IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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あんまりノンビリしていると、ドイツに行くタイミング逃しそう。今回と次で遊園地終わりだと思います。

やりたいことを詰め込みます。


105話

「クラリッサ、大丈夫?」

 

 

一夏の家に行った翌日。

クラリッサが朝帰りしてきた。なんでも、千冬さんと山田先生と何軒もハシゴしたらしい。

 

 

「大丈夫だ……」

 

 

クラリッサに肩を貸し、ベッドに座らせる。

完全に二日酔いだね……。

 

 

「待ってて、今水持ってくる」

 

「すまない……」

 

 

僕は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しコップに入れた。

あいにく、二日酔いに効く薬なんかは常備してないから、水を飲ませるしかない。

 

 

「はい、クラリッサ」

 

 

クラリッサは少しずつ水を飲む。

 

 

「ありがとう。こんなに飲んだのは初めてでな……織斑先生と山田先生に圧倒された」

 

「クラリッサ、あんまり飲めなさそうだもんね」

 

「少しずつ飲んでいたから、この程度で済んだが……あれ以上は考えたくないな」

 

 

クラリッサの顔が青ざめる。

織斑先生も山田先生も酒豪みたいだからね……。

 

 

「まぁ、水飲んで、今日はゆっくり休みなよ。僕は出かけてくるから」

 

「私も……」

 

「だーめ。クラリッサは寝なさい。大丈夫、シャルとラウラが一緒だから」

 

「……そうか。楽しんできてくれ」

 

「うん。何か食べたいものとかあったらメールしてね。帰りに買ってくるから。ちゃんと水分取ってね」

 

「ああ、ありがとう」

 

「それじゃあ、行ってくるからね」

 

 

クラリッサは弱々しい笑みを浮かべると、僕に手を振って見送ってくれた。

帰りにゼリーとか買って行こうかな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

正門前でシャル、ラウラと合流し遊園地へ向かう。

 

モノレールやバスを乗り継いで、目的地に着く。

周りの目が僕の方を見ている気がする。

今日はずっと義足で過ごすつもりでいたけど、両腕がないのは目を引いちゃうかな……

 

 

「兄さん、どうかしたか?」

 

「ん?いや、なんでもないよ。チケット買ってくるから、シャルと待ってて」

 

「僕たちも行くよ。将冴に奢ってもらってばかりだから、自分の分くらいは自分で払うよ」

 

 

シャルに行動を読まれてしまっていた。

こういう時は男が払ってあげるものだと思っていたんだけどなぁ……。

 

結局、チケットはそれぞれ自分の分を買い、遊園地に入った。

 

 

「おぉ、これが遊園地か」

 

 

ラウラが楽しそうな声をあげる。ふふ、軍育ちのラウラは初めてだろうからね。

 

 

「兄さん、人がいっぱいだ!」

 

「そうだね。さ、何に乗る?フリーパスだから好きに遊べるよ」

 

「そ、そうだな……」

 

 

ラウラはキョロキョロと辺りを見回す。

たくさんのアトラクションに目移りしてしまっているみたいだ。

 

 

「ねぇ、遊園地に来たんだから、あれに乗ろうよ」

 

 

そう言ってシャルが指差したのは、フリーフォール。

高い塔の上から一気に落ちるアトラクションだ。

 

 

「そうだね。行こっか。並んでないみたいだし」

 

「うむ!」

 

 

ラウラが走って行ってしまい、僕とシャルは慌てて追いかける。本当に子供みたいだな。

 

すぐに着いたフリーフォールは、近くで見ると中々の高さがあり、ラウラが僕の横で息を飲んだ。

 

 

「た、高いな……」

 

「そういうアトラクションだしね。さ、乗ろうか」

 

「ほら、ラウラ行こう」

 

 

僕とシャルの間にラウラを挟むようにして座り、アトラクションの注意アナウンスが流れる。さすがに危ないので、僕は義手をつけた。

 

 

「な、なんだかドキドキしてきたぞ……」

 

「ISのスピードに比べたら問題ないよ」

 

「し、しかし……絶対防御があるわけでは……」

 

「あ、登るよ」

 

「うわぁ!」

 

 

ガタンとアトラクションが動き始め、僕ら少しずつ塔を登っていく。

 

 

「に、兄さん……」

 

「何?」

 

「どこまで登るのだ、これは……」

 

「一番上まで」

 

「ラウラ、大丈夫だよ。そう滅多に故障なんてしないから……多分」

 

「た、多分って」

 

「あ、一番上に着くよ」

 

 

塔のてっぺんまでたどり着き、動きが止まる。

いやぁー、いい景色だなぁ。

 

 

「あ、ラウラ見て。IS学園が見えるよ」

 

「ど、どこだ……?」

 

 

ラウラは気を紛らわそうとしているのか、必死にIS学園を探している。

 

でも残念。

 

 

「あ、落ちるよ。口閉じてね」

 

「え?」

 

 

ガコンという音とともに、僕たちは落ちた。

 

 

「あっははは!」

 

「ぐぬぬぅ!?」

 

「きゃぁぁ!?」

 

 

その後何度か上下に動いたフリーフォールは、地面にゆっくりと降りていった。

 

 

『お疲れ様でした〜』

 

 

アナウンスの声とともに、セーフティが外された。

僕は腕を戻し、アトラクションから降りた。

 

 

「いやぁ、楽しかったね」

 

「兄さんの楽しいの基準がわからない!」

 

「結構早かったね。僕も少し怖かったよ」

 

 

きゃぁぁ!って言ってたもんね、シャル。

 

ラウラは涙目になってるし。

 

 

「将冴、落ちながら笑ってるんだもん。どうかしちゃったのかと思った」

 

「だって楽しくない?」

 

「私はそうは思わなかったぞ、兄さん……」

 

 

あら、この気持ちは誰もわかってくれないみたいだ。

 

 

「まぁ、気を取り直して、違うの行こう」

 

「ラウラ、行きたいのある?」

 

「そうだな……あれがいい」

 

 

そう言って指差したのは、遊園地ではおなじみジェットコースターだった。

 

あーあ、ラウラまた怖いものを……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「落ちるのじゃなければ大丈夫だと思ったんだ……」

 

 

ベンチの上で膝を抱えて震えているラウラ。

ジェットコースターも怖かったみたいだ。

 

 

「大丈夫?ラウラ」

 

「もう少し休ませてくれ……」

 

「まぁ、ちょうどいい時間だし、お昼にしよう。すぐそこに売店あるから、何か買ってくるよ」

 

「あ、僕も……」

 

「シャルはラウラについていて。すぐ戻るから」

 

 

シャルにラウラを任せて、売店に向かう。お昼頃だけど、そこまで混み合っておらず、すぐに買えそうだ。

 

と、売店近くにある射的屋が目に入った。

 

どうして目に入ったかというと……。

 

 

「ちょっとお兄!一発も当たってないじゃない!」

 

「いや、これ結構難しいって……」

 

 

赤髪にバンダナをした男女……あの後ろ姿、何処かで見たことある気がするんだけど……。

 

 

「ん?」

 

 

あ、男の方が僕に気づいたようだ。

 

 

「ああ!お前、将冴か!?」

 

「あ」

 

 

顔を見て思い出した。僕が腕をなくす前に通っていた中学校の同級生の五反田弾。

 

一夏と一緒によくつるんでいた友達だ。日本に帰ってきてから全く連絡を取ってなかった。というか、今の今まで忘れていた……。

 

 

「え、将冴さん?」

 

 

女の子の方も僕を見た。弾の妹の蘭だ。

 

 

「弾と蘭。久しぶりだね」

 

「久しぶりだね、じゃねぇよ!一夏から聞いてたけど、本当に……」

 

 

弾が僕の腕の部分を見る。そこは何もなく、服の袖が虚しく揺れている。

 

 

「将冴さん、その腕……」

 

「まぁ、いろいろあってね。それより、2人に会えるなんて思わなかったよ」

 

「お、おう!それは俺もだよ。蘭に付き合わされて連れてこられたんだけどよ」

 

「ちょっと、お兄!余計なこと言わないでよ!」

 

 

蘭が顔を赤くし、弾を殴る。

本当に、前から仲のいい兄妹だなぁ。

 

 

「将冴さん、一人で来たんですか?」

 

「いや、同級生と一緒に。ごめんね、一夏と一緒じゃなくて」

 

「ちょ、将冴さん!」

 

 

そう、この五反田蘭は一夏の被害者。彼の鈍感に振り回されている。

 

 

「一夏じゃないってことは、もしかして……」

 

「うん、女子と」

 

「くっそぉ、将冴まで俺のこと裏切りやがって!」

 

 

裏切りって……

 

 

「おい、どこだよ。その女子は!」

 

「そこのベンチに座ってる金髪と銀髪の外国の子」

 

「二人も連れて……しかも外国の女の子かよ!……って、あれヤバくないか?」

 

「え?」

 

 

弾の声に2人の方を見ると、男3人に囲まれているのが見えた。

 

しまった……。

 

 

「ごめん、弾。僕行ってくる!」

 

「お、おい!待てよ!その体でどうやって……くそっ、蘭。すぐに警備員呼んできてくれ」

 

「わ、わかった!」




次回に続きます。

お姉さま方だと、このシチュエーションできないんですよねぇ。
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