IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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昨日は更新できず申し訳ありません。
TRPGしてSAN値をがっつり減らしてしまいまして……。


今回はクラリッサとデート。
物語も大きく動き始めます。


111話

 

翌日、僕は寮の入り口で、1年前にやっていたように仕事へ向かうみんなへ挨拶をしていた。

 

昨日散々騒いでいたので、みんな少し疲れ気味だ。

 

 

「あ、将冴君おはよー」

 

 

気怠げに挨拶してくれたのはルカさん。

眠そうに目を擦っている。

 

 

「ルカさん、おはようございます」

 

「この感じ久しぶりだわぁ〜。このままドイツ軍に入らない?将冴君なら、ハーゼの特別隊員にしてあげるよ」

 

「魅力的なお誘いですが、今のところは遠慮しておきます」

 

「あらら、断られちゃったか。まぁ、IS学園卒業するときにまたお誘いするわ。それで、今日の予定は?もしよければ、ハーゼから何人か護衛つけるけど?」

 

「いえ、大丈夫です。今日はクラリッサとデートなので」

 

「そうなの?それなら、野暮なことはできないわね」

 

 

護衛なんてつけられたら、落ち着いてクラリッサと遊べないしね。

 

その申し出はありがたいけど。

 

 

「クラリッサとはどうなの?私が言うのもなんだけど、あの子不器用だから」

 

「うまくやれてますよ。むしろ、僕がはっきりしなくて、クラリッサに悪いことをしてしまったなって……」

 

「やっぱり、まだ付き合ってはいないのね」

 

「はい……でも、今日言うつもりです。1年前の返事を」

 

「そっか、頑張ってね。やっと私の苦労も報われるわ……」

 

 

ルカさんがいろいろ手を回してくれたから、僕はクラリッサと一緒にいられる。

本当に感謝してもしきれないな。

 

 

「っと、そろそろ行かなきゃ。帰ってきたら、結果教えてね」

 

「はい。いってらっしゃい、ルカさん」

 

 

小走りで寮を出て行くルカさんを見送り、僕は寮に備え付けてある時計を見た。

 

クラリッサ、僕が起きた時まだ寝ていたけど、もう起きたかな……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

朝起きると、隣のベッドに将冴がおらず、思わず時計を慌てて見た。

 

時間的にはまだ余裕がある……。

よかったと胸を撫で下ろし、私は寝巻きから着替える。

 

 

「デート、か……」

 

 

将冴がそんなことを言うとは思わなかった。

1年前、将冴がドイツから離れる前にルカに無理やりデートさせられた時以来ではないだろうか……。

 

日本では、そんな風に誘われたことはなかったし……。

思えば、将冴の家に行ってから、将冴の私に対する接し方が変わった気がする。悪い意味ではなく。

 

 

「……考えてもわからないか」

 

 

急ぎ準備を終わらせ、部屋を出る。私服は最近来ていなかったから、なんだか気恥ずかしいな。

 

寮の出入り口まで向かうと、将冴が立っていた。

今日は車椅子ではないのか。

 

 

「すまない、将冴。待たせたか?」

 

「ううん。みんなに挨拶していたから。クラリッサはもういける?」

 

「ああ」

 

「それじゃあ、行こっか」

 

 

私と将冴は、並んで寮を出た。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

寮を出て少し歩き、改めてクラリッサの姿を見た。

 

最近はスーツ姿しか見ていなかったからか、クラリッサの私服を見てなんだかドキドキする。

 

白いシャツに、デニムジーンズ……いつもつけている眼帯を外していて、なんだか大人の女性といった感じだ。

 

 

「……将冴、どうかしたか?」

 

「クラリッサの私服、久しぶりに見たなって」

 

「日本ではずっとスーツだったからな。私も久しぶりに私服を着た気がする。……もしかして似合ってなかったか?」

 

「ううん、すごい似合ってるよ」

 

「そ、そうか……」

 

 

真正面からいうと、なんだか気恥ずかしいな……。

クラリッサの顔も赤くなっている。

 

 

「きょ、今日はどこに行くつもりなんだ?」

 

「特に決めていないんだ。ウィンドショッピングみたいな感じにしようかなって。よく考えたら、あまり詳しくこの辺を見て回ったことなかったから。行きたいところとかある?」

 

「いや、将冴に任せる」

 

「それじゃ、まず朝ごはん食べようか」

 

 

少し歩き、朝でもやっているお店に入った。

 

店員さんに席まで案内してもらい、席に座る。それと同時に義足を戻し、義手をつけてメニューを手に取る。その中で、僕はあるものに目が止まった。

 

 

「……あ、これ……」

 

「どうしかしたか?将冴」

 

「ううん、なんでもないよ。クラリッサ決まった?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 

店員さんを呼び、注文を伝える。

 

 

「ベーグルセットを」

 

「僕はこれをもらえるかな?」

 

 

メニューを指差し、店員さんに頼むものを伝える。

 

 

「何を頼んだんだ?」

 

「懐かしいものをね」

 

「?そうか……。将冴、今日はなんで車椅子ではないのだ?」

 

「なんで、か……答えるなら、デートだからって感じかな?」

 

「どういうことだ?」

 

「僕が誘ったのに、車椅子を押してもらうのは嫌だったんだ。それに、デートって並んで歩くものでしょ?」

 

「そ、そういうものか……?」

 

「多分」

 

 

クラリッサが顔を赤くして、もじもじとしている。

そういう反応されると、僕も恥ずかしいんだけど……。

 

 

「なんだか、改めてデートってのは、恥ずかしいもんだね……」

 

「……将冴、今日はどうしてデートをしようと……」

 

 

 

どうして、か……

 

 

「今は話せないかな」

 

「今は?」

 

「そうだね……それじゃあ、デートが終わってからってことで」

 

「……わかった」

 

「お待たせしましたぁ〜」

 

 

話に区切りがついたところで、店員さんがベーグルを乗せたトレーと、僕が頼んだもの……ベルリーナーを乗せたトレーを持ってきてくれた。

 

 

「将冴、それって……」

 

「うん、僕がまだ入院しているときに、クラリッサが持ってきてくれたお菓子。まだ義手を持ってなくて、全部アーンされて食べたのは、さすがに照れたなぁ」

 

「あ、あの時はああするしか……」

 

「うん、わかってるよ。そのおかげで、クラリッサとこうやってやっていけたと思ってるし」

 

「将冴……」

 

「さ、早く食べて、デートしよう?」




オリキャラ設定

リョーボさん

32歳

ドイツ軍の女子寮の管理人。
本名不明で、日本の教員免許を持っていたりと謎の多い人物ではあるが、本人曰くただの寮の管理人。
実は本名を隠している理由は、リョーボさんと呼ばれるためだったりする。
結構軽い性格だったりするが、寮にいる人達はみんな家族だと思っている。
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