IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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とうとうナンバリングも100話到達。
いやはや、ここまで続くとは……。
これからも頑張ります。


昨日、3話も更新したから、今日はいいかなとか考えてしまいましたが、ちゃんと更新させていただきます。


100話

 

臨海学校から帰ってきて数日。

今日は7月31日で終業式。午前中で学校は終わった。

 

明日から8月いっぱいは夏休み……みんな帰省するようで、学校に残るのはごく僅か。一組のみんなも浮き足立っている感じだ。

 

僕は帰省する家はないし、夏休みのほとんどは学園で過ごす予定……だったのだけれど……。

 

 

「将冴、お前に手紙だ」

 

 

ホームルームが終わった後、クラリッサが僕に手紙を渡してくれた。これは……エアメール?

 

差出人を見ると、そこにはナターシャさんの名前が……。

 

 

「留学の件かな……」

 

「本当に行くのか?篠ノ之博士のラボにも行くと言っていただろう」

 

「うん、あとチケットが取れればドイツにも行こうと思ってる」

 

「ドイツに?初耳だぞ!」

 

「ラウラが帰国するのに合わせて行こうと思ってね。ラウラに頼んでおいたんだ。クラリッサも帰国する予定だったんでしょ?」

 

「そうだが……一言くらい言ってくれたって」

 

 

頬を膨らませて、ふてくされるクラリッサ。

ドイツにいた頃だと、あまり見ることができない顔だ。

 

 

「ふふ、ごめんね。空港のチケット取れるかわからなかったし、留学とのスケジュール調整しなきゃいけなかったから」

 

「そうか……それで、留学の日程はどうなっているんだ?」

 

「ちょっとまってね」

 

 

エアメールの封筒を開き、中身を見てみる。中には2枚の紙が入っていた。

 

1枚は留学に関する諸々の手続きのこと。もう1枚はナターシャさんからの手紙のようだ。こちらは後で見よう。

 

 

「えっと……8月15日から21日までってなってるね」

 

「私とラウラ隊長がドイツへ戻るのが、8月8日からだ」

 

「となると……ドイツからアメリカに行く感じで日程立てようかな。で、留学が終わり次第、束さんの所に行こうかな。はは、予定びっしりだ」

 

「手続きが面倒だな……日本から出るのにも、諸々手続きが……」

 

「ああ、それなら大丈夫。そうなること予想していたから、ほとんどの手続き終わらせてるから」

 

「手が早いな……」

 

「こうなるってわかっていたし」

 

 

往往にして、手続きというのは面倒なものなのは知っている。日本は、そういう手続きに関してはうるさいし。

 

まぁ、夏休みの予定はこれで埋まった。

今のうちに荷造りしておこう。あとナターシャさんと束さんに連絡しなきゃ。

 

ああ、そうそう。ドイツ行く前に背中の怪我を見てもらわなきゃ。今日の午後は予定ないし、保健室に行こう。

 

 

「クラリッサ、保健室までお願いできる?」

 

「ああ。怪我の具合を見に行くんだな?」

 

「うん、もう良くなったと思うけど、日本を離れる前にね」

 

「わかった。車椅子、動かすぞ」

 

「ありがとう」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「傷は塞がってるわね」

 

 

保健室で上半身の服を脱ぎ、背中を滝沢先生に見せていた。

 

結構大きな怪我だったので、痕が残るらしい。

 

あ、クラリッサは保健室の外で待ってもらっている。

 

 

「もう包帯はとっていいわね。ISに乗っても問題ないわよ」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「薬も必要ないわね。夏休みは日本を離れるんですって?」

 

「ええ。なのでその前に見てもらおうと思って」

 

「いい心がけね。この学園の生徒って、結構自分の体のこと考えない子が多いから」

 

 

はは……僕の怪我はその結果なんですが……。

まぁ、言わないでおこう。

 

 

「それにしても、いつ見ても体出来上がってるわね」

 

 

僕の体を見て、滝沢先生がそう聞いてくる。最近鍛えれてないんだけどなぁ……。

 

 

「いい体してる。これからも維持してね?」

 

「あはは……そうします」

 

 

とりあえず、早く服を着よっと……。

 

 

「将冴、終わったか?」

 

 

クラリッサが保健室の扉を開けて中には入らず聞いてくる。

 

 

「うん、もう終わったよ。待たせてごめんね」

 

「いや、構わない。この後は?」

 

 

この後……まだ、時間あるんだよなぁ……。

 

そうだ

 

 

「ちょっと行きたいところあるんだけど、いい?」

 

「ああ、どこだ?」

 

「僕の前住んでいた場所」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

外出届けを提出し、学外に出た。

 

 

「遠いのか?将冴の住んでいた場所というのは」

 

 

モノレールが目的の駅まで着いたところで、隣を歩くクラリッサが尋ねてくる。いつも通り、モノレールでは車椅子は場所をとるので僕は義肢を全部つけている。

 

 

「ううん、歩いて5分くらいだよ」

 

 

駅近というのは便利だなぁ。

 

 

「将冴がドイツに来る前に住んでいた家か……」

 

「政府が押収したって聞いたな。ほら、重要人保護プログラムで。今は無人だって」

 

「どうして、今ここに?」

 

「中学の時は政府の人に監視されてたし、IS学園に来てから忙しかったからね」

 

 

本当はもう少し早く来たかったんだけど。

 

今日はちょうど良かった。お盆も近いし……

 

 

「あ、ここだよ」

 

 

ついたのは2年ぶりの我が家……

 

手入れはあまりされていないのか、周りの雑草は伸び放題だ。

 

でも、建物はそのままだ。

 

 

「ここが……」

 

「鍵空いてるかな?」

 

 

玄関の扉に手をかけると、鍵がかかっていないようで、すんなり扉が開いた。

 

 

「さすがに埃っぽいかな」

 

「失礼する……」

 

 

クラリッサも家の中に入る。

 

僕は靴を脱いで、リビングの方へ向かう。

 

 

「あ、クラリッサは土足のままでいいよ」

 

「そういうわけにもいかないだろう」

 

 

クラリッサも靴を脱ぐ。

 

足が埃だらけになっちゃうんだけど……。

 

 

「クラリッサがいいならいいけど……ここがリビング。何もないけどね」

 

 

広い空間には何も置いておらず、ひどく寂しい。

 

 

「物がないと、違う部屋みたい……」

 

「将冴……」

 

「何だろう、ひどく物悲しい……」

 

 

つぅっと、目から涙が流れる。

 

 

「あれ、おかしいな……埃が沁みたかな……」

 

「……」

 

 

クラリッサが後ろから抱きしめてくる。

 

 

「今は私しかいない……強がるな」

 

「クラリッサ……」

 

「お前は滅多に泣かない。私の前でくらいは泣いてくれ」

 

「……うん、ありがとう……」

 

 

声には出さず、涙を流し続けた。




そろそろ将冴を泣かせたかった。

クラリッサ、いいところ持って行きました。
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