この小説の始まりの場所ですね。
ここでかなり話を進めたいなと思っています。
この小説始める前は、福音で終わらせようと思っていましたが……ここまで伸びました。
8月8日。
僕とクラリッサ、ラウラがドイツへ向かう日……とは言っても、実は既にドイツの空港に着陸しており、あとは降りるだけとなっている。
日本からドイツまでのフライトは時差調整のためにほとんど寝ていた。
「ふあぁ……」
「兄さん、よく寝ていたな」
「まぁね。寝るしかやること無いし」
「少し待っててくれ、今荷物を下ろす」
クラリッサが僕の荷物を降ろしてくれる。
手荷物程度だけど、それなりに荷物が多い。
「ありがとう。ごめんね、荷物が多くて」
「仕方ない。ドイツからまっすぐアメリカに向かわなければならないのだからな。一応、ドイツでの宿はリョーボさんに頼んで寮に泊まれるようにしてある。洗濯もできるからな」
「何から何まで、申し訳ないね」
「気にするな」
今回、ドイツへ来たのは、里帰りのようなものだ。一年過ごしたドイツに、また帰って来たかったんだ。
「さ、行こう。迎えを待たせているからな」
「迎え?」
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「おーい、隊長!クラリッサ!将冴君」
空港のターミナルで、僕たちを呼ぶ声がする。
あれはクラリッサの友人でシュバルツェ・ハーゼの現副隊長、ルカさんだ。
「ルカ、お前が来てくれたのか。忙しいのではないのか?」
「隊長たちが帰ってくるのに、黙って椅子に座って書類整理してるわけにはいかないでしょう?将冴君、久しぶりね。1年ぶりかしら」
「久しぶりです、ルカさん。副隊長就任、おめでとうございます」
「そんなにいいものじゃないわよ、副隊長なんて。クラリッサに同情して、変わってあげるんじゃなかったわ」
「私を陥れておいて、何を言うんだ。全く……」
「はは、ごめんごめん。三人ともお疲れたでしょう?車を用意してあるから、ついてきて。あ、将冴君の荷物は私が持つわ」
ルカさんは僕の荷物を持ち、車へと案内してくれる。
荷物を車に乗せ、僕らも車に乗り込み、車が発車する。
少し走ってから、ラウラが口を開いた。
「ルカ、私がいない間の報告をしてもらえるか?」
「はい。とは言っても、定時報告で連絡したこと以外は、特に問題はありません」
「VTシステムの件は?」
「はい、システムを仕組んだ者の目星はついたのですが、行方不明です。捜索は続けていますが、状況は芳しくありません」
「そうか……」
VTシステム……タッグトーナメントの時のあれか。
僕が初めてスペシネフ動かしたとき……。
ドイツ軍も独自に調べているみたいだけど、この件は裏に何か大きなものが動いている気がする。
VTシステムだけじゃない。クラス代表戦の襲撃、福音の暴走。
……束さんなら、何か知ってるかな。
「もうすぐ、寮につくわ。荷物置いた後の予定は?」
「私はすぐに軍への報告に」
ラウラは隊長だからね。そこらへんは面倒そうだ。
「私は将冴についていくつもりだ。IS学園から、護衛を頼まれているからな」
「え、そうだったの?」
「ああ。将冴は専用機持ちとはいえ、重要人保護プログラムはまだ適応されている。護衛を外すわけにはいかないらしい」
僕の知らないところ、クラリッサにそんな指令が出ていたとは……。
「あれ、でもアメリカではどうなるの?クラリッサはアメリカについてこないし……」
「……誠に遺憾だが、ナターシャ・ファイルスがその役についたらしい。福音の件で、アメリカは日本に大きな貸しを作ったからな」
「そっか……」
まぁ、何かあってもISがあるから、自分の身くらいは守れるだろう。
「将冴君は?」
「僕は……墓参りかな。両親の」
両親の遺体はドイツ軍に回収された後、そのままドイツの墓地に埋められた。
日本に持ち帰りたかったんだけど……一年はドイツにいなきゃいけなかったし、日本に戻っても重要人保護プログラムが適用されることもあって難しかった。
「そうか。わかった、荷物を置いてから向かおう」
「うん。ありがとう、クラリッサ」
「構わないさ。私も、行かなければと思っていた」
クラリッサも……。
うん、そうだね。
「車の中でいちゃいちゃしないでもらいたいわね」
ルカさんに、運転しながらそんなことを言われてしまった。
ドイツ編は、そこそこ長くなりそうです。
夏休みは色々とイベント盛りだくさんになりそうです。