前回のあとがきは本当にフラグとかじゃありませんから!
作者の心がかき乱されるぅー!?
「……でね、一夏がまた女の子を落としたんだよ。イギリスの代表候補生でセシリアって言うんだけど」
将冴が両親の墓に、近況報告とでも言うべきか、とにかくここに来れなかった分の話をしゃべっている。
私……クラリッサは、それを後ろで眺めていた。
護衛としての役割もあるから、周りを気にしながら。
「あ、そうそう。今、クラリッサと一緒に暮らしてるんだよ。ね、クラリッサ」
「え、あ、ああ」
「ふふ、お母さんがいたら、飛び跳ねて喜びそう。事あるごとに彼女はできたか聞いてくるし。そしたらお父さんまで悪ノリしてさ。女っ気がないとか言われても、困るよね」
「そうだったのか」
「うん。二人が生きてる間に、そういう人を紹介できたらよかったんだけどね」
将冴が寂しそうな顔を浮かべる。
日本で将冴が住んでいた家を見に行った時と同じ表情だ。
「この前、僕たちの家に行ってきたよ。家はそのままだったけど、中のものは全部持っていかれちゃった。さすがに堪えたよ……」
目が少し潤んでいる。涙を見せないようにしているのか……。
「まぁ、そんな感じで元気でやってるよ。病気とかはしてないし、怪我は……結構してるかも。でも、僕は丈夫だから。心配しないでね……。そろそろ帰るよ、また時間ができたら来るからね」
将冴は墓から離れる。まるで涙を見せないようにしているかのように……。
私は、墓の前から離れられずにいた。
「クラリッサ?」
「すまない、将冴。少しだけ待っていてもらっていいか?」
「……うん、わかった。墓地の入り口のところにいるからね」
「ああ」
将冴が離れたのを確認し、将冴の両親の墓の前で片膝立ちになる。
「挨拶が遅れてしまい、申し訳ない。クラリッサ・ハルフォーフと言います。私は、あなた達に謝らなければならない……私がもっと早く現場に到着していれば、将冴が義肢をつけなくてもよかった……いや、あなた達の事も助けられたかもしれない……」
今後悔しても遅いことはわかっている。あの時も、散々後悔した。
でも、それは何の意味もない。この謝罪も、ただの自己満足だ。彼らを助けることができなかった罪は、一生ついて回る。
「謝って許してもらえることではありません。それは私も十分にわかっています……。自己満足だということも。でも、その自己満足をまだ許してもらえるなら……」
一生ついて回るなら、私は一生自己満足を続ける。
「将冴は私が守ります。この命に代えても」
たとえ何があっても、この命尽きるまで、将冴を守るという自己満足だ。
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墓地の入り口でクラリッサを待つ間に、色々考えていた。
「心配しないでね、なんて……無理に決まってるか」
天国から、僕のことを見守っているとしたら、いつもヒヤヒヤものだろう。
安心させるには、どうしたらいいかな……。
「そういえば、ここから寮に帰る道って、あそこも通ったっけ……」
ドイツから離れる直前に、クラリッサとデートをし、告白された場所……。
未だにクラリッサに返事をしていない。
僕はクラリッサのことを、どう思っているんだ。
……わかってる。自分の気持ちくらいは、自分でも。それに、あれだけアプローチされているんだ。
「もう、待たせない方がいいかな」
この先、何があるかわからない。
福音との戦闘で意識を失った時……あのまま目覚めなかったら、きっと後悔していただろうし、クラリッサをこれ以上待たせるのは嫌だ。
「僕は、クラリッサのことを……」
「私がどうかしたか?」
「のわぁ!?」
いつの間にか背後にクラリッサが立っていた。びっくりして車椅子から落ちそうになった……。
「だ、大丈夫か!?」
「う、うん。大丈夫だよ……」
「そうか?顔が赤いようだが……疲れが出たか?」
「ほ、本当に大丈夫!寮に帰ろう。もうすぐで時間だし」
「あ、ああ、そうだな」
不意打ちですっかりペースを乱されてしまった……。
……今日は、やめておこう。
将冴がヘタる。
珍しいですよ、皆さん。シャッターチャンスですよ!