IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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読者の皆さん、言葉通りに受け取ってください……。

前回のあとがきは本当にフラグとかじゃありませんから!

作者の心がかき乱されるぅー!?


109話

「……でね、一夏がまた女の子を落としたんだよ。イギリスの代表候補生でセシリアって言うんだけど」

 

 

将冴が両親の墓に、近況報告とでも言うべきか、とにかくここに来れなかった分の話をしゃべっている。

 

私……クラリッサは、それを後ろで眺めていた。

護衛としての役割もあるから、周りを気にしながら。

 

 

「あ、そうそう。今、クラリッサと一緒に暮らしてるんだよ。ね、クラリッサ」

 

「え、あ、ああ」

 

「ふふ、お母さんがいたら、飛び跳ねて喜びそう。事あるごとに彼女はできたか聞いてくるし。そしたらお父さんまで悪ノリしてさ。女っ気がないとか言われても、困るよね」

 

「そうだったのか」

 

「うん。二人が生きてる間に、そういう人を紹介できたらよかったんだけどね」

 

 

将冴が寂しそうな顔を浮かべる。

日本で将冴が住んでいた家を見に行った時と同じ表情だ。

 

 

「この前、僕たちの家に行ってきたよ。家はそのままだったけど、中のものは全部持っていかれちゃった。さすがに堪えたよ……」

 

 

目が少し潤んでいる。涙を見せないようにしているのか……。

 

 

「まぁ、そんな感じで元気でやってるよ。病気とかはしてないし、怪我は……結構してるかも。でも、僕は丈夫だから。心配しないでね……。そろそろ帰るよ、また時間ができたら来るからね」

 

 

将冴は墓から離れる。まるで涙を見せないようにしているかのように……。

 

私は、墓の前から離れられずにいた。

 

 

「クラリッサ?」

 

「すまない、将冴。少しだけ待っていてもらっていいか?」

 

「……うん、わかった。墓地の入り口のところにいるからね」

 

「ああ」

 

 

将冴が離れたのを確認し、将冴の両親の墓の前で片膝立ちになる。

 

 

「挨拶が遅れてしまい、申し訳ない。クラリッサ・ハルフォーフと言います。私は、あなた達に謝らなければならない……私がもっと早く現場に到着していれば、将冴が義肢をつけなくてもよかった……いや、あなた達の事も助けられたかもしれない……」

 

 

今後悔しても遅いことはわかっている。あの時も、散々後悔した。

 

でも、それは何の意味もない。この謝罪も、ただの自己満足だ。彼らを助けることができなかった罪は、一生ついて回る。

 

 

「謝って許してもらえることではありません。それは私も十分にわかっています……。自己満足だということも。でも、その自己満足をまだ許してもらえるなら……」

 

 

一生ついて回るなら、私は一生自己満足を続ける。

 

 

「将冴は私が守ります。この命に代えても」

 

 

たとえ何があっても、この命尽きるまで、将冴を守るという自己満足だ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

墓地の入り口でクラリッサを待つ間に、色々考えていた。

 

 

「心配しないでね、なんて……無理に決まってるか」

 

 

天国から、僕のことを見守っているとしたら、いつもヒヤヒヤものだろう。

 

安心させるには、どうしたらいいかな……。

 

 

「そういえば、ここから寮に帰る道って、あそこも通ったっけ……」

 

 

ドイツから離れる直前に、クラリッサとデートをし、告白された場所……。

 

未だにクラリッサに返事をしていない。

僕はクラリッサのことを、どう思っているんだ。

 

……わかってる。自分の気持ちくらいは、自分でも。それに、あれだけアプローチされているんだ。

 

 

「もう、待たせない方がいいかな」

 

 

この先、何があるかわからない。

 

福音との戦闘で意識を失った時……あのまま目覚めなかったら、きっと後悔していただろうし、クラリッサをこれ以上待たせるのは嫌だ。

 

 

「僕は、クラリッサのことを……」

 

「私がどうかしたか?」

 

「のわぁ!?」

 

 

いつの間にか背後にクラリッサが立っていた。びっくりして車椅子から落ちそうになった……。

 

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「う、うん。大丈夫だよ……」

 

「そうか?顔が赤いようだが……疲れが出たか?」

 

「ほ、本当に大丈夫!寮に帰ろう。もうすぐで時間だし」

 

「あ、ああ、そうだな」

 

 

不意打ちですっかりペースを乱されてしまった……。

 

……今日は、やめておこう。




将冴がヘタる。

珍しいですよ、皆さん。シャッターチャンスですよ!
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