IS 〜偽りの腕に抱くもの〜【本編完結】   作:sha-yu

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前書きで何を書けばいいのかわからない。

本編へどうぞ。


115話

 

ラウラと基地に戻り、僕とラウラはISを待機状態に戻す。僕はそのまま車椅子に座った。

 

すぐにルカさんが来てくれた。

 

 

「隊長、将冴君、お疲れ様です」

 

「ルカもご苦労だったな」

 

「いえ、私は……。将冴君、少し時間もらえる?形だけでも、話を聞かなきゃいけないから」

 

「……はい」

 

 

救援に行ったとはいえ、僕はドイツ所属の操縦者ではない。事情聴取されるのは仕方ないことだ。

 

話すこと……ダイモンのことも言った方がいいだろうか。

 

正直、話せるほどダイモンのことを知っているわけではない。変に情報を漏らして混乱させるよりは黙っていた方がいいかもしれない。

 

 

「将冴君?どうしたの?」

 

「いえ、すぐに行きます」

 

 

ぼうっとしてしまっていたようだ。

すぐにルカさんについていき、小さな個室に案内された。中には机と椅子が置いてあるだけ……ドラマとかで見るような部屋だ。

 

 

「さて、今回のことについて聞きたいんだけど、どうせ形だけだしこっちででっち上げておくわね」

 

「そんな感じでいいんですか?」

 

「将冴君のことは、軍も知っているし、隊長の友人となると無碍にもできないでしょう。機体データも直接取ることができるし」

 

「そうですか……」

 

 

まぁ、詳しく聞かれないのなら好都合だからいいのだけれど。

 

 

「それで、クラリッサに告白できた?」

 

「ここでそれを聞くんですか?」

 

「ちょうど二人きりだし、お姉さんは成果を聞きたいな」

 

 

まぁ、朝にそういう話はしたし、気になるのは仕方ないか。

 

 

「出来ていませんよ。あんなことがあったのに、できるわけないじゃないですか」

 

「そっか、そうだね。それじゃあ、何があったの?」

 

「え?」

 

「いつもと様子が違うから、気になってね。クラリッサと何かあった?」

 

「……別に、何もありません」

 

 

嘘をついた。

ダイモンに心をかき乱され、クラリッサに八つ当たりしてしまったんだ。なんであんな……。

 

 

「将冴君が何もなかったと言うなら信じるけど、とてもそうは見えないわね」

 

「僕に何かあったとしても、これは僕の問題です。僕自身が解決しなきゃいけないんです」

 

「そう……」

 

 

ルカさんはそれ以上何も言わず、気まずい沈黙が漂う。

 

 

「……もういいですか?」

 

「うん。クラリッサ、ハーゼの司令室にいるけど」

 

「このまま帰ります。少し疲れました」

 

「わかった。クラリッサに伝えておくね」

 

 

ルカさんにお礼を言い、僕は寮へ戻った。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ハーゼの司令室で、将冴とルカを待っていた。

隊長は報告書を書いている。

 

 

「……クラリッサ」

 

「なんでしょう?」

 

「何かあったのか?」

 

「っ!?……いえ、特に……」

 

「兄さんのことか?」

 

 

図星だ。隊長がそういうことについて聞いてくるのは珍しい。人間関係には、我観せずという印象があったが……将冴といて変わったということだろうか。

 

 

「実は、私も気になっていてな。兄さんの様子がいつもと違っていて……」

 

「……私にはわかりかねます」

 

 

将冴のことがわからない。いや、ずっとわかっていなかったのか……一緒に過ごしてわかったつもりでいたのか……。

 

 

「今日、変わったことはあったか?」

 

「……」

 

 

ある。あるのだが、私にも何が何だかわからない。あの仮面の人物は、将冴とどんな関係か。

 

将冴は話してくれないだろうし……。

 

 

「ただいま戻りました」

 

 

司令室の扉が開き、ルカが入ってきた。将冴は……一緒じゃないのか?

 

 

「ルカ、将冴は?」

 

「先に寮に戻ったわよ」

 

「な、それなら私に伝えてくれ!今ならまだ間に合うか」

 

「待ちなさい」

 

 

司令室から出ようとすると、ルカに肩を掴まれた。

 

 

「今は会わないほうがいいんじゃない?お互い何かギクシャクしてるでしょ」

 

「っ……しかし、私は将冴の……」

 

「護衛なのはわかるけど、今はやめておきなさい。何があったか知らないけど、もう少し落ち着いてから話しなさい」

 

 

ルカの言う通りだ……。私自身、将冴と会ってもどう接すればいいかわからない。

 

 

「……少し待ってて。ちゃちゃっと仕事終わらせるから。飲みに行こう」

 

「え?」

 

「隊長、書類片付けたらあがらせてもらいます」

 

「ああ、構わないぞ」

 

「いや、あの……」

 

「突っ立ってないで、座って待ってたら?」

 

「わ、わかった……」

 

 

こんな時に……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

寮につくと、ちょうど管理人室から出てきたリョーボさんと鉢合わせた。

 

 

「おや、今日クラリッサと出かけてたんじゃないのかい?」

 

「ちょっと……いろいろあって」

 

「ふぅん。と、そうだ。ちょっと夕食の手伝いしてくれないかい?」

 

「え、でも、僕……」

 

「いいからいいから。少しだけでいいからさ」

 

 

リョーボさんが僕の車椅子を押し始め、なす術なく厨房へと連れて行かれた。

 

厨房につくと、リョーボさんは僕にナイフとジャガイモの大量に入った袋を渡してきた。

 

 

「それ、全部皮剥いてもらえるかい」

 

「わ、わかりました……」

 

 

僕は言われた通りにジャガイモの皮を剥き始めた。

 

思えば、こうして料理するのはいつぶりだろう。

体あった時は、お父さんもお母さんも研究で忙しい時があって、一人で作って、2人が帰ってくるのを待っていたっけ……。

 

 

「……何か悩んでるんだろう?」

 

 

不意にリョーボさんが声をかけてくる。

ルカさんと同じように、僕がいつもと様子が違うって思ったのかな。

 

 

「えっと……」

 

「話したくないなら話さなくていいさ。とやかく言うつもりもないし、気の利いたことも言えないしね。私だって、自分の過去はあまり話したくない。誰だって話せないことの一つや二つ、あるものさ」

 

「……」

 

「悩み事っていうのは、なかなかに話しづらいし、打ち明けるのは本当に心を許した人にしかできない。そういう人はいるかい?」

 

「……いえ」

 

「ならさっさと作ることだね。それが親友でも、恋人でもいい。将冴が決めたら、その人を信じてやれ」

 

「リョーボさん……」

 

「説教くさくなったね。ジャガイモ剥き終わったらもういいよ。部屋で休んでな」

 

「……はい」

 

 

悩みを打ち明けられる人……僕には誰がいるか思い浮かべたけど、1人しかいなかった。




今日連続投稿します。

次で、ようやく……
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