれない勇者君に痺れを切らした私は、毒手でギーツを突く。……どうでもいいけどギーツってなんか性格コロコロ変わるわね……。ほんとどうでもいいけど……。

 

「ええええwww!!!?あばばばばばばwww!!!」

「ギーツ!!」

「そんでほい!」

 

 泡吹いて倒れたギーツに今度は解毒剤を飲ませる。すると……!

 

「あ!なおったwww」

「なに!?」

「はい!これが証拠よぉ!!さ!!これで信じたでしょ!!?さっさとセントラルステージへ戻るわよぉ!!私の戦車で送るから……振り落とされないでねェ!!!!」

 

 私は炎のチャリオットに乗り込み急いで走らせる。

 

 二人の勇者は慌ててチャリオットに乗り込み……少し驚愕する。

 

「あれwwwあつくないwww??」

「私が敵意の無いものには、熱くも感じないし燃えもしないのよ!!」

「!!」

「さ!!飛ばすわよぉ!!!」

 

 出発した高速のチャリオットに振り落とされない様掴まる勇者を横目に見ながら、私はこういうのも悪くないかもと思っていた。

 

 人間……魔族……。種族の違いが何だと言うのだろうか?

 生まれた場所が違う。今まで争っていた……殺し合っていた。

 

 でも……人も魔族も何か切っ掛けがあればこうやって仲良く出来るのではないだろうか?

 まぁ今回は完全に私が悪いから、どの口がって感じだけど!!

 

 ともかく私としては、もう争いなんてこりごりだ。

 大分痛い目を見たし、そんな事よりもあの子達の……皆を笑顔にする為、自分がもっと輝く為に戦っているアイドルの子達を見ていた方が全然いい。

 私の子達は当然として、他のグループの子供達も……皆一生懸命頑張っている姿を見ている方が何倍も尊いのだ。

 

 私はこれからは……おままごとと呼ばれようが、あの子達に寄り添い……守っていく為にこの力を使おう。

 

 それは恐らく聖斧の勇者……ギーツも同じ筈だ。

 

 くほほほほほ!!バエルも居なくなったし……本当に体が軽い!!

 黒騎士って人には感謝しないとねェ!!!!

 

 でも……………本当にバエル居なくなったのよね?行方不明って……どこかでひょっこり現れたりしないわよね……??

 

 一抹の不安を感じつつも……私はそれに目を瞑り、チャリオットを走らせ会場へ急ぐのであった……!!

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