IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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福音戦2回目です。

登場人物が多いよう……。


96話

旅館近くに建てられた司令本部テントで、私……クラリッサは織斑先生と山田先生の3人で、前線からの情報を待っていた。

 

将冴……隊長……。

 

 

「織斑先生!更識さんから通信です!」

 

「繋げろ」

 

 

山田先生がキーボード叩き、簪と通信を繋げた。

織斑先生はインカムを通して装着する。

 

 

「更識、状況は?」

 

『作戦失敗!現在、私、凰さん以外が交戦中です』

 

「っ……そうか。それぞれの状況は?」

 

『一夏君、将冴君のシールドエネルギーが大きく減少していますが、戦闘に支障はないと思います』

 

「わかった。引き続き連絡を頼む。判断は各自に任せる。更識も臨機応変に対応しろ」

 

『了解!』

 

 

簪からの通信が切れ、織斑先生がインカムを外した。

状況は芳しくない……。

 

 

「織斑先生……私達も援護に向かったほうが……」

 

「ダメだ。あの海域を封鎖するために訓練用のISは全て出払っている……」

 

「自衛隊に応援要請は……」

 

「それも難しいだろう。出れるならとっくに出ているはずだからな……政府が何かしらの圧力をかけて自衛隊を動かしていないのだろう……」

 

 

政府が……自国を守るために作られた自衛隊だろう。今使わないでいつ使うと言うのだ!

 

 

「ちーちゃん、それはちょっと違うよ」

 

「束?」

 

 

またいつの間にか現れた篠ノ之博士。

いや、もともとこのテントにいたのかもしれない。

 

 

「政府じゃない組織が自衛隊を動かさないようにしてるんだよ」

 

「まるで知ったような口だな……その組織のこと」

 

「まぁね」

 

「……話すつもりは……無いようだな」

 

「まだ、その時じゃないよ。そうだね……しょーくんが、自力でその組織に辿り着いたら、教えてあげるよ」

 

 

将冴が?

篠ノ之博士は何を言っているんだ。

 

 

「……何か、理由があるのか?」

 

「いや……強いて言うなら、しょーくんの問題でもあるから、っていうところだね」

 

「そうか……」

 

 

それだけの会話で、織斑先生は納得してしまう。

 

織斑先生と篠ノ之博士……二人は昔からの仲だというが、それだけお互いをわかっているということなのだろうか。

 

しかし、将冴の問題というのは、どういうことだ……篠ノ之博士は何を知っているというのだ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「ラウラ、箒、僕で福音の動きを止める!シャルは一夏の護衛に。一夏、合図をしたら全力で斬りかかって!」

 

『了解!』

 

 

みんなから応答が帰ってきたと同時に、僕は瞬時加速で福音と距離を詰め、スライプナーで斬りかかる。

 

しかし、福音の反応速度が一枚上だったようだ。

掠ることもなく、悠々と回避行動を取られてしまう。

 

 

「ちょこまかと!」

 

 

僕に続き、箒も福音の後ろから斬りかかる。

それと同時にラウラがレールカノンでロックオンする。

 

刀とレールカノンの二重攻撃。これなら……

 

 

「……la」

 

 

無機質な電子音が響き、福音の姿が一瞬見えなくなる。

 

 

「なっ!?」

 

「消えた?」

 

 

空切った箒の刀と、対象を見失ったラウラが狼狽する。

 

違う、消えたわけじゃない!

 

 

「箒!上!」

 

「なに!?」

 

 

箒が頭上を見上げると、スラスターを起動し、攻撃態勢に入っている福音の姿があった。

 

今の状況では、箒は攻撃をもろに受けてしまう……。

 

 

「くっ!」

 

 

福音と箒の間に入り、先ほどと同じようにスライプナーをスライダーに変形して盾にする。

 

それと同時に、福音のエネルギー弾が放たれた。

 

 

「ぐっ……く……」

 

「将冴、無理をするな!」

 

「今しないでどうするの……」

 

 

でも、確かに無理があったかもしれない。すでにスライプナーにヒビが入っている。もともと防御用に作られたものじゃない。二回も攻撃を受ければいいほうだ。

 

あのスラスターを破壊しなければ、一夏は近づくことができない……ここは……

 

 

「ラウラ。僕はこのまま福音に突っ込んで、背中のスラスターを無力化する。ラウラはスラスターを破壊したのを確認してから、AICで福音の動きを止めて」

 

「突っ込むなんて、危険が過ぎるぞ!兄さん!」

 

 

ラウラは弾幕を掻い潜りながらも、そう叱責してくる。

僕はそれを無視し、箒の方を向いた。

 

 

「箒は一夏の元へ。2人で福音を撃墜するんだ」

 

「将冴!」

 

「頼むよ!」

 

 

僕はスライプナーを盾にしたまま、ブースターを吹かす。

 

弾幕が僕に集中し、スライプナーにかかる負荷が大きくなる。

 

 

「うぅ、らあぁぁぁ!!」

 

 

十分に近づいたところで、スライプナーを盾にせずにブルースライダーを起動。

 

エネルギー弾が何発も僕にぶつかる。だけど、止めるわけにはいかない!

 

 

「これで!」

 

 

ブルースライダーを福音にぶつけると同時に、スライプナーが音を立てて砕けた。でもおかげで十分に近づけた。

 

一気に加速しバーティカルターンで福音の背後に回りつつ、手にボムを持ち、福音を羽交い締めにする。

 

 

「その羽、僕がもらうよ」

 

 

ボムを僕と福音の間に挟む。

元からこうするつもりだった。

 

至近距離で挟まれる形で爆発したボムの威力は、通常よりも格段に高い。

 

福音のスラスターは砕け、僕は大きな衝撃とともに吹き飛ばされる。テムジンの右腕もなくなっていた。

 

手放しそうになる意識をなんとか保ち、福音の姿を見たとき、僕は目を疑った。

 

 

「そん……な……」

 

 

福音の頭部装甲が割れ、中から女性の顔が見えていた。

 

無人機ではなかったのか!?

 

すでに、ラウラがAICを発動して、一夏と箒が攻撃を仕掛けようとしている。

 

 

「ま、待って!」

 

 

僕の声は届かず、一夏と箒の剣が福音を切り裂き、福音のシールドエネルギーが底をついた。

 

エネルギーが尽きた福音は、そのまま海へと落下した。

 

 

「くっ!」

 

 

僕は福音を追い、海へと向かった。

 

 

「将冴!?」

 

「兄さん、何を!?」

 

「福音は無人機じゃない!」

 

 

海面ギリギリでそう答えると同時に、水面が大きな水柱を立て、僕は弾き飛ばされた。

 

 

「うわっ!?」

 

「兄さん!大丈夫か!?」

 

 

なんとか体勢を立て直す。

 

 

「大丈夫……でも、何が……」

 

 

再び水面を見ると、まるでクレーターのように水面が蒸発していた。その中心には……

 

 

「福音……?」

 

「どうなっているんだ!?」

 

 

一夏と箒が狼狽するような声をあげる。

 

 

『何が起こっていますの?』

 

 

遠距離から見ていたセシリアさんから通信が届く。

 

おそらくここにいるみんな、何が起こっているかわかっていない。

 

僕は徐に、簪さんに通信を繋げた。

 

 

「簪さん。先生たちに伝えて……福音が二次移行(セカンドシフト)した」




まだ戦闘続きます。

今回の戦闘、あと2〜3は続く可能性があります。
作者頑張ります。
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