IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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福音ラストです。

イヤァ、大変だった……


今日は連続投稿します。


98話

 

作戦海域から離れ、旅館のある海岸へ向かう。

 

エネルギーが心許ないし、僕自身の体力もかなり限界が来ていた。相打ち覚悟のボム攻撃、福音の弾幕……エネルギーが尽きていないのが奇跡のようなものだ。束さんがバージョンアップしてくれたおかげだろうか……。

 

身体中が痛い……特に背中。少し湿っている感じがする……。

 

 

「う……ん……」

 

 

左腕で抱きかかえていた女性が目を覚ましたようだ。……福音からのメッセージによると、ナターシャさんという名前らしい。

 

 

『ここは……』

 

 

英語で小さく呟いた。日本語わかるかな?

 

 

「目が覚めましたか?」

 

「日本語……あなたは誰?……私、銀の福音(あの子)のテスト運用でハワイにいたはずじゃ……」

 

 

僕は今回のことを全て話した。

 

福音の暴走、アメリカから無人機として撃墜命令が出ていたこと、福音がナターシャさんを助けたこと。

 

 

「そう……あの子が……」

 

「すみません……今の福音は撃墜するしかありません」

 

「君が謝ることじゃないわ。自己紹介がまだだったわね。私はナターシャ・ファイルス」

 

「柳川将冴、です」

 

「ショウゴ……君はあの男性操縦者なの?声だとどっちかわからなかったわ」

 

 

僕ってそんなに中性的な声していたのかな……自分で聞こえている自分の声と他人が聞いている声は違うというけど……

 

 

「ねぇ、あの子はまだ……」

 

「今、僕の仲間が戦闘中、です……僕は、ご覧の有様なので」

 

 

右腕がなくなって、走行もボロボロ。エネルギーがいつ切れるかわからないほどカツカツの状態だ。僕自身もだ。

 

さっきから意識が朦朧としてきている。

 

 

「大丈夫?息が荒いけど……」

 

「正直、結構辛いです……でも、もう大丈夫だと思います。海岸が見えました」

 

 

昨日、みんなが遊んでいた海岸が見えた。

エネルギー残量は……ギリギリと言ったところかな。低空飛行にして、エネルギーが無くなって落ちてもいいように……

 

僕の意識もなんとか……

 

 

「ナターシャ、さん……海岸に着いたら、織斑先生の指示に従ってください……先生なら、ちゃんと保護を……」

 

「君、もう限界なんじゃ……」

 

「信号は出しました……これで先生が……」

 

 

救援信号を出した瞬間、僕の意識は暗転し、そのまま砂浜落ちた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

将冴からの救援信号は、すぐ近くの海岸から出た。

それと同時に、砂浜から何かが落ちるような音が響いた。

 

私……千冬はすぐに立ち上がり、砂浜へ駆け出した。クラリッサも一緒にだ。

 

 

「将冴!」

 

 

砂浜には義肢をつけていない状態の将冴を抱きかかえるブロンドの女がいた。

 

 

「ねぇ、君!しっかりして!」

 

 

よく見ると、将冴の背中から血が流れている。

 

頭の中が真っ白になるような……そんな感覚に陥ったが、早く治療を!

 

 

「クラリッサ!すぐに治療の準備を!」

 

「将冴……そんな……」

 

「しっかりしろ!クラリッサ!」

 

 

クラリッサの頬に平手を打ち付けた。少し正気に戻ったのか、ようやく私の目を見た。

 

 

「助けたいなら動け!早くしろ!」

 

「は、はい!」

 

 

クラリッサは旅館に走っていく。

私はブロンドの女性に近づく。

 

 

「あなた、ブリュンヒルデ……彼、背中から」

 

「分かっている。今治療の準備をしている」

 

 

女性から将冴を受け取る。

 

 

「お前の身柄は、IS学園が預かる。とりあえず付いて来い」

 

「分かった……」

 

 

将冴……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

将冴が離脱し、俺……一夏は焦っている。

 

福音を一度撃墜できたのは将冴が司令塔になっていたからだ。でも今は、福音の弾幕を避け続けることしかできない。

 

 

「くっ!どうするの!?一度撤退したほうが……」

 

「ダメだ、それじゃあ被害が出ちまう!」

 

「じゃあどうするのだ!」

 

 

シャルロットが撤退を勧めるのもわかる。でも、それじゃ被害が……。

 

 

「将冴がいれば……」

 

 

悔しいけど、将冴は強い。誰もがそういうはずだ。

将冴がいればこの状況も……。

 

 

「一夏!あんたヘタレたこと言ってんじゃないわよ!」

 

「鈴?」

 

「私の知ってる一夏は、将冴と同じくらい頼りになる男なんだから!シャキッとしなさい!」

 

「鈴の言う通りだ!私を初めて助けてくれたのは一夏、お前なんだ!」

 

「箒まで……でもこの状況でどうすれば!」

 

 

俺は将冴のように考えられない……的確な指示なんて出すことができない。

 

 

「一夏さんは一人じゃありません!」

 

「セシリア、なんで前線に!」

 

「私だって、代表候補生ですわ。後ろでこそこそするのは、もう飽きてしまいましたわ。さぁ、ブルーティアーズ!ダンスのお時間ですわ!」

 

 

セシリアのBT兵器、ブルーティアーズが福音の弾幕を躱しながら福音に攻撃を加えていく。弾幕の影響で、威力は下がっているが、確実に福音に当てている。

 

 

「僕とラウラだっているんだから、しっかりしてよ!」

 

「織斑先生の弟だろう!維持を見せろ!一夏!」

 

 

シャルロットがアサルトライフルで福音に応戦し、ラウラは弾幕を掻い潜りAICで福音の動きを止めようとしている。

 

度重なる妨害で、福音の弾幕が止まった。

 

 

「みんな……」

 

「一夏、まだ将冴がいればと思うか?」

 

 

そうだ。将冴だって一人で戦っていたわけじゃない。

 

みんなと協力している。

 

 

「いいぜ、やってやる!」

 

 

その瞬間、白式が光り輝く。

 

似ている。初めて白式に乗って、一次移行した時と。

 

 

「箒!手伝ってくれ!」

 

「ああ!」

 

 

箒の手を取ると、白式が輝きを増す。

それと同時にエネルギーが回復していく。

 

 

「これは……」

 

「紅椿の単一能力……『絢爛舞踏(けんらんぶとう)』?」

 

 

なんだかよくわかんないけど、ちょうどいい!

 

 

「いっくぜぇ!白式!」

 

 

頭に流れてくる……新しい力の使い方が!

 

 

「くらいなさい!」

 

 

鈴の衝撃砲が、福音を弾き飛ばし……

 

 

「貫いて!」

 

 

シャルロットのパイルバンカーが福音の背中に打ち出され……

 

 

「まだダンスは終わりませんわよ!」

 

 

セシリアのBT兵器とビームライフルが、的確に手足を撃ち抜き……

 

 

「兄さんのお返しだ!」

 

 

ラウラのレールカノンが連続で火を噴き……

 

 

「はぁぁぁ!」

 

 

箒の二本の刀が黒いエネルギーの翼を切り裂いた。

 

 

「一夏!今だ!」

 

「うおぉぉ!」

 

 

白式の左腕が変形し、銃口が現れる。

それと同時に網膜投影で名前が現れる。

 

多機能武装腕『雪羅』

 

 

「吹き飛べぇ!」

 

 

雪羅から放たれた荷電粒子砲が、福音を包み込んだ。

 

 

「福音の反応消失……」

 

 

俺たちは勝った。




くぅ、疲れました。

次は臨海学校のエピローグ的な感じになります。
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