登場人物が多いよう……。
旅館近くに建てられた司令本部テントで、私……クラリッサは織斑先生と山田先生の3人で、前線からの情報を待っていた。
将冴……隊長……。
「織斑先生!更識さんから通信です!」
「繋げろ」
山田先生がキーボード叩き、簪と通信を繋げた。
織斑先生はインカムを通して装着する。
「更識、状況は?」
『作戦失敗!現在、私、凰さん以外が交戦中です』
「っ……そうか。それぞれの状況は?」
『一夏君、将冴君のシールドエネルギーが大きく減少していますが、戦闘に支障はないと思います』
「わかった。引き続き連絡を頼む。判断は各自に任せる。更識も臨機応変に対応しろ」
『了解!』
簪からの通信が切れ、織斑先生がインカムを外した。
状況は芳しくない……。
「織斑先生……私達も援護に向かったほうが……」
「ダメだ。あの海域を封鎖するために訓練用のISは全て出払っている……」
「自衛隊に応援要請は……」
「それも難しいだろう。出れるならとっくに出ているはずだからな……政府が何かしらの圧力をかけて自衛隊を動かしていないのだろう……」
政府が……自国を守るために作られた自衛隊だろう。今使わないでいつ使うと言うのだ!
「ちーちゃん、それはちょっと違うよ」
「束?」
またいつの間にか現れた篠ノ之博士。
いや、もともとこのテントにいたのかもしれない。
「政府じゃない組織が自衛隊を動かさないようにしてるんだよ」
「まるで知ったような口だな……その組織のこと」
「まぁね」
「……話すつもりは……無いようだな」
「まだ、その時じゃないよ。そうだね……しょーくんが、自力でその組織に辿り着いたら、教えてあげるよ」
将冴が?
篠ノ之博士は何を言っているんだ。
「……何か、理由があるのか?」
「いや……強いて言うなら、しょーくんの問題でもあるから、っていうところだね」
「そうか……」
それだけの会話で、織斑先生は納得してしまう。
織斑先生と篠ノ之博士……二人は昔からの仲だというが、それだけお互いをわかっているということなのだろうか。
しかし、将冴の問題というのは、どういうことだ……篠ノ之博士は何を知っているというのだ。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「ラウラ、箒、僕で福音の動きを止める!シャルは一夏の護衛に。一夏、合図をしたら全力で斬りかかって!」
『了解!』
みんなから応答が帰ってきたと同時に、僕は瞬時加速で福音と距離を詰め、スライプナーで斬りかかる。
しかし、福音の反応速度が一枚上だったようだ。
掠ることもなく、悠々と回避行動を取られてしまう。
「ちょこまかと!」
僕に続き、箒も福音の後ろから斬りかかる。
それと同時にラウラがレールカノンでロックオンする。
刀とレールカノンの二重攻撃。これなら……
「……la」
無機質な電子音が響き、福音の姿が一瞬見えなくなる。
「なっ!?」
「消えた?」
空切った箒の刀と、対象を見失ったラウラが狼狽する。
違う、消えたわけじゃない!
「箒!上!」
「なに!?」
箒が頭上を見上げると、スラスターを起動し、攻撃態勢に入っている福音の姿があった。
今の状況では、箒は攻撃をもろに受けてしまう……。
「くっ!」
福音と箒の間に入り、先ほどと同じようにスライプナーをスライダーに変形して盾にする。
それと同時に、福音のエネルギー弾が放たれた。
「ぐっ……く……」
「将冴、無理をするな!」
「今しないでどうするの……」
でも、確かに無理があったかもしれない。すでにスライプナーにヒビが入っている。もともと防御用に作られたものじゃない。二回も攻撃を受ければいいほうだ。
あのスラスターを破壊しなければ、一夏は近づくことができない……ここは……
「ラウラ。僕はこのまま福音に突っ込んで、背中のスラスターを無力化する。ラウラはスラスターを破壊したのを確認してから、AICで福音の動きを止めて」
「突っ込むなんて、危険が過ぎるぞ!兄さん!」
ラウラは弾幕を掻い潜りながらも、そう叱責してくる。
僕はそれを無視し、箒の方を向いた。
「箒は一夏の元へ。2人で福音を撃墜するんだ」
「将冴!」
「頼むよ!」
僕はスライプナーを盾にしたまま、ブースターを吹かす。
弾幕が僕に集中し、スライプナーにかかる負荷が大きくなる。
「うぅ、らあぁぁぁ!!」
十分に近づいたところで、スライプナーを盾にせずにブルースライダーを起動。
エネルギー弾が何発も僕にぶつかる。だけど、止めるわけにはいかない!
「これで!」
ブルースライダーを福音にぶつけると同時に、スライプナーが音を立てて砕けた。でもおかげで十分に近づけた。
一気に加速しバーティカルターンで福音の背後に回りつつ、手にボムを持ち、福音を羽交い締めにする。
「その羽、僕がもらうよ」
ボムを僕と福音の間に挟む。
元からこうするつもりだった。
至近距離で挟まれる形で爆発したボムの威力は、通常よりも格段に高い。
福音のスラスターは砕け、僕は大きな衝撃とともに吹き飛ばされる。テムジンの右腕もなくなっていた。
手放しそうになる意識をなんとか保ち、福音の姿を見たとき、僕は目を疑った。
「そん……な……」
福音の頭部装甲が割れ、中から女性の顔が見えていた。
無人機ではなかったのか!?
すでに、ラウラがAICを発動して、一夏と箒が攻撃を仕掛けようとしている。
「ま、待って!」
僕の声は届かず、一夏と箒の剣が福音を切り裂き、福音のシールドエネルギーが底をついた。
エネルギーが尽きた福音は、そのまま海へと落下した。
「くっ!」
僕は福音を追い、海へと向かった。
「将冴!?」
「兄さん、何を!?」
「福音は無人機じゃない!」
海面ギリギリでそう答えると同時に、水面が大きな水柱を立て、僕は弾き飛ばされた。
「うわっ!?」
「兄さん!大丈夫か!?」
なんとか体勢を立て直す。
「大丈夫……でも、何が……」
再び水面を見ると、まるでクレーターのように水面が蒸発していた。その中心には……
「福音……?」
「どうなっているんだ!?」
一夏と箒が狼狽するような声をあげる。
『何が起こっていますの?』
遠距離から見ていたセシリアさんから通信が届く。
おそらくここにいるみんな、何が起こっているかわかっていない。
僕は徐に、簪さんに通信を繋げた。
「簪さん。先生たちに伝えて……福音が
まだ戦闘続きます。
今回の戦闘、あと2〜3は続く可能性があります。
作者頑張ります。