IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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臨海学校二日目です。

ISの小説を読みなおそうかと思っている今日この頃。


……もうすぐでオールオリジナルになるからいっか←


93話

 

「……では、専用機組と一般生徒で分かれて作業を開始しろ」

 

 

翌日、臨海学校二日目に突入した。

 

今日は専用機組と一般生徒とが分かれてISの整備をやるみたいだ。専用機組は本国から追加パッケージが届いたりしていて、一層大変そうだ。なんでもキャノンボールファストとか言う大会用のだとか……僕は全く関与していないので、どんな大会なのかは詳しく知らないけど……レースなのかな?

 

 

「兄さんはパッケージなどはないのか?」

 

「わからない。束さんがグレードアップするとか言ってたけど、見当たらないし……」

 

「そうなのか……」

 

 

ラウラと話していると、クラリッサが近づいてくるのに気づいた。僕ではなく、ラウラに用があるようだ。

 

 

「隊長、追加パッケージの準備ができました」

 

「うむ。では、兄さん。私は行ってきます」

 

「いってらっしゃい」

 

 

ラウラに手を振り送り出す。

 

 

「将冴、今日は何をするんだ?」

 

「束さんが機体見てくれるって言ってたんだけど……」

 

 

その束さんが見当たらない。クラリッサも察してくれたようで、辺りを見回してくれるが、いないものはいない。

 

 

「どうしよっかな……」

 

「一人でやれることもないだろうしな……。っと、すまない。私は隊長の手伝いに行ってくる」

 

「うん、わかった」

 

 

クラリッサはラウラの後を追っていった。

 

 

「さて……」

 

この後はどうしようかと考えていると、遠くから何やら走ってくる。

 

あぁ、束さんだ……あれ向かってる方向に織斑先生が……

 

 

「ちぃーーーーちゃぁーーーーん!」

 

「ふんっ!」

 

「い、痛いよちーちゃん!?久しぶりにちーちゃんの愛を受けれるのは嬉しいけど、限度が、限度が!?」

 

 

アイアンクロー(いつもの)を食らって束さんは悶絶している。その場にいた生徒全員がこの光景を見て唖然としている。

 

 

「ねぇ、あれって……」

「篠ノ之束博士?」

「嘘、IS開発者の!?」

「本物を見られるなんて……」

 

 

周りの生徒がざわついている。専用機組も、僕と一夏、ラウラ以外は驚いている。

 

 

「何しに来た、束」

 

「ちーちゃんに会いに……」

 

「何しに来た?」

 

「ち、力が強くなってるよちーちゃん!?」

 

 

答えるまでアイアンクローをやめないらしい。

 

 

「しょ、しょーくんといっくんのISの様子見に来たんだよぉー!……あと、箒ちゃんにプレゼント」

 

 

最後ボソッと本当の目的言ったね。

束さんのプレゼントってことは……

 

 

「……まぁいい」

 

 

織斑先生はアイアンクローを解き、束さんを解放した。

束さんは涙目でコメカミを押さえている。

 

 

「いてて……」

 

「早く用を済ませろ」

 

「つれないなぁ、ちーちゃん。まぁ、そんなところもちーちゃんの素敵なところだけど……わわ、わかったから!すぐに終わらせるからその手を下ろして!?」

 

 

束さんを止めれるのは織斑先生だけかな……。

 

と、僕の横を誰かが通り過ぎていった。あの長いポニーテールは……箒か。

 

 

「姉さん!何してるんです!?」

 

「あ、箒ちゃん!おはよう!むふふ、おはようを言えるようになるなんて、なんだか照れくさいねぇ」

 

「て、照れくさいって……それより、こんなところで何を……」

 

「箒ちゃんの誕生日プレゼントを持ってきたんだよ」

 

「昨日言っていた……」

 

「そうそう。で、これが束さんから箒ちゃんへの誕生日プレゼント!」

 

 

束さんが右手をあげると、突然空から何かが落ちてきて砂埃をあげる。

 

あぁ……やっぱりか。

落ちてきたのは、機械の箱。その箱は駆動音を立てて開いていき、中から紅いISが姿を現した。

 

 

「これが、箒ちゃんのため第四世代型IS……『紅椿』だよ」

 

「わ、私のIS……」

 

「おい、束!」

 

 

織斑先生が声を張り上げる。

 

それはそうだ。代表候補生でもない箒が、専用機を持つことになるんだ。教師としては見過ごすことはできないだろうし、問題もある。

 

 

「第四世代って……」

「最新型ってこと?」

「篠ノ之さんがそれを貰えるってこと?」

「コネってこと?それってなんかずるくない?」

 

「何がズルいの?」

 

 

いつの間にか、束さんが女生徒との距離を詰めていた。

 

 

「え?」

 

「コネだって重要なスキルだよ。それに君達は箒ちゃんにISで戦って勝てるの?」

 

 

女生徒たちは押し黙る。

 

 

「タッグトーナメント戦の映像見たけど、箒ちゃんはいっくんに勝ってたよね?訓練機で。これを見ただけでも、箒ちゃんに力があるのは一目瞭然だよね?君はその力があるの?ねぇ?」

 

 

さらに詰め寄る束さん。本当、身内のことになると見境なくなるんだから……。

 

 

「束さん、それくらいにしてあげてください。その子も、もうわかったでしょうから」

 

「……しょーくんがそういうなら、もういいや。さぁ、箒ちゃん。初期化と最適化するから、ISに……」

 

「受け取れません」

 

 

箒の答えは意外なものだった。

束さんは笑顔のまま固まっている。

 

 

「箒ちゃん……なんで?」

 

「以前、将冴に言われました。力だけ求めても意味はないと。確かに、前の私は力さえあれば……専用機さえあればと思っていたこともあります。でも、今は……」

 

 

タッグトーナメント前に言ったことを……。ふふ、変わったね、あの時から。

 

 

「でも、箒ちゃんのために……」

 

「作ってくれたのは感謝しています。でも、今は……」

 

「大丈夫だよ、箒」

 

「え?」

 

「今の箒なら、その力を受け止められる。あの頃とは違うよ」

 

「将冴……」

 

「箒ちゃん……」

 

 

滅多に見られない束さんの不安そうな顔。レアだよレア。

 

 

「……姉さん。よろしくお願いします」

 

「うん……うん!!」

 

 

束さんはパァと顔を明るくし、箒を紅椿に乗せた。

 

 

「それじゃあ、リラックスしてね」

 

「はい」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ふむふむ、二人のISのフラグメントマップ……随分と変わった方向へ向かってるね」

 

 

箒のISの最適化に時間がかかるため、その間に僕と一夏のISを見てくれるということになった。

 

 

「というと?」

 

「んー、さすがの束さんもわからないよ。まぁ、いい方向には転がると思うよ。特に、いっくんはかなり成長してる。二次移行もそう遠くはないんじゃないかなぁ」

 

「本当ですか?束さん」

 

「いつとは断言できないけどねぇ。とりあえず、いっくんのISには問題はないよ」

 

 

一夏「には」問題がない、ね……。

 

 

「しょーくん、少し二人で話せるかな?」

 

「え、あ、はい……大丈夫ですが……」

 

 

束さんと人目を避けるように、旅館の陰に入った。

 

そんなに、重大な問題があったのだろうか……。

 

 

「それで、束さん。僕のISは……」

 

「その前に……」

 

 

ドンッ、と束さんが壁に手をつき、僕の顔の両サイドに束さんの腕が見える。

 

これは一体……

 

 

「あのドイツ女誰?」

 

「……へ?」

 

「あの、眼帯、ドイツ女、ダレ?」

 

 

眼帯追加された……クラリッサのことか。

てっきり知っているものと……

 

 

「えっと……彼女はクラリッサって言って……」

 

「名前はどうでもいいよ!」

 

 

またドンッと壁を叩く束さん。

 

 

「どういう関係かって聞いてるんだけど?」

 

「クラリッサは僕のヘルパーで、IS学園の教師です。まだ実習生だけど……」

 

「……」

 

 

束さんはジッと見つめてくる。

 

あぁ……これはもう人間不信の目ですね……。

 

 

「束さんが思ってるような関係じゃないよ……まだ」

 

 

最後は束さんに聞こえないくらい小さく呟いた……。

 

 

「……そっか。ならいいよ」

 

 

いつもの顔に戻る束さん……いやぁ、あの顔を僕に向けられるとは思わなかった……。

 

返答次第ではクラリッサが大変なことになってしまう。

 

 

「で、しょーくんのISだけど……」

 

 

ようやく本題に戻った。

 

 

「……しょーくん、スペシネフはもう使っちゃダメ」

 

「え?」

 

「しょーくんがスペシネフを動かしたからかわからないけど、あれの詳細がやっとわかったの。あれに積んであるEVL(イヴィル)バインダーは、しょーくんの負の感情が一定値に達すると起動するの」

 

「負の感情……」

 

 

確かに、あの時は怒りに身を任せていたかもしれない……。

 

だからスペシネフは……。

 

 

「そう。でも、EVLバインダーの効果はそれだけじゃなかった……EVLバインダーはしょーくんの感情に影響与える」

 

「影響?」

 

「……感情の増幅……この場合は負の感情の。今回は初めてだったから良かったけど、またスペシネフを使ったら、しょーくんは変わってしまうかもしれない」

 

「変わるって……」

 

 

理解はできてる……でも、突拍子すぎて……

 

 

「しょーくん、いい?もう感情に任せて戦うようなことはしちゃダメ……わかった?」

 

「……わかりました。要は感情を抑えればいいんですよね」

 

「うん……」

 

「多分、得意ですから大丈夫です。安心してください」

 

 

束さんは小さく微笑むが、その目には不安が映っている。

 

 

「よし、それじゃあ、気分を変えて、次にグレードアップの内容について話すよ!」

 

「はい!……って、ちょっと待ってください」

 

「ん?」

 

 

束さんの言葉を止め、耳をすますと、何やらみんながいる方が騒がしくなっている。

 

 

「何かあったんでしょうか?」

 

「さぁ?」




いろいろ詰め込みすぎたかもしれない。

スペシネフがカゲキヨに……いやまさか……
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