IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

113 / 280
最近、クラリッサと将冴の絵を描いてみたいと思っているんですが……絵心なさ過ぎて断念しました。

書くのと描くのでは、どうしてこうも違うのかしら……。


今回は視点変更多いです。


101話

 

しばらくし、日も暮れた頃にようやく涙がとまった。

 

泣いている間、ずっとクラリッサが後ろから抱きしめてくれた。

 

……よく考えると結構恥ずかしい。

 

 

「……ごめんね、クラリッサ。恥ずかしいところを……」

 

「もう、大丈夫か?」

 

「うん、ありがとう。そろそろ帰ろうか。暗くなってきちゃったし」

 

 

赤くなった目を見せたくないので、先に家を出た。

 

 

「……いっつつ……」

 

 

義肢を長くつけすぎたようだ。頭痛がする。車椅子を出して義足を拡張領域にしまう。

 

 

「くっ、足の裏が埃だらけに……」

 

 

かすかに玄関からクラリッサの声がする。だから靴のままでいいって言ったのに。

 

ほどなくして、玄関の扉が開きクラリッサが出てきた。

 

 

「待たせた。車椅子にしたのか?」

 

「ちょっと頭痛がね。さ、早く帰ろう」

 

「あ、ああ……」

 

 

クラリッサが車椅子を押してくれる。

 

門限に間に合うかな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

学園についたのは門限ギリギリだった。

私……クラリッサと将冴は、すぐに食堂へ向かう。

 

いつもより人数が少ない気がする……まぁ、今日のうちに帰る者もいるのだろう。

 

将冴を車椅子用の席に連れて行く。

 

 

「将冴、何を食べる?」

 

「クラリッサと同じのにしようかな」

 

「私もまだ決めていないぞ?」

 

「クラリッサと同じものが食べたい気分なの」

 

「え……」

 

 

まっすぐ言われた……か、顔が熱い……今まで将冴がこんな事を言ったことがあったか?

 

……いや、ない。

 

 

「クラリッサ?」

 

「え、あ……す、すぐに持ってくる!」

 

 

どうしたんだ、今日の将冴は……いつもあんなこと言わない。あれは本当に将冴なのか?

 

と、とりあえず、食券を……何がいいだろうか?こ、これは、将冴の好物を覚えているか試されているのか?

 

将冴は何が好きだっただろう……今までの夕食を思い出すんだ、クラリッサ。

 

麻婆豆腐定食、和定食、洋定食、ラーメン、蕎麦、うどん、カツ丼、雑炊……

 

ダメだ、いつもバラバラだ。将冴は学食のメニューを制覇しているのではないだろうか?

 

うう、どうすれば……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

クラリッサに夕食を任せてしまったけど……

 

 

「なんであんなこと言っちゃったんだろ」

 

 

自分でもよくわかっていない。

 

家に行ったから……とか?

 

そういえば……

 

 

「まだ返事、してなかったな……」

 

「なんの返事?」

 

「へ?」

 

 

突然声をかけられ顔を上げると、そこには鈴が腕を組んで立っていた。

 

 

「り、鈴……こんばんは」

 

「ん、こんばんは。それで返事ってなんのことなの?」

 

 

鈴が僕の前の席に座った。

 

 

「鈴、夕食は?」

 

「もう食べた。それで返事って?」

 

「やけに聞いてくるね……」

 

「将冴が珍しく悩んでるみたいだから気になって」

 

「えっと……」

 

 

立場的にも面倒になるし、言いたくない。

でも、こうなった鈴は、どうにかして聞き出そうとしてくる……。

 

さて、どうしたものか……。

 

 

「……言いたくないこと?」

 

「できれば……」

 

「珍しく将冴に有利に立てそうだから却下で」

 

「だよね……」

 

 

はぁ……まぁ、鈴なら誰にも言わないだろうし……。

 

 

「返事って言うのは、クラリッサにで……」

 

「もしかして……」

 

「一度、クラリッサに告白されてます……」

 

「まだ付き合ってなかったの!?」

 

 

え、そっち?

 

 

「傍目から見たらそう見えるの?」

 

「それ以外にどう見えるのよ!いつも一緒だし、部屋も一緒だし、学園に来た時に将冴の嫁宣言したんでしょ?」

 

「いやまぁ、そうなんだけど……」

 

「まぁいいわ……それで、いつ告白されたの?」

 

「ドイツ離れるときだから、1年前かな……」

 

「あんたどんだけ待たせてんのよ……」

 

「なんとなく鈴には言われたくないんだけど……」

 

「それは今はいいのよ!」

 

 

えぇ、理不尽じゃない?

 

 

「なんで返事しないのよ」

 

「ドイツから帰った頃は、クラリッサと連絡取れる手段なかったからで、今は立場的な問題もあるでしょ?生徒と教師で」

 

「一緒に暮らしていて何言ってのよ」

 

「いや、そうなんだけど……」

 

「それに、き、き、キスだってしていたじゃない!」

 

「あれはクラリッサからで……」

 

「うるさい!」

 

 

えぇ……。

 

 

「あんたはどうなの?ハルフォーフ先生のこと」

 

「僕は……」

 

 

僕はどう思ってるんだろう?

そりゃ、好きだけど、恋愛感情なのか……。

 

 

「あんた、よくそんなで私にとやかく言えたわね」

 

「ははは……」

 

 

おっしゃる通りで……。

 

 

「かといって、私が言えることでもないんだけど……」

 

「一夏の場合は特殊だから仕方ないよね」

 

「それもそうなんだけどさ……」

 

 

お、話をすり替え……

 

 

「で、いつ返事するの?」

 

 

れなかった。

 

 

「……まだ、かな」

 

「あんたって、結構ちんたらするのね」

 

「何も言い返せない……」

 

「……あんたを言い負かすのって初めてかも」

 

 

そこ、感動するところ?

 

と、ここでクラリッサが夕食を持って戻ってきた。

 

 

「将冴、すまない待たせた。凰もいたのか」

 

「はい。あ、でももう失礼します。将冴、また聞かせてもらうから」

 

「お手柔らかに……」

 

 

鈴は食堂を出て行った。

 

 

「何か話をしていたのか?」

 

「ちょっとね……」

 

「?そうか。っと、冷めないうちに食べよう」

 

 

クラリッサが僕の前に料理を置いた。

 

 

「カレーうどん?」

 

「その……何がいいかわからなくてな……」

 

 

クラリッサは恥ずかしそうな顔をして僕の隣に座る。

 

 

「将冴が食べているのを見たことないもの選んだのだが……嫌いだったか?」

 

「ううん。好きだよ、カレーうどん。確かにしばらく食べてないかも」

 

「そうか、なら良かった」

 

「それじゃ、いただきます」

 

 

服にはねないように、ゆっくりとカレーうどんを食べ始める。

 

クラリッサが食べるのに苦戦しているの横目で見ながら。




難産でした……。
明日は更新できないかもしれません。
できるだけ、更新できるようにします。


全ページに挿絵入れたいなぁ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。